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告げる想い
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夜の港は遠くに船が行き交い、空には星が瞬いている。
時折吹く優しい風。
海沿い。
ほんのりと照らし出された場所にふたりは向かい合っていた。
言い切って居たたまれなくなり俯いた祐羽と黙ったままの九条。
周りに人はもちろん居ない。
静かに遠くで汽笛が鳴ったのが聴こえるだけだ。
きっと祐羽が思うよりも時間にすれば短かっただろう。
けれど、祐羽からすると長いと感じるには十分な時間だった。
「俺の答えを聞いたらお前はどうするだろうな…」
「え?」
不意に溢された九条の言葉に、祐羽は落としていた視線をゆっくりと上げた。
そこには少しらしくない表情を浮かべた九条が居た。
困ったといえばいいのだろうか。
そんな表現がピッタリの顔だ。
そう呟いた九条は、どこか訴える目をしていた。
こんな目をした九条さん、初めて見た。
なんでそんな顔するの?
なんでが増えちゃうから、…困るから辞めて欲しい。
九条が口を皮肉気に歪めた。
それからポケットに入れていた手を出すと、垂れてきた前髪を後ろへ軽く流した。
「お前と初めて会った時から目が離せなかった…」
え?初めて会った時から…?
予想外の言葉だ。
目を閉じてそう言った九条は、それからゆっくりと視線を祐羽へと向けた。
外灯の明かりが瞳に浮かんでいる。
祐羽はじっとその光を見つめた。
「出会い方が悪かったから記憶に残っただけだと思った…思い込む事にした」
どこか悔しそうに、そして懐かしそうに九条が言った。
時折吹く優しい風。
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「え?」
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