闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
上 下
709 / 1,009

27

しおりを挟む
         既に懐かしく感じる恋人の九条を記憶から探す。
    九条と最後に交わした言葉は何だったろうか。
    不思議と、九条なら何とかして助けてくれるはずだと信じている。

    九条さんは大丈夫かな…?
    無事に会えたら迷惑掛けてごめんなさいって謝ろう。
    でも、もしかして怒ってるかも…。
    悪い人達に捕まったせいで、九条さんの組が危ないことになるかもしれないし。
    怒ってたとしても何回でも謝るから、無事に会えたら…。

「おいっ!」
    突然外から怒鳴り声と共にドアを叩かれて、祐羽の頭から九条の面影は消し飛び、代わりに恐怖に体を強張らせた。
「お前どんだけチンタラやってんだ!!」
「あっ…ッ!!」
    のんびりしたつもりは無かったが、待っていた加藤からすれば長かったのかもしれない。
    お伺いを立てる事もなく怒鳴りながらドアを開け入って来た加藤が、大きく手を振り上げてきた。

    叩かれる!!

    それを祐羽は咄嗟に防御態勢に入る。
    小さく丸まると、それが功を奏して上手く避ける事ができた。
    殴られずに済んだと安心したのも束の間、避けられた事に腹が立ったのか「このっ!!」と加藤の苛立った声と共に今度は蹴りが入った。
「ぐぅ…っ!?」
    祐羽はトイレの床へと仰向けで転がった。
    防御していたとはいえ、蹴られた箇所と転んで打った所が痛む。
「お前、俺を待たせるとはいい度胸だな」
    加藤が唸る様に言いながら、転けてシャツの裾から露になった祐羽の薄い腹へ片足を乗せた。
「つまんねぇから遊んでやろうと思ってるのによ、いつまでのんびりしてんだ。あ?」
「うっ…ぐぅ…」
    少し足に体重を掛けられて、祐羽は痛みに顔を歪めた。

    痛い…お腹潰れる…っ。

    祐羽が呻き続けると、漸く男が腹から足を下ろした。
    解放され痛みを堪えて何とか起きようとした祐羽は、そこで動きを止め目を見開いた。



※コメントありがとうございます(*´-`)全て読ませて頂きますが、諸事情により(2020/6/10以降)お返事は控えさせて頂きます。
また今後はのんびり更新となります。
申し訳ありませんが、ご了承くださいませ。
しおりを挟む
感想 160

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ヤクザに囚われて

BL
友達の借金のカタに売られてなんやかんやされちゃうお話です

処理中です...