闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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それから祐羽達は商店街の他も見て回る。
途中寄った店でお土産にしゃもじを選び「料理の腕を上げて、これで九条さんにご飯を…」と誓いを密かに立てたりした。
そして展示されている大きなしゃもじを見たり高校野球出場校の祈願しゃもじを見ているうちに時間は過ぎていた。

「ここから行けるんだ…」

島内地図を把握しており、過去に1度来たことがあるという眞山の案内で大鳥居へと向かう。
少しだけ段差のあるところを海へと降りる。
本当の本当にさっきまで海水があった場所のはずだが、この一時間あまりの間に随分と引いていた。
踏み締めた砂はサラサラとしていて、なんとも感動してしまう。

「行きましょうか」

「はい」

眞山の声かけに返事をした祐羽は、九条が歩き出したのに合わせて隣に並んだ。
ゆったり歩く九条と普通に歩く祐羽で丁度速度が良い。
お互い黙ったままだが、全く居心地は悪くない。

ほんの僅かに感じる潮風。

青い空と白い雲に、観光客の楽しそうな笑い声。

だだっ広い干潮の海を歩く不思議。

それを言ったら、僕と九条さんが出会ってこうして宮島に来てるのも凄いことだよね。

九条と一緒に歩くのもまた祐羽に不思議な感覚を呼び起こした。



「わぁ~…大きい…」

残った海水を避けながら漸く辿り着いた大鳥居。
遠くから見ても大きいと思っていたが、実際間近で見ると大きいなんてものじゃなかった。
想像よりも遥かに大きな鳥居に圧倒されて、祐羽はぽかんと口を開けて見上げた。

「デカイな」

暫らくそのままで見ていた祐羽は、九条の言葉に頷いた。
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