闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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「そんなことないけど…。で、でもっ、僕もふたりに今、癒されてるよ」

恥ずかしそうに言った祐羽の顔に視線が放せなくなりそうになったその時だった。


「おい」


微かな怒気を孕んだ低い声がかけられて、慶太郎と直人はギクッとした。

録でもない相手に声をかけられたのは間違いなさそうだ。
話に夢中になっていて声が大きくなっていたか、はたまた歩道近くで通りの邪魔になっていたか?
これはおかしなイチャモンでもつけられるかも…相手はどんなヤツだ?と恐る恐る視線を向けると、そこには想像とは全く違った相手が居た。

「「!!?」」

目の前の歩道に横付けされた夕闇に光る黒塗りの高級車が3台。
そこには停まっている車に寄りかかり上等そうなスーツを身に纏った長身の男が立っていた。
片手をポケットに突っ込んだ恐ろしい程に整った顔立ちの男が眼光鋭くこちらを見ている。
側には同じくスーツの大きな男が控えていた。

えっ、イケメン!!ていうか、雰囲気ヤバ…!!

直人が冷や汗を浮かべる。

げっ!すっげ~イケメン。でも、どう見てもコイツ…ヤーさんだ!!

慶太郎が息を飲んだ。

「あっ!」

すると次の瞬間、輪の中心で埋もれていた祐羽が声を上げた。

「九条さん!?えっ、ごめんなさいっ!もう時間になってましたか!?」

いつもは呑気な祐羽が珍しく焦っている。

「「えっ!?知り合い?!!」」

思わずふたり揃って大きな声を上げてしまった。
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