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第二章 連邦首都アルステイラ
03話 修行の成果
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ローブの男たちが数人こちらへ飛びかかってくる。俺の方には3人来てるな。フィーラと一緒に煽り散らかした奴は意外と理性的なのか後方で様子見していると言った感じだ。というより全員その身一つで突っ込んでくるとか、見た目にそぐわずコイツら皆脳筋なのか?もっと魔術とか飛ばしてくると思ってたんだが、まあいいや。
「わざわざそっちから姿を現してくれるたぁ、建物に入る手間が省けてよかったぜ!」
仮面越しのくぐもったヒャッハー声と共に3人のローブ男が短剣を振り上げる。剣先に微量の魔力が込められている以外は何の変哲もないただのナイフだ。森林で出会った怪物たちの得物に比べればオモチャみたいなモノである。
「…あっそ」
俺はため息混じりに誘導灯を振る。<一時停止>の具現化により3人の男はバンザイポーズのまま固まった。さて、先ほどまでの修行の成果を試すとしよう。まずは全身を巡る魔力を右手に集中させて……殴る!!
「ぶべあっ!?」
魔力を纏わせた殴打を真ん中のヤツの顔面に喰らわせたあと、拳を突き出した流れのまま右足を軸に体を反時計回りに回転させる。一秒にも満たないその回転の時間で右手に込めた魔力をすべて左肘に移動させ、回転の勢いを利用し隣のヤツにもエルボーお見舞いした。攻撃を加えられた2人は前方に吹っ飛んでそのまま壁に突き刺さる。うん、体内の魔力操作は問題ないな。魔力による身体能力向上もボチボチと言ったところか。
「おい嘘だろ!コイツ魔術の才能が無くて追い出されたはずじゃ……」隣に居た仲間2人を失ったローブ男がそう嘆く。
「お、本当のことを知っているってことはファンデンベルク家と繋がりがあるのか?ソレとも単なる情報通なのか?まあ、いずれにせよ……」
<最低重量制限・500㎏>
「ッ!?重ッ!!」
俺の魔術によってローブ男は首を垂れる体勢で倒れこむ。
<最低速度制限>とノリは同じだ。実在する<重量制限>という標識に下限の要素を加え、ソレにより『男のローブを500㎏に変化』させたのだ。衣類を重くすることによる疑似的な重力魔術と言ったところか。何やら情報を知ってそうな口振りだったし戦いが終わるまでこのまま這いつくばっていてもらおう。
「調子に乗るなよガキ!!」
背後からの声に対して俺は<落石注意>の標識で応える。
死角からの急襲の際に声を出す間抜けたちは、具現化した4個の岩によってぐちゃりと潰された。
「やるじゃない!もう5人もやっつけるなんて!!」
そう言いながら拍手するフィーラの周りにはローブ男が20人くらい倒れている。ぴくぴくと痙攣しながらへたり込んでいたり、白目を剥いて倒れていたり、フィーラに顔を踏んづけられていたり…やられ様は十人十色だ。この短時間でこれ程の人数を再起不能にするとは……恐ろしい娘。
「クソッ!ガキだと思って油断した!」
「だから言ったんだ!目撃情報があったからって無暗にオキュラス本部に忍び込むのはヤバいって!」
仲間の惨状を目の前に、こちらへ来ていないローブ男たちは口々に文句を言い始めた。この期に及んで仲間割れ?協調性も計画性もまったくないオイ奴らだなオイ。……なんでこんな集団が連邦の中枢であるオキュラス本部の敷地内に侵入できたのだろうか。ココの警備って結構ガチガチだった気がするんだけど…
「お前が最初に行こうって言いだしたんだろ……って、うわっ!」
見苦しく言い争う男たちの身体が突然宙に舞う。
「はあ……とんだ期待外れね」人差し指を指揮棒のように扱うフィーラの顔には落胆の色が浮かんでいる。
「自信満々だからもっと強いのかと思ってたけど…もういいわ。アリアネちゃん、やっちゃって!」
「はいよ!」
フィーラの要望に応え俺は3回誘導灯を振った。
<落石注意>+<一方通行>+<最低速度制限・150㎞/h>
<落石注意>で岩を具現化させ、<一方通行>で狙いを定める。そして<最低速度制限>によるダメ押しの速度バフを加えて…
射角を斜め上に調整された4つの大岩は時速150キロの速さで空中の男たちに直撃した。大岩の命中により鈍い音が響いた後、男たちはボトボトと地に落ちて意識を失う。
コレが3つの標識の効果を合わせた複合魔術、名付けて【巨岩重砲】!即興にしては中々に出来の良い技じゃないか?うん。
さて、コレで侵入者は全員やっつけたかな…ってあれ?
