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そうして思わず溜め息をついた祐羽は、ドンッと目の前の何かにぶつかって「うわっ!?」と声を上げた。
軽く弾かれた祐羽だったが後ろに倒れる事はなく、誰かにガッチリと掴まれ難を逃れた。
「おいっ、前を見て歩け」
「えっ?!九条さんっ!?」
よく知る声に、祐羽は驚いて顔を上げる。
「何で?!何でここに居るんですか?!」
びっくりと同時に嬉しさに自然と笑顔にな
り、興奮に声も大きくなる。
「落ち着け」
「あ」
自分が興奮し過ぎていた事に気づき、慌てて口元を手で塞いだ祐羽は改めて訊ねた。
「でもどうして?」
「どうしてじゃない。朝起きて一言も無しに居なくなっていれば心配もするだろう」
呆れた口調で言われれば、それはごもっともです、と眉を垂らして反省するしかない。
よりにもよってスマホを忘れた挙げ句、迷子になり時間オーバーしたのだから、九条が自分を心配したのは当然だった。
「すみませんでした…。僕、九条さんにパンを食べて貰いたくて」
「俺に?」
「はい。雲のようなパンっていう、フワフワなパンです。前、九条さんにパンを出した時、フワフワで美味しいって言ってくれてたので…」
そう言われて思い出した。
確かに以前、祐羽が得意気に出して来たのが雲のようなパンだったはずだ。
『食べてみてください!本当に雲みたいにフワフワで、とっても美味しいんです!!食パンじゃなくて、これはもう雲ですよ!あっ、雲は食べたことないんですけど、でも夢の中で僕、雲を食べたことあるんです。その時は綿菓子だったけど、食パンの雲のようなパンも同じくらいフワフワなんです!!』
等と、目をキラキラさせ前のめりで一気に話していた。
珍しくあまりに喋るので九条も「そうだな。フワフワだな」と言ってやったのだ。
九条からすれば普通のパンだが、祐羽にとってはフワフワの雲パンなのだから合わせてやるのが恋人の務めだろう。
軽く弾かれた祐羽だったが後ろに倒れる事はなく、誰かにガッチリと掴まれ難を逃れた。
「おいっ、前を見て歩け」
「えっ?!九条さんっ!?」
よく知る声に、祐羽は驚いて顔を上げる。
「何で?!何でここに居るんですか?!」
びっくりと同時に嬉しさに自然と笑顔にな
り、興奮に声も大きくなる。
「落ち着け」
「あ」
自分が興奮し過ぎていた事に気づき、慌てて口元を手で塞いだ祐羽は改めて訊ねた。
「でもどうして?」
「どうしてじゃない。朝起きて一言も無しに居なくなっていれば心配もするだろう」
呆れた口調で言われれば、それはごもっともです、と眉を垂らして反省するしかない。
よりにもよってスマホを忘れた挙げ句、迷子になり時間オーバーしたのだから、九条が自分を心配したのは当然だった。
「すみませんでした…。僕、九条さんにパンを食べて貰いたくて」
「俺に?」
「はい。雲のようなパンっていう、フワフワなパンです。前、九条さんにパンを出した時、フワフワで美味しいって言ってくれてたので…」
そう言われて思い出した。
確かに以前、祐羽が得意気に出して来たのが雲のようなパンだったはずだ。
『食べてみてください!本当に雲みたいにフワフワで、とっても美味しいんです!!食パンじゃなくて、これはもう雲ですよ!あっ、雲は食べたことないんですけど、でも夢の中で僕、雲を食べたことあるんです。その時は綿菓子だったけど、食パンの雲のようなパンも同じくらいフワフワなんです!!』
等と、目をキラキラさせ前のめりで一気に話していた。
珍しくあまりに喋るので九条も「そうだな。フワフワだな」と言ってやったのだ。
九条からすれば普通のパンだが、祐羽にとってはフワフワの雲パンなのだから合わせてやるのが恋人の務めだろう。
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