234 / 1,008
不機嫌の理由
しおりを挟む
表も裏家業でも九条はイライラピリピリすることはあっても、ここまで不機嫌になることは今迄なかった。
今、出張で纏めた相手会社との大きな締結の関係で、莫大な書類が押し寄せている。
その関係役員や弁護士などとの会議続きで多忙を極めていたからだ。
それだけで済めば良いが、この大変な時でも社長だけでなく会長との兼任は流石の九条といえど体力と気力が大幅に削がれていた。
そんな日々が続けば疲労困憊とはいかなくとも、九条も人間だ。
いくら万能に近い男と思っていても、流石に無理があったのだろう。
「…済んだぞ。次」
「ありがとうございます。次はこちらをお願いします」
事務的にいつも以上に無表情を湛えて書類に目を通していく。
そんな九条を見つめながら眞山は内心どうしたものかと頭を悩ませていた。
そして先日の事をふと思い出す。
…そういえば…。
出張の時も機嫌は少し悪かったが、何故か最終日には恐ろしい程の切れ者ぶりを発揮して、海外の商談を纏めてしまった。
そうして直々に会いにいったのは、やはり祐羽だった。
オーダースーツをプレゼントして、行きつけの高級レストランで食事。
不可抗力とはいえ、まさかの祐羽の母親との対面。
これは、祐羽を他の人間に抱かせたくないという九条の思いがあったのは、容易に想像できた。
長い間九条の側に使えてきたが、今までそんな姿を1度たりとも見たことがなかった。
プレゼントといっても組繋がりや仕事関係の事務的な物ばかりで、いつも「お前に任せる」とだけ言われていた。
しかし、祐羽に関してだけはオーダーもレストランも全て九条から直々の細かい指示があった。
「…パン」
思わずそう溢してしまい口を慌てて閉じる。
初めて連れ帰った翌朝。
祐羽が食べていたパンもそうだった…と眞山は不意に思い出した。
今、出張で纏めた相手会社との大きな締結の関係で、莫大な書類が押し寄せている。
その関係役員や弁護士などとの会議続きで多忙を極めていたからだ。
それだけで済めば良いが、この大変な時でも社長だけでなく会長との兼任は流石の九条といえど体力と気力が大幅に削がれていた。
そんな日々が続けば疲労困憊とはいかなくとも、九条も人間だ。
いくら万能に近い男と思っていても、流石に無理があったのだろう。
「…済んだぞ。次」
「ありがとうございます。次はこちらをお願いします」
事務的にいつも以上に無表情を湛えて書類に目を通していく。
そんな九条を見つめながら眞山は内心どうしたものかと頭を悩ませていた。
そして先日の事をふと思い出す。
…そういえば…。
出張の時も機嫌は少し悪かったが、何故か最終日には恐ろしい程の切れ者ぶりを発揮して、海外の商談を纏めてしまった。
そうして直々に会いにいったのは、やはり祐羽だった。
オーダースーツをプレゼントして、行きつけの高級レストランで食事。
不可抗力とはいえ、まさかの祐羽の母親との対面。
これは、祐羽を他の人間に抱かせたくないという九条の思いがあったのは、容易に想像できた。
長い間九条の側に使えてきたが、今までそんな姿を1度たりとも見たことがなかった。
プレゼントといっても組繋がりや仕事関係の事務的な物ばかりで、いつも「お前に任せる」とだけ言われていた。
しかし、祐羽に関してだけはオーダーもレストランも全て九条から直々の細かい指示があった。
「…パン」
思わずそう溢してしまい口を慌てて閉じる。
初めて連れ帰った翌朝。
祐羽が食べていたパンもそうだった…と眞山は不意に思い出した。
23
お気に入りに追加
3,671
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。
ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。
だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる