闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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 眞山が車で九条を迎えに行きそのまま二日間の出張へと福岡へ飛んだのは昨日のことだ。
 表の会社社長という肩書きの九条だが、裏の顔は所謂ヤクザであり、それを知っている人間も勿論居る。

 表向きはやり手の若社長で、取引先は殆ど誰も九条がヤクザの会長をしているのを知らない。
 警察のトップさえKUJYOグループの社長が旭狼会会長と九条が兼任していると知っていても動けないのだ。 
そんな警察が出来ない事を素人がやって、取り返しのつかない道筋は歩みたくないに違いない。
 だから誰ひとりとして、その事実を知っていたとしても九条イコールヤクザとは結びつけない様にしている。

 例えそれが事実としても九条がヤクザでも実業家としての腕は本物で、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのKUJYOグループの恩恵にあやかりたい企業は多い。

「社長、本日の会議内容です」

「あぁ」

 渡された資料にザッと目を通した九条は、それで把握できたのか不安になる簡単さで眞山に返してきた。
 いつもこんな感じだ。

 九条は何を考えているのか窓の外に流れる景色を眺めている。

 管轄する関東の縄張りから出て、修羅の国と言われる福岡へと入るのは多少気を遣ったが、そこは九条の実力を把握しているだけに下手に動かないだろう。
 そして、身辺警護の為に十数人は静かに周りを警戒させている。
 その為、必要以上に神経質にならなくてもよかった。

  それでも九条は万が一に備えて警戒しているのだろうか?

 そんな些末な事で、この九条という男が膝をつくことはないと眞山は確信していた。
 相手が何処の誰だろうと、自分のボスに叶うわけがない、と。

 すると九条がスマホを取り出し、何かを確認した。

「社長、何か?」

「…いや」

 眞山の掛けた声には応えずに、九条は取り出したスマホの画面をもう一度確認すると、そのまま懐へと再び仕舞った。
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