闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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筒抜け

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 なんだか自分の考えまで筒抜けなのでは?と九条の表情から思ってしまう。

 そんなまさか。魔法使いじゃあるまいし。

 とはいえ、逆に自分は全く九条の事は知らないのだ。
 一体ふたりで座って何を話をしていたのだろうか?
 自分が女子高生から受けた仕打ちで落ち込んだのは確かだが、原因のひとつに九条があるのだ。
 その女子高生が相手の九条とどんな話をしたのか…。
 この目で見た光景がフラッシュバックする。
 祐羽の胸に巣食うモヤモヤとした気持ちはまだ晴れない。
 いつもならば飲み込んでしまっていたであろう言葉を祐羽は九条へと向けた。

「…それで、その…。九条さんとあの人は何を…?」

 何を話していたのか気になる。
 もの凄く。

 祐羽の表情は九条に指摘された通りに分かりやすく、不安が明らかに渦巻いていた。
 そんな様子を見て九条は、抱き寄せていた祐羽から腕を解いた。
 抱き寄せられていない祐羽は静かにホッと息を吐いて一歩下がった。
 そんな祐羽を九条が目を細めて見つめる。
 
「単に落としたリップを拾ってやっただけだ」

「そうなんですか…。でも、」

 何故ふたりでベンチに座って話していたのか、その説明になっていない。
 そこが1番気になるところだ。

「お前があの女に何を言われたかは知らないが、理由なら分かる」

「えぇっ?!な、何で…?!」

  何一つ説明していないというのに、何故か九条には分かるらしい。
 驚きと共に不思議すぎて頭はハテナが浮かぶ。

「お前もだが、表情と視線、行動にどいつもこいつも出やすいからな。だいたい察しはつく」

  何処か小馬鹿にした口調で言う様子から、どうやら九条は今までもそういう機会が多くあったのだと伺い知れる。
 経験の差というよりは、九条の人の機微に対して鋭い感覚を持っているのかもしれない。
 顔に出てると指摘され祐羽は少しでも隠したくて思わず自分の顔に手を宛てた。
 だが、その行動の意味さえも九条に心理を読み解かれているのだと思うと、無駄な抵抗と思い手を直ぐに下ろした。
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