闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
上 下
421 / 1,009

11

しおりを挟む
その声に一瞬目を丸くした祐羽だが、改まると口を開いた。

「あ、うん。え~っと、僕のこ……、僕の迎えに来てくれたんだ」

こ?その後の間は何だ…。

「祐羽、帰るぞ」

「あっ、はい!すみません!!」

九条に名前を呼ばれて祐羽が慌てた様子で返事をする。

「それじゃぁ僕、帰るね。今日はありがとう!」

そう笑顔で言うと、祐羽はそそくさと小走りに車に近づいて行く。

「また連絡するね~っ!」

1度こっちに顔を向けて手を振った。
駆け寄った祐羽を先程の男が抱き寄せる。

え?抱き寄せた?

ふたりは目を見開いた。

しかも顔を寄せるシルエットが見えたが…気のせいか?

キスしてた?
いやいや、まさか…!

考えたくなくて、ふたりは全力否定した。

でもこちらをチラッと投げた男の顔が意地悪く自分達を見たのは気のせいではない。

マジか?
ていうか、何だあの顔は~~~腹立つ!
あのふたり……いや。信じないぞ、俺は!!

慶太郎と直人はふたり揃って心で強く思った。

「く、九条さんっ…やめてくだ…あっ!ふ、ふたり共っ…バイバイ!またね!!」

乗り込んだ祐羽がかなり慌てた様子で男に注意をしている。
それから窓から顔を出して、自分達に声をかけてきた。
困った様な上気した赤い顔…なんかエロっぽく見えてしまうのは気のせいだろうか?

子どもっぽいのに、その顔は…。

そんな祐羽は、見送るふたりに名残惜しそうに手を振って、去って行った。

「あれ…ヤバくないか?」

手を軽く振り返し見送る。
そしてひと息ついた直人のことばに慶太郎が素直に首肯く。

「やっぱ?確実に玄人さんじゃねぇの?」

「…」

「…」

沈黙するふたり。

昔から何処か不思議で呑気な祐羽に癒されてきたが、今回は逆に肝を冷やした。

「取り敢えず近いうちにまた3人で集まろうぜ」

「…だな」

相手がどんなヤツかはっきりしてないしな。
祐羽の身を案じて、ひとまず淡い想いに今は蓋をする直人と慶太郎なのだった…。
しおりを挟む
感想 160

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ヤクザに囚われて

BL
友達の借金のカタに売られてなんやかんやされちゃうお話です

処理中です...