闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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乗せられたのは

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 初めの頃の荒んだ男は見当たらないし、女の子の顔もキラキラと輝いていた。
 心なしか祐羽の心もほっこりと暖かくなる。

「…良かった…グスッ、ズッ」

 自分には内容が大人っぽかたっが、充分に内容を理解する事が出来た。
 本当に人と人が心を通わせるには相手を知ろうとする気持ちが大切なのだと、祐羽は映画を通して改めて学ぶ事が出来た。
 今日、この映画を観る事が出来て本当に良かったと思った。

「うぅっ、…グスッ、スンッ」

 画面の中では手を繋いで街中を何気なく歩くふたりが映っている。
 ふたりを別つ物は何も無い。
 一緒に歩ける幸せ。

 それが伝わってなかなか涙を止められない祐羽の頭に、大きくて暖かい物が乗せられる。
 それが軽くポンポンと叩く。

「!?」

 その瞬間に祐羽は驚いて固まってしまった。

 頭に乗せられたのは確認しなくても分かった。

 それは、九条の手だった。 
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