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華林が就職して3年目。
人事異動があったものの受け付け嬢のメンバーは、相変わらずの四人だった。
代り映えしないと言えばしないのだが、ある意味気が楽で働きやすかった。
今日も今日とて、次々とやって来る客に目の回る忙しさだ。
人気の企業となれば忙しいのも当たり前で、時にはアポイント無しの飛び込みも居た。
それには断固お断りをしている。
何処の誰かも分からない相手を入れる訳にはいかないのだ。
相変わらず出社する社長の九条を見つめて、先輩達と目の保養をするのが日課だ。
忙しくて他の会社へ行っている日やもしかしたら裏家業の為なのか、来ない日もある。
そんな日は内心ガッカリしつつも、新入社員のイケメンチェックを楽しんでいた。
そんなある日の午後。
いつもの様に電話連絡に対応して、内線へ回してひと息ついた所へ変わった来客があったのだ。
「…学生 ?」
自動ドアが開いて入ってきたのは、この場に相応しくない人物だった。
「あの子…どこかで…」
華林は彼が目の前まで来てその顔をしっかり見ると、ある日の記憶がフラッシュバックした。
ソワソワ何処か照れた表情でやって来た少年は、見間違う筈もなく。
あの頃より少し印象が違う。
大人に向かって成長するどこか危うい何かがあった。
愛された人間が、隠しきれない蜜を溢している。
淫靡な物を感じて、思わずドキッとした。
「あの…すみません、」
「はい。九条社長ですね?」
少年が何か言う前に、華林はニッコリと優しい笑顔で応対する。
少年の九条に愛されて綺麗になっていく姿が羨ましくありながら、何故か嬉しい気持ちにもなる華林だった。
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