闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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や、やっぱりバレてたんじゃ…。

俺がそう心配しながら少年くんを見ると…カッコいい…なんて思っているのだろう表情で、スマホの画像を指先で触れているではないか。
 完璧に心ここにあらず、だ。

つーか、イケメン。
お前、わざと撮らせたんだろ…なんてヤツだ。
あ~なんか見てる俺が恥ずかしい!

「…おい。写真はもういいのか?」

「ッ!!」

 カッコイイなぁ(ハート)エヘヘ…みたいに思ってるだろうそんな物思いに耽っている少年くんに男が声を掛けた。
 少年くんはドキッとした顔を見せると、隠すように慌ててスマホを仕舞い込んだ。

気づかれてないとか思ってるなら、それは無理だぞ。
もう全部、それも初めからバレてるからな少年。

「どうした?時間が無くなるぞ」

 男のその様子に、きっとバレてないと思ったのだろう。
ホッと胸を撫で下ろすと、少年くんは大慌てで男の元へと駆け寄って行った。

「すみませんでしたっ、お待たせして」

 肩を縮こませて謝る少年くん。
可愛いから許してやれよ、と俺は思ったが心配は無用だったようだ。
男は「待ってない。行くぞ」と返した。

でも何だかその不遜な態度から絶対に亭主関白で最低な男とみた。

あ~今は流行らないぞ、そういうの!

 それに素直に頷いた少年くんがしずしずと後に続くその姿は大和撫子を彷彿とさせる。

え?今、昭和初期?

とにもかくにも、なんとか隠れきれて良かった~。
なんかあのペア不思議な感じだったから、正直ふたりと同じ空間に存在するとか気まずいこと極まりない。
それにあの男、迫力あって怖かったんだよな~関わりたくない。

「!!」

なんて思った瞬間、ギロッと男がこちらに視線を向けてきたからギクッと肩が揺れた。

フッと鼻で笑ったと同時に男は俺の存在を無かった事にした様で、直ぐに少年くんをエスコートして向こう側へと消えて行った。

…何。
俺が隠れてたのも初めからバレてたってわけ?
息を殺して潜んでいた俺は一体。
そして、なんだこの敗北感は…。



その後。
無駄な時間と変な姿勢で俺の体は筋肉が悲鳴をあげていた。
オマケに暫くの間、あのイケメンのことで飼育員の話題は持ちきりになるのであった。

居なくなっても存在感がハンパないとか…。

俺もイケメンに生まれたかった。

「それにしても、あの二人…」

兄弟?親戚?友達?…うーん。
どれもしっくりこない。

こいび…いや男同士だし、やっぱり俺の考えすぎだよな。

「結局、どういう関係だったんだろ?」


そんな謎だけが残った。
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