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告げる思い・8
しおりを挟む幸せ…。
祐羽からも手を回してしがみつくように抱きついた。
逞しい懐に顔を埋めて九条の香りを吸い込むと、心臓が鼓動を刻むのが聴こえる。
ドキドキしている自分の心音と重なり合う様で、祐羽はクスッと笑った。
本当に幸せだなぁ…。
小さく笑った事に気がつき、九条が懐に囲っていた自分を見下ろしてきた。
「?」
「…僕、幸せです」
祐羽の言葉に九条が微笑んだのに対して、祐羽もくすぐったさを感じて微笑み返した。
「…あっ、九条さん空見て下さい!」
九条の顔を見上げると、その向こうに星空が広がっていた。
空は街からの灯りが遠いからか、都会のど真ん中よりも星と月がよく見えた。
いつもと変わらないだろうが、今の祐羽にとっては特別な夜空に見えた。
あまりにも綺麗で九条にも共有して欲しくて、新しい思い出にしたくて。
「星がたくさん光ってますよ」
「少し見ていくか…」
「はい」
もう少しふたりで並んで居たい。
そう思い返事をすると、九条と連れだって少し戻る方向へと歩いた。
先程より外灯の落ち着いた場所にベンチを見つけて並んで座る。
ここなら、星もよく見えるだろう。
見上げると暗闇に星が思ったよりも光っている。
よく見るとチカチカと大きく光る星もあったりして面白い。
「あの星凄くピカピカしてますよ。色んな星がありますねぇ…」
「春の大三角と、そろそろ夏の大三角も見える頃だな」
「えっ、そうなんですか?詳しいんですね」
ちょっと意外で驚いた。
「あそこの星だな」
そう言って九条が指を示して教えてくれる。
「今度プラネタリウムでも行くか?」
九条から星の名前が出たのもだが、プラネタリウムにも驚かされる。
九条に誘って貰えて嬉しさも跳ね上がる。
次の約束が出来たのだ。
祐羽は嬉しさに笑顔を浮かべた。
「はい。楽しみにしてますね」
その答えに九条が空を見上げたので、祐羽も同じ様に星を見上げた。
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