闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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しあわせ

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気がつくと眞山が九条の斜め後ろ壁際に立って控えている。
 それから気になって後ろを見ると、ギョッとした。
 中瀬がいつの間にか同じ様に斜め後ろに立っていたからだ。
 目が合うと『前向け』と言われている気がするのは気のせいではないだろう。
個室ドアの外側には部下が立っているのが分かった。

 眞山さんや中瀬さん、あと他の人は食べないのかな?

 疑問に思う間にもテーブルにアミューズが運ばれてくる。
 祐羽はいよいよ逃げ出せない事を悟って、慌ててナプキンを膝の上に乗せた。
 とにかく間違えないようにと九条を必死で真似ようとするが、初っ端からナプキンの使い方が違っていた様で然り気無く中瀬に直される。
 飲み物も注がれ、九条には琥珀の液体だが自分に注がれたのはどう見てもオレンジジュースだ。
 それを見て何だか一気に現実的になる。
 どう足掻いても自分は何も知らない子どもなのだ。
 ちょっとだけホッと肩の力を抜くと、九条が穏やかな声で話しかけてきた。
 
「緊張するな。好きに食べればいい」

「え?」

「腹が減った。食うぞ」

 そう言った九条の手にはグラス。
 祐羽も急いでオレンジジュースの入ったグラスを手に掲げた。

「いただきます」

 緊張のせいか余程、喉が渇いて居たようで一気に半分も飲み干してしまった。
 並んだカトラリーに(外からだっけ?中からだっけ?)と迷いながら手を伸ばすと、すかさず中瀬の小声アドバイスが飛んできた。
 綺麗で美味しそうな料理にナイフを入れる。
 それからフォークでゆっくり口へと入れた。

「お、美 味 し っ …!」

 口にした瞬間、思わず恍惚とした声が漏れ顔も緩んでしまった。

しあわせぇ~はぁ~。
 
…気のせいだろうか。
こっちを見ていた眞山が吹き出した様に思えたのは…。


 
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