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そうして案の定、船を漕ぎ始めかけた祐羽だったが、中瀬に強く揺さぶられて意識を浮上させた。
「おいっ、起きろ!会長帰ってきたぞ!」
「んっ…?えっ、九条さん帰って来ましたか?」
声に出したことで漸く意識を覚醒させた祐羽は、眠たい目を擦りながら慌てて立ち上がると出迎える為に玄関へと向かった。
ドアを抜けて廊下の先には、この数時間…いや、この1週間会いたくて堪らなかった恋人がちょうどドアを抜けて靴を脱いでいるところだった。
人間現金なもので、祐羽は九条の姿を目にすると眠気が不思議と飛んでいった。
嬉しいと心が弾むその気持ちのままに、九条へと駆け寄った。
「おかえりなさい九条さん!お疲れ様でした」
「あぁ」
嬉し恥ずかしで頬を染める祐羽に、九条が目だけ優しく細めて頭をよしよししてやる。
恋人同士になったからといってキスで迎えるとか抱き締めるとかはお互いしないが、この頭をよしよしされるのが祐羽のお気に入りだった。
「では、今日はこれで失礼します」
「ご苦労だったな」
「中瀬さん、ありがとうございました」
祐羽と九条が玄関でやり取りしたのを確認すると、中瀬が頭を下げて眞山と共に帰って行った。
ふたり並んでそのまま九条専用のクローゼットへ向かう。
ウォークインクローゼットというよりも部屋だ。
そこにスーツや私服がきっちりと整然と並べられていた。
前はソファに座って待っていた祐羽だが、起きている時は少しでも一緒に…とこうして着いて来るが、実は初めてこのクローゼットへ足を踏み入れて以来、ここがお気に入りになっていた。
ズラッと並んだスーツやシャツのグラデーション。
同じに見えるけれど少しずつ違うネクタイ。
寸分狂わぬといったこの非日常な空間が好きで、毎回(おぉ~~~!!)と胸アツなのだ。
祐羽の感覚は少し人とずれていた。
そんな祐羽は顔に何でも出るタイプなので、九条も黙って堪能させてやっていた。
自分が居ない時に見てもいいと言われても「人の家を勝手に見られません」と断っている。
なので、九条が帰ってきたこの時が楽しみの時間だった。
「おいっ、起きろ!会長帰ってきたぞ!」
「んっ…?えっ、九条さん帰って来ましたか?」
声に出したことで漸く意識を覚醒させた祐羽は、眠たい目を擦りながら慌てて立ち上がると出迎える為に玄関へと向かった。
ドアを抜けて廊下の先には、この数時間…いや、この1週間会いたくて堪らなかった恋人がちょうどドアを抜けて靴を脱いでいるところだった。
人間現金なもので、祐羽は九条の姿を目にすると眠気が不思議と飛んでいった。
嬉しいと心が弾むその気持ちのままに、九条へと駆け寄った。
「おかえりなさい九条さん!お疲れ様でした」
「あぁ」
嬉し恥ずかしで頬を染める祐羽に、九条が目だけ優しく細めて頭をよしよししてやる。
恋人同士になったからといってキスで迎えるとか抱き締めるとかはお互いしないが、この頭をよしよしされるのが祐羽のお気に入りだった。
「では、今日はこれで失礼します」
「ご苦労だったな」
「中瀬さん、ありがとうございました」
祐羽と九条が玄関でやり取りしたのを確認すると、中瀬が頭を下げて眞山と共に帰って行った。
ふたり並んでそのまま九条専用のクローゼットへ向かう。
ウォークインクローゼットというよりも部屋だ。
そこにスーツや私服がきっちりと整然と並べられていた。
前はソファに座って待っていた祐羽だが、起きている時は少しでも一緒に…とこうして着いて来るが、実は初めてこのクローゼットへ足を踏み入れて以来、ここがお気に入りになっていた。
ズラッと並んだスーツやシャツのグラデーション。
同じに見えるけれど少しずつ違うネクタイ。
寸分狂わぬといったこの非日常な空間が好きで、毎回(おぉ~~~!!)と胸アツなのだ。
祐羽の感覚は少し人とずれていた。
そんな祐羽は顔に何でも出るタイプなので、九条も黙って堪能させてやっていた。
自分が居ない時に見てもいいと言われても「人の家を勝手に見られません」と断っている。
なので、九条が帰ってきたこの時が楽しみの時間だった。
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