935 / 1,009
57
しおりを挟む
すると待ちに待っていたらしい祐羽が檻の中の熊の様にウロウロしていた。
その姿を見ているだけでも面白く眺めていようと思ったが、気づいた祐羽が「九条さん、早く来てください」と手を引っ張りに来た。
気配を消しておくんだったと少し後悔が過る。
「では、まずはこれを投げてください。玉入れゲームで、景品はこちらになります」
この歳になって玉入れゲームを家でさせられるなんて思ってもいなかった九条は、最悪な展開だと無になる。
いくら愛しい恋人の願いとはいえ素直に従えない。
これが家族で子どもと一緒にやるならまだしも、ふたりきり。
おまけに、だだっ広い部屋の一角にちまっと用意された手作りコーナーで玉入れをするなんて、部下に―従兄弟の隆成には特に見られたくない。
絶対に笑われるだろうし、もっと大騒ぎしてパーティー規模に広げそうだ。
ハロウィンとは勝手が違うと九条が固まっていると「九条さん?」と不安そうな声がする。
視線を向ければ祐羽が悲しそうな顔で自分を見ているではないか。
九条は思わず小さく溜め息をついてしまうが、祐羽には幸い聞こえてなかったようだ。
「入れればいいのか」
「そうです!あの中に入った数でそれぞれ景品があります!!」
一気にパアッと明るくなった祐羽が嬉しそうに説明をしてボールを渡してくる。
壁に貼ってある紙には景品が示されており、五個入れると景品全てと晩ご飯のおかずが二個に増えるらしい。
ちなみに「今夜のおかずはハンバーグで、コネコネして作ったんです。チーズを入れてみました」と鼻息が荒いので、九条はもちろん五個狙いで見事ゲットした。
その姿を見ているだけでも面白く眺めていようと思ったが、気づいた祐羽が「九条さん、早く来てください」と手を引っ張りに来た。
気配を消しておくんだったと少し後悔が過る。
「では、まずはこれを投げてください。玉入れゲームで、景品はこちらになります」
この歳になって玉入れゲームを家でさせられるなんて思ってもいなかった九条は、最悪な展開だと無になる。
いくら愛しい恋人の願いとはいえ素直に従えない。
これが家族で子どもと一緒にやるならまだしも、ふたりきり。
おまけに、だだっ広い部屋の一角にちまっと用意された手作りコーナーで玉入れをするなんて、部下に―従兄弟の隆成には特に見られたくない。
絶対に笑われるだろうし、もっと大騒ぎしてパーティー規模に広げそうだ。
ハロウィンとは勝手が違うと九条が固まっていると「九条さん?」と不安そうな声がする。
視線を向ければ祐羽が悲しそうな顔で自分を見ているではないか。
九条は思わず小さく溜め息をついてしまうが、祐羽には幸い聞こえてなかったようだ。
「入れればいいのか」
「そうです!あの中に入った数でそれぞれ景品があります!!」
一気にパアッと明るくなった祐羽が嬉しそうに説明をしてボールを渡してくる。
壁に貼ってある紙には景品が示されており、五個入れると景品全てと晩ご飯のおかずが二個に増えるらしい。
ちなみに「今夜のおかずはハンバーグで、コネコネして作ったんです。チーズを入れてみました」と鼻息が荒いので、九条はもちろん五個狙いで見事ゲットした。
14
お気に入りに追加
3,695
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる