闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
上 下
561 / 1,008

甘い時間の始まりと

しおりを挟む

・・・・・・・

・・・・・

・・・


窓から入る太陽の明かりが室内を照らし、眩しいほどに輝いて見える。

そんな白い世界にポツンと存在する自分は、まるで異世界に居るかの様だ。
だけどここは異世界でも何でもなく現実で…。


そう。…これは現実なんだよね。
なんか不思議だ~…。


ベッドに座りぼんやりとしていた祐羽は、静かな落ち着いた色合いの寝室とカーテンから差し込む朝の光の狭間で意識を揺蕩わせていた。

体も心も今とても暖かい。
そんな祐羽の意識は、窓から微かに聞こえた音のした方へと向いた。

「!」

その見つめていた先、廊下へ続くドアから現れたのは人生で初めて出来た恋人で、昨夜愛を確かめ合った人だ。

長身に見合った長い足、腰の位置も驚くほどに高くまるでモデルの様にスタイルがいい。
実際に顔も整っており、この朝の光溢れる寝室へと入ってきた時は(やっぱりここは別の世界なんじゃ…)と考えてしまう程だ。
キリリとした眉に鋭くも静かな光を湛えた二重の瞳、筋の通った形の良い鼻に、唇…。

唇に視線をやった時、祐羽はキスを思い出し赤くなった頬を両手で隠した。

うわ~、思い出したらダメだーっ!!

ついその先のエッチな事まで思い出し、恥ずかしすぎてひとり悶絶する。

「待たせたな」

声を掛けられてハッとなり、漸くエッチな回想から解き放たれた。
頬は赤いままだが…。

そんな自分を見つめてくる恋人の手には大きめのトレイがあった。

「いいっ、いえっ!そんなことは…っ!」

たいして待ってはいないが、ベッドでのんびりしていた分の申し訳なさはある。
恐縮する祐羽の前にベッドトレイが置かれた。
乗せられているのはジュースの入ったグラスと数種類のサンドイッチが綺麗に並んだ色鮮やかな皿、そしてスープ。

美味しそう…。

思わずお腹が鳴りそうだ。

それからジュースの横にはブラックコーヒー。

食事や飲み物を運んで来た人物が横に座ると、体重の差が影響し、同時に僅かに沈んで祐羽の体が横へとほんの少しだけ傾いた。

「わっ」

「フッ」

 ぶつかった瞬間に小さく笑われてドキッとして顔を上げた。
すぐ近くにある整った顔。
吸い込まれる様に、思わずその人の顔を見つめてしまう。

夢じゃないんだ。
九条さんと僕は…、

「どうした?見てないで食え」

隣に座った九条が祐羽に優しく微笑みながらそう言った。
しおりを挟む
感想 159

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...