700 / 1,008
19
しおりを挟む
次々に思い出の中の九条が浮かんでくる。
無表情だったり呆れていたり、そして優しく微笑んだ顔だったり。
それから、最後に銃で撃たれて倒れた九条の姿がイメージで湧いてそれが現実になる可能性を改めて感る。
その瞬間、全身が恐ろしい程ゾクッとして思考が混乱を起こす。
これは想像で九条が実際に撃たれた訳ではない。
それなのに想像だけでこんなにも絶望感を味わうのだから、もしこれが本当に起きたとしたら…?
全ての血を抜かれたかの様に蒼白した祐羽に気がついた中瀬が「おいっ!しっかりしろ!!」と揺さぶった。
意識が完全に飛んでいた祐羽は幾目かの声掛けに漸く我に返った。
「っ!……すみませ、」
謝りつつも手が少し震えている。
そんは祐羽を見て中瀬が頭ごと抱え寄せた。
「お前のことは俺が守ってやる。だから諦めるな、しっかりしろ!」
「中瀬さん…」
「怖くて仕方ないと思うけど全力で守るから、気持ちをしっかり持って。ね?」
外崎がその白くて綺麗な手で祐羽の震える小さな手を優しく包み込んだ。
「…はいっ、はい。僕、絶対に外崎さんと中瀬さんと一緒に帰ります」
祐羽は涙が溜まりそうになる目元を擦って泣くのを耐えた。
「ちょっと、今、九条さんにもしものことがあったらどうしようって…それで」
そう溢した祐羽に外崎が思わずといった風に中瀬と反対側から抱き締めてきた。
「君って子は…っ。いつの間にか私達と同じところに立っていたんだね」
「お前、ただの会長のオンナじゃないな。お前はもう立派な恋人兼右腕だな!」
右腕?僕が、九条さんの?
「会長を助けたい、また会いたい思いがあるなら頑張ろうぜ。絶対にみんなで助かるんだ」
そうだ。みんなで絶対に助かるんだ。
中瀬の言葉に祐羽は涙を堪えて大きく頷いて見せた。
その様子に安堵した中瀬は、敢えて明るい声を上げた。
「よしっ!絶対に帰るぞ!!」
「はい!」
「頑張ろうね」
三人は顔を見合わせて力強く頷いた。
無表情だったり呆れていたり、そして優しく微笑んだ顔だったり。
それから、最後に銃で撃たれて倒れた九条の姿がイメージで湧いてそれが現実になる可能性を改めて感る。
その瞬間、全身が恐ろしい程ゾクッとして思考が混乱を起こす。
これは想像で九条が実際に撃たれた訳ではない。
それなのに想像だけでこんなにも絶望感を味わうのだから、もしこれが本当に起きたとしたら…?
全ての血を抜かれたかの様に蒼白した祐羽に気がついた中瀬が「おいっ!しっかりしろ!!」と揺さぶった。
意識が完全に飛んでいた祐羽は幾目かの声掛けに漸く我に返った。
「っ!……すみませ、」
謝りつつも手が少し震えている。
そんは祐羽を見て中瀬が頭ごと抱え寄せた。
「お前のことは俺が守ってやる。だから諦めるな、しっかりしろ!」
「中瀬さん…」
「怖くて仕方ないと思うけど全力で守るから、気持ちをしっかり持って。ね?」
外崎がその白くて綺麗な手で祐羽の震える小さな手を優しく包み込んだ。
「…はいっ、はい。僕、絶対に外崎さんと中瀬さんと一緒に帰ります」
祐羽は涙が溜まりそうになる目元を擦って泣くのを耐えた。
「ちょっと、今、九条さんにもしものことがあったらどうしようって…それで」
そう溢した祐羽に外崎が思わずといった風に中瀬と反対側から抱き締めてきた。
「君って子は…っ。いつの間にか私達と同じところに立っていたんだね」
「お前、ただの会長のオンナじゃないな。お前はもう立派な恋人兼右腕だな!」
右腕?僕が、九条さんの?
「会長を助けたい、また会いたい思いがあるなら頑張ろうぜ。絶対にみんなで助かるんだ」
そうだ。みんなで絶対に助かるんだ。
中瀬の言葉に祐羽は涙を堪えて大きく頷いて見せた。
その様子に安堵した中瀬は、敢えて明るい声を上げた。
「よしっ!絶対に帰るぞ!!」
「はい!」
「頑張ろうね」
三人は顔を見合わせて力強く頷いた。
10
お気に入りに追加
3,671
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる