闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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大手企業だけに、訪問客は多くて忙しい。

華林は今朝の九条の顔を時折思い出しながら午前の仕事を終えた。

昼になり時間差出勤の先輩と野沢達が先に昼食を済ませに行き、戻ると今度は華林が社員食堂へ向かった。

ランチセットを頼んで、空いてる隅の席へと腰かける。
それから手早くランチを済ませる。
昼食タイムは一時間半あるので、仕事に戻るのにはまだ余裕があった。
華林が早くランチを済ませるのには理由がある。

それは…。

華林はスマホを取り出すと、アルバムからひとつの画像を取り出した。

「はぁぁ~カッコイイ…」

そこに写るのは、九条。

なかなか社員の前に出てこない九条。
会いたくても会えない社員が多いなか、本社勤務で、それも受け付け嬢という職柄、最低でも一日一回は確実に顔を見ることが華林はそれが出来る。
初めはキャリアバリバリと働きたかったが、今は受け付けに配属されて良かったと思っている。

ありがとう、人事の人。

ネットで奇跡的にあったのを拾って保存していた九条の画像を見つめて、思わずフフフッと笑った。
かっこよすぎてもう笑うしかない。

実は、この会社にも多くのデキル男が揃っている。
けれど、九条を前にすると全てが霞んでしまうのだから仕方がない。

華林はモテないワケではない。
社内で声だって掛けられるし、ナンパもよくされる。
けれど、九条を間近に毎日見ていては審美眼が磨かれ過ぎて困るのだ。

それから(午後からも仕事頑張りますね!九条さんも頑張ってください)と念じながら画像を閉じると、次にアプリを起動させた。
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