闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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夢現、現実

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 自分が食べられない、食べきれない物はまさかよ九条が食べてくれるという予想外の出来事に驚いたものの正直嬉しさしかない。

 それだけ自分の事を考えてくれたのだろう。
 それを喜ばない人間はいないわけで。
 案の定、単純な祐羽はすっかりリラックスの境地に居て、楽しい食事の時間を過ごした。

 最後に大好きな果物を食べ終え舌が大満足した祐羽は、その若干膨れたお腹を撫でた。

 お腹いっぱい~ちょっと苦しいけど、美味しかったぁ~。

 お茶を飲んで口を潤すと、大満足の笑顔で手を合わせた。

「ごちそうさまでした」

 その頃には九条は食事を終えて酒も飲み終わり、同じくお茶を口にしていた。
 祐羽の挨拶に頷いた九条は、手にしていた湯飲みを座卓へと置いた。

「腹は膨れたか?」

「はいっ。本当に美味しくて大満足です!こんな豪華なの初めて食べました。ありがとうございました」

 勢い良く言ってからハッとなり、それからペコリと頭を下げた。
 
 こんな高級な店に入った事もなければ、こんな豪華な食事をしたこともない。
 あっても一般人がある程度の価格で食べられる範囲での事だ。
 素敵な経験をさせて貰ったと感謝の気持ちで笑顔を向けると、九条の暖かい視線と絡んだ。

 それから祐羽は、九条に促されて帰り仕度を始めた。
 とは言っても荷物を預けているので持ち物と言えるのは大切にしているシャチくらいだ。
 車に置いておけば良かったなぁ…と今更ながらに思い苦笑する。
 ついつい触り心地と安心感から無意識に持っていたのだ。

 そのシャチを手に九条と共に部屋を出る。
 それから迎えに来ていた女将と共に、玄関へ向かって廊下を進む。
 帰りもまた丁寧に作られた建物内を感心しながら歩いた。

…九条さんが連れて来てくれなきゃ、一生来なかったというか来れないお店だったと思う。
 ありがとうございます、って後でお礼を言っとこう。
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