闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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いただきます

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 正直こんな店で豪華な食事などしたことのない祐羽は、不躾なまでに一品一品をじっくり見ていった。
刺身に天婦羅、それ以外にも小鉢などがズラリと並び、お碗等も所狭しと並べられている。

「それでは何かありましたらお申し付け下さい。では、ごゆっくりと…失礼致します」

 そう言って従業員と女将が部屋を後にすると、室内には祐羽と九条、そして祐羽側の斜め後ろに中瀬が付き、九条側に眞山が付いた。
 さっき女将の退室の際にチラリと見えたが、何度か見た事のある九条の部下が二人ほど廊下に控えていた。

 そうか…九条さんヤクザの組長だし護衛みたいな人が必要なんだよね。
 でも日本は平和な方だし、大丈夫だよね。

 そんな心配が頭を過る頃、九条が「おいっ」と祐羽の物思いを遮断した。

「飯食うぞ」

「あっ、はい!」

 返事をして居ずまいを正した祐羽は、ふと気がついた。

 眞山さん達はご飯食べないのかな?
 九条さんは別にしても僕も一緒にひとり先に食べるのって、悪い気がするんだけど…。

 そう思ってチラッと眞山と中瀬を見ると(前向け)と中瀬から視線と口パクで注意を受けてしまう。

「二人の事は気にするな」

 すると、九条がそう言うと眞山も頷いた。

「私達は先程の休憩時間に晩御飯を頂きましたので。他の組員も同様、ご心配なく」

 眞山に優しく言われてホッと安堵する。

「あっ、そうなんですか」

「はい。ですから私達の事はお気になさらず」

 眞山がその精悍な顔に笑みを湛えて頷いた。

 もちろんそれは嘘で、眞山始め同行している組員達は簡単な軽食を口にした程度だ。
 しかし今、祐羽に伝える事ではない。

「じゃぁ、すみません…。いただきます」

 話が終わったと見て九条が料理に手を出したので、それを合図に祐羽も手を合わせ食前の挨拶をした。
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