闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
上 下
226 / 1,008

異世界の人

しおりを挟む
 今日はどうなるかと思っていたが、美味しい料理もご馳走になったし九条の新しい表情の発見できた。
 
なんか凄くいい日になったかも。

 なんて思いつつ少しだけ隣を見ると、まさかの九条と目が合う。

「!!」

 九条と目が合っただけなのに、ドキッと心臓が高鳴り痛い。
 今までは恐怖からの物が大きかったが、明らかに九条の男らしさとか別のところで反応してしまった。
 
 顔が整っているのは分かってはいたが、外のネオン等の明かりが車内を照らし、九条をより引き立てているせいだろうか。
 
 静か過ぎる空間に何とも香しい匂いを纏わせた美形の男が自分の隣に座っているのだ。
 異世界にでも迷い込んだ様な不思議な感覚に、頭の中が混乱しそうになる。
 それでも九条が居るだけで異世界も有り得るのではないかと、思えてしまう。
 
 スラリと流れる鼻梁にセクシーな唇、形の良い顎からの輪郭のライン。
 喉仏など自分と比べると全く違ってしっかり出ていて、男臭い。
  睫毛が影を落としている目元もクールだ。
 
 カッコイイ…。

「何だ」

「っ!いえ、何でもないですっ」

 気になってぼーっと見てしまっていた事に気づかれる。
 あまり見ていては失礼だろう。
 祐羽は両手を眼前で振って否定すると、膝に両手を置き直した。
 それから視線をさりげなく窓の外へと向けた。

 向けたが、窓ガラスに反射する九条を盗み見る。

 気になってしまうのだから、見てしまうのは仕方がない。
 車内は広いとはいえ、九条は直ぐ隣に座っているのだからおかしな程に心拍数が…。
 聴こえたらどうしよう、と無意味な心配が募る。
 しかも元々、乗り物に弱い祐羽は疲れと緊張も手伝ってか、次第に酔ってきた。
 おまけに誤魔化す為に、窓の反射で九条を観察するという作戦がよろしくなかった。
 流れる景色と反射する車内のせいで、視界がブレる。

…なんか気持ち悪くなりそう。

 かといって迷惑はかけられない。
 そこで大人しく祐羽は目を閉じた。
 そしてなんとかやり過ごそうと努力をするが、次第に頭がぼんやりとしてくる。
 丁度良い車内の温度と揺れる車、心身疲れているし、もう閉じた目を開けたくない。

 …眠たい…。
 
 そのうち祐羽は段々と睡魔に囚われ意識が遠退いていった。
しおりを挟む
感想 159

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...