どうやってかフィーラの風魔術から逃れていた1人の男――俺たちが煽り散らかした奴――が柱の陰から顔を出し
「…まだだ!まだ終わってないぞ!」と相変わらず小物臭のする言葉を吐いた。
「いや、もう無理でしょ…コレからどうするってわけ?」
「ははは!今にその減らず口を叩けなくしてやるさ!」
「はあ?どこが減らず口なわけ――」
「黙れ!!」
男はばつが悪そうに叫んだあと地面に手をかざす。
「【百獣夜行】!!」
男の言葉と共に修練場の中央に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
◇◇◇◇◇◇◇
[Tips]
<一方通行> 青い長方形の中心に矢印が描かれた標識。効果対象は標識が具現化した際の矢印の方向へ強制的に移動させられる。
「わざわざそっちから姿を現してくれるたぁ、建物に入る手間が省けてよかったぜ!」
仮面越しのくぐもったヒャッハー声と共に3人のローブ男が短剣を振り上げる。剣先に微量の魔力が込められている以外は何の変哲もないただのナイフだ。森林で出会った怪物たちの得物に比べればオモチャみたいなモノである。
「…あっそ」
俺はため息混じりに誘導灯を振る。<一時停止>の具現化により3人の男はバンザイポーズのまま固まった。さて、先ほどまでの修行の成果を試すとしよう。まずは全身を巡る魔力を右手に集中させて……殴る!!
「ぶべあっ!?」
魔力を纏わせた殴打を真ん中のヤツの顔面に喰らわせたあと、拳を突き出した流れのまま右足を軸に体を反時計回りに回転させる。一秒にも満たないその回転の時間で右手に込めた魔力をすべて左肘に移動させ、回転の勢いを利用し隣のヤツにもエルボーお見舞いした。攻撃を加えられた2人は前方に吹っ飛んでそのまま壁に突き刺さる。うん、体内の魔力操作は問題ないな。魔力による身体能力向上もボチボチと言ったところか。
「おい嘘だろ!コイツ魔術の才能が無くて追い出されたはずじゃ……」隣に居た仲間2人を失ったローブ男がそう嘆く。
「お、本当のことを知っているってことはファンデンベルク家と繋がりがあるのか?ソレとも単なる情報通なのか?まあ、いずれにせよ……」
<最低重量制限・500㎏>
「ッ!?重ッ!!」
俺の魔術によってローブ男は首を垂れる体勢で倒れこむ。
<最低速度制限>とノリは同じだ。実在する<重量制限>という標識に下限の要素を加え、ソレにより『男のローブを500㎏に変化』させたのだ。衣類を重くすることによる疑似的な重力魔術と言ったところか。何やら情報を知ってそうな口振りだったし戦いが終わるまでこのまま這いつくばっていてもらおう。
「調子に乗るなよガキ!!」
背後からの声に対して俺は<落石注意>の標識で応える。
死角からの急襲の際に声を出す間抜けたちは、具現化した4個の岩によってぐちゃりと潰された。
「やるじゃない!もう5人もやっつけるなんて!!」
そう言いながら拍手するフィーラの周りにはローブ男が20人くらい倒れている。ぴくぴくと痙攣しながらへたり込んでいたり、白目を剥いて倒れていたり、フィーラに顔を踏んづけられていたり…やられ様は十人十色だ。この短時間でこれ程の人数を再起不能にするとは……恐ろしい娘。
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「自信満々だからもっと強いのかと思ってたけど…もういいわ。アリアネちゃん、やっちゃって!」
「はいよ!」
フィーラの要望に応え俺は3回誘導灯を振った。
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射角を斜め上に調整された4つの大岩は時速150キロの速さで空中の男たちに直撃した。大岩の命中により鈍い音が響いた後、男たちはボトボトと地に落ちて意識を失う。
コレが3つの標識の効果を合わせた複合魔術、名付けて【巨岩重砲】!即興にしては中々に出来の良い技じゃないか?うん。
さて、コレで侵入者は全員やっつけたかな…ってあれ?
どうやってかフィーラの風魔術から逃れていた1人の男――俺たちが煽り散らかした奴――が柱の陰から顔を出し
「…まだだ!まだ終わってないぞ!」と相変わらず小物臭のする言葉を吐いた。
「いや、もう無理でしょ…コレからどうするってわけ?」
「ははは!今にその減らず口を叩けなくしてやるさ!」
「はあ?どこが減らず口なわけ――」
「黙れ!!」
男はばつが悪そうに叫んだあと地面に手をかざす。
「【百獣夜行】!!」
男の言葉と共に修練場の中央に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
◇◇◇◇◇◇◇
[Tips]
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