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9話 怪しい男

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 さて今から、どうしようか・・・
 俺は、これからの予定を考えることにした。

(まず、荷車に乗っている財宝をどうするべきか考える必要があるな。)

 財宝を見せながら街まで向かうと、盗人が襲ってくるかもしれない。なるべく、面倒ごとは避けたいので、財宝を隠す必要があると気づいた。

 何か財宝を隠すのによいのはないかなとバッグの中を確認した。すると、奥底に学生寮から持ってきた大きな緑色の布があった。財宝を隠すのにはちょうどいい大きさなので、財宝の上にかぶせた。

 やはり、財宝を隠すのに適した大きさだった。これで、財宝を隠すことはできた。
 次に、財宝を街に持って行けた場合の、その後のことを考えることにした。
 
 盗人が忍びこむこともあり得たため、宿屋に置いておくのは、やめることにした。となると、すぐに売買にかける必要があると思った。

 いい売買人がいないかなと考え込んだ。すると、アイテム屋の主人と話した内容を思い出した。

 確か・・・クリエント街には、財宝の売買を行う行商人がいるといっていたな・・・その行商人の名は・・・イムルさんさんだ。

「そうだ、イムルさんだ。そのイムルさんの所に向かい、財宝を売買すればいいんだ!!」

 俺は財宝の取り扱いについて、方針を決めた。
 次は財宝を売買した後のことを考えることにした。

 財宝を売った後は、大金を銀行に貯金しようと考えた。その後は、武器や防具の購入をするか・・・俺は、街についた後の予定について、だいたい考えが終わった。
 
 考え終わると、すぐに行動に移した。
 財宝を隠すために大きい布を荷車に取り付けた。その、荷車を引っ張りながら、街まで向かった。

 街につくと、一目散にイムルさんがいる豪邸に向かった。

 豪邸は、商店街の近くにある、白くて大きい建物だったので、一目でわかった。その豪邸の出入り口には、鉄の門があった。俺は、その鉄の門の前につくと、取次を頼むため叫んだ。

「すみませ~ん!! どなたかいらっしゃいませんか~!!」

 朝早くに叫ぶのは失礼だと思ったが、この財宝を早く売りたいと思ったので、俺は何度も同じ文言を叫んだ。

 すると、豪邸から人が出てきた。その人物は鉄の門のすぐ近くまで来た。

 その人は、がたいがよさそうだった。門番かなと思った。その門番らしき人物はいらだちながら発言した。

「ったく!こんな早朝に叫びやがって。今何時だと思ってやがるんだ!!」

「大変申し訳ございません。実は、財宝の売買を行いたいと考えており、取り次いでもらおうと叫んでしまいました。早朝なのに叫んでしまい申し訳ありません。」

「まったくだ。財宝の取次がしたいのなら、こんな早朝ではなく、もう少し時間が経ってから取次に来い。今は無理だ。」

「そんな。今取り次いでもらわないと、盗人が奪いに来るかもしれません。」
「そんなの知ったことか。いいから、もう少し待て!!」

 何度お願いしても、早朝には取り次いげないといわれるだけだった。俺は鉄の門の前で、取次可能になる時間まで待つことにした。

 待っている間は財宝を盗まれないように警戒していた。

「早く取次の時間にならないかな」
 早く時間にならないかなと発言したとき、通りから人が来た。
 
 その人は、素通りせずに俺に向かってきた。

(まさか、俺の財宝を奪いに来たのか・・・)
 俺はさらに警戒した。

 その人物は、スーツ姿で片眼鏡をかけていた。また顔はやせ細っており、口髭があった。
 なにやら怪しい雰囲気がした。

 その人物は、俺に近づいてきた。なにか仕掛けてくるかなと思ったら話しかけてきた。
「こんなところで何をしているのですか?」

「この建物の主人と話があるため、ここで待っています。」

「ということは、財宝の売買の話をしに来たのですか?」

 やはり、俺が財宝の売買に来たことを分かっていたようである。荷車を近くに置いているし、財宝がすぐ近くにあることを知っているかもしれない・・・

「まあ、そんな感じの話をしにきました」
 やや濁して回答した。

「となると、あなたはどこかの資産家さんなのでしょうか。いえね、実は私は少し前まで、あるところで内部事務を行っておりました。しかし、ある方の不正を見抜き告発すると、不服に思ったその方の勢力によって排除されてしまったんです。今では、この通り、少し貧乏なんです。そこで、少しばかり施しをいただけないかなと思ったんです。」

 この怪しい男は、いきなりきな臭いことを話したと思ったら、俺に施しを求めてきた。ますます怪しく感じた。

「すみません。現在手元にお金がないのです。なのであなたに施しはできません。」
「そうですか。それは残念です。・・・ただもし、お金を手に入れ、施しを与えてもよいと思われましたら、ここに来ていただけないでしょうか?」
 
 すると、怪しい男は自分の住んでいるところに印を入れた、この街の地図を渡してきた。
「も・・・もし、大金を手に入れることができたら、あなたの自宅に伺いに行きますよ。」

「本当ですか。では、あなたが自宅に来られる日を楽しみにしていますよ」
 
「は・・・はあ」
 俺が施しを与える前提で話をしていた。なんて失礼な男なんだとあきれてしまった。

「私の名前は、ショウカといいます。お見知りおきを。では失礼します。」
 男は名乗って、去っていった。

(いきなり現れて、失礼なことをいったかとおもったら、最後に名乗って去っていったぞ。変わった人だな~~)

 俺は去っていった男に対する思いを心の中で吐露していた。しかし、ふとあることに気づき反省した。

 それは、俺もあのショウカという者と同じ失礼な人間ということに気づいたからである。

 俺もショウカと同じく急に押しかけてきて言いたいことを言っている‥‥‥失礼な人間だ。

 しかし、もうすでに交渉したいと願い出ている。ここでやめるのはさらに失礼ではないか‥‥‥。

 そう考え、俺は門の前で取次が来るのを反省しながら待っていた。
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