116 / 1,008
語れない真実
しおりを挟む
すると亮介が祐羽から体を離して、中瀬に向き直った。
「あ、こっちは父です」
「はじめまして。この度は大切な息子さんに、本当に申し訳ありませんでした」
中瀬が紹介すると、堺がすかさず頭を下げた。
「ああっ、頭を上げてください!!こちらこそ、お世話になりまして…」
亮介が頭を上げるように促すと、堺はゆっくりと体を元に戻した。
「家内がジュースとお酒を間違えて出してしまって、本当に申し訳ありませんでした」
既に連絡済みということで、亮介も理解しており手を振って堺に気にしないように伝える。
「いえ、最近の物は果物のイラスト入ってたりしますしねぇ。アルコール中毒で倒れたとかじゃないんで、大丈夫です」
亮介が笑いながら言うと、香織も「そうですよ。却ってお世話をかけてしまって」と言った。
いや。
お世話をかけては全くないよ、お母さん!
むしろ迷惑を掛けられて、処女も奪われた祐羽は被害者だ。
お酒で酔っぱらって一晩泊まったこの物語が事実なら、それほど幸せな事はないだろう。
祐羽は真実の語れないモヤモヤ感に、眉を寄せた。
「ゆうちゃん服はどうしたの?」
「酔った表紙に溢しれて汚れたみたいでしたので。息子の為に妻が買ったモノですが、コイツすーぐ大きくなって一度も着れないままでして」
突然訊かれてドキッとしたものの堺がさも本当の様にエピソードを披露する。
「勿体ないので、このままお詫びも込めてお譲りしたいと思いますので」
その言葉に両親が恐縮していた。
こうして仮の中瀬一家は確実に好い人認定がされていくのを祐羽は感じ取っていた。
「あ、こっちは父です」
「はじめまして。この度は大切な息子さんに、本当に申し訳ありませんでした」
中瀬が紹介すると、堺がすかさず頭を下げた。
「ああっ、頭を上げてください!!こちらこそ、お世話になりまして…」
亮介が頭を上げるように促すと、堺はゆっくりと体を元に戻した。
「家内がジュースとお酒を間違えて出してしまって、本当に申し訳ありませんでした」
既に連絡済みということで、亮介も理解しており手を振って堺に気にしないように伝える。
「いえ、最近の物は果物のイラスト入ってたりしますしねぇ。アルコール中毒で倒れたとかじゃないんで、大丈夫です」
亮介が笑いながら言うと、香織も「そうですよ。却ってお世話をかけてしまって」と言った。
いや。
お世話をかけては全くないよ、お母さん!
むしろ迷惑を掛けられて、処女も奪われた祐羽は被害者だ。
お酒で酔っぱらって一晩泊まったこの物語が事実なら、それほど幸せな事はないだろう。
祐羽は真実の語れないモヤモヤ感に、眉を寄せた。
「ゆうちゃん服はどうしたの?」
「酔った表紙に溢しれて汚れたみたいでしたので。息子の為に妻が買ったモノですが、コイツすーぐ大きくなって一度も着れないままでして」
突然訊かれてドキッとしたものの堺がさも本当の様にエピソードを披露する。
「勿体ないので、このままお詫びも込めてお譲りしたいと思いますので」
その言葉に両親が恐縮していた。
こうして仮の中瀬一家は確実に好い人認定がされていくのを祐羽は感じ取っていた。
21
お気に入りに追加
3,671
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる