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オノボリさん
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祐羽が降り立った目の前には和風の建物があり、左右へと塀が長く延びている。
門扉も立派で足元に灯りが置いてあり、暗闇の中でも十分に辺りを照らしていた。
昭和の様相をした気持ち程度の板看板に、小さく店名が書かれていた。
ぼんやりと文字が浮かび上がってはいるが、流麗すぎて祐羽には読めそうもない。
そんな建物の門扉のところには、店の関係者らしい和装の男が待ち構えている。
一切縁の無いこんな場所で祐羽が硬直してしまうのは当然だった。
え。
まさか、このお店?
そのまさかだった。
戸惑っている間にも九条に促され肩を抱かれた祐羽は、建物へと足を踏み入れた。
あまりの場違いな雰囲気に圧倒されてしまう祐羽をよそに、九条は平気で中へと進む。
既に控えていたらしい店の女将が、にこやかに迎えてくれた。
「九条様お待ちしておりました。いつもご贔屓に、ありがとうございます」
着物姿の女将が頭を下げると同時に、迎えに出た他の従業員も丁寧に挨拶を行った。
こんなの初めてなんだけど…。
入るや否や迎えに出た女将達の隙のない様子と重厚な建物内部に呆然とするが、何よりもこんな所へ通い慣れているらしい九条が凄くて思わず見つめてしまう。
平然と当然の様にしていて、一見さんお断りの店を片っ端から制覇していても可笑しくはないと思えた。
もうここは九条さんに任せて着いて歩くしかない。
女将の後ろを九条と歩きながら、オノボリさんの様に廊下を観察してしまう。
目が上下左右と忙しく動く。
少し薄暗い廊下にほんのり灯る明かりが、異質な雰囲気を増している。
磨き抜かれた廊下はうっかりすると滑って転んでしまいそうで、祐羽は慎重に歩いた。
「ふわっ…!」
そうこうして案内された部屋で、祐羽は再び間抜けな声と共に口をポカーンと開いた。
門扉も立派で足元に灯りが置いてあり、暗闇の中でも十分に辺りを照らしていた。
昭和の様相をした気持ち程度の板看板に、小さく店名が書かれていた。
ぼんやりと文字が浮かび上がってはいるが、流麗すぎて祐羽には読めそうもない。
そんな建物の門扉のところには、店の関係者らしい和装の男が待ち構えている。
一切縁の無いこんな場所で祐羽が硬直してしまうのは当然だった。
え。
まさか、このお店?
そのまさかだった。
戸惑っている間にも九条に促され肩を抱かれた祐羽は、建物へと足を踏み入れた。
あまりの場違いな雰囲気に圧倒されてしまう祐羽をよそに、九条は平気で中へと進む。
既に控えていたらしい店の女将が、にこやかに迎えてくれた。
「九条様お待ちしておりました。いつもご贔屓に、ありがとうございます」
着物姿の女将が頭を下げると同時に、迎えに出た他の従業員も丁寧に挨拶を行った。
こんなの初めてなんだけど…。
入るや否や迎えに出た女将達の隙のない様子と重厚な建物内部に呆然とするが、何よりもこんな所へ通い慣れているらしい九条が凄くて思わず見つめてしまう。
平然と当然の様にしていて、一見さんお断りの店を片っ端から制覇していても可笑しくはないと思えた。
もうここは九条さんに任せて着いて歩くしかない。
女将の後ろを九条と歩きながら、オノボリさんの様に廊下を観察してしまう。
目が上下左右と忙しく動く。
少し薄暗い廊下にほんのり灯る明かりが、異質な雰囲気を増している。
磨き抜かれた廊下はうっかりすると滑って転んでしまいそうで、祐羽は慎重に歩いた。
「ふわっ…!」
そうこうして案内された部屋で、祐羽は再び間抜けな声と共に口をポカーンと開いた。
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