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Merry Christmas!2017
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※本編の途中ですがイヴということで短編挟みます
「…何で私達はここにいるのだろうか」
由芽が死にそうな顔で呟いた。私達は今、高校の近所にある幼稚園に来ている。
「お手伝いを頼まれたからかなぁ」
眞里阿がにこにこしながら言葉を返す。
「にしても、吹奏楽部は毎年のことだから分かるけど、何で私達まで」
「『今年は吹部の人数が足りないから、演奏会が始まるまで子供の相手が出来ない』って青海川先生が言ってるのを、トラブルメーカーが聞かなければこんな事には…」
「「トラブルメーカーって誰のこと!?」だよ!?」
遠くにいた紗奈と竜夜くんが、振り向いてまでリアクションを返してくれる。微笑ましいなぁと思いながら見ていると、絶望したような顔をした由芽がツッコミを入れる。
「聞こえてるってことは自覚あるんじゃん」
「うっ…」
何も言い返せなくなった紗奈達が黙ったところで、私は由芽に聞く。
「由芽、何でそんな辛そうな表情なの?」
「…子供苦手なんだよねぇ…子供っぽい同級生なら黙らせられるから良いんだけど…」
「そういうことか」
「おーい、お前らー」
青海川先生が、体育館のような広場で準備をしている私達に呼びかけた。
「吹部は舞台袖に入れー。手伝いに来た奴らは教室にいる子供達と遊んで来てやれー」
「「はーい」」
私達は返事をして、それぞれ前もって決めていた教室に入る。私は小野くんと「さくらぐみ」と書かれた教室に入る。
「みんなー、お姉さんとお兄さんが遊びに来てくれたよー!」
挨拶と自己紹介を終えると、子供達と同じ目線になるまでしゃがんで、積み木やお絵かきなどをして遊ぶ。普段の様子から小野くんが心配だったが、子供好きなようで楽しそうに遊んでいた。
すると、端の方で私の方をちらちら見ている女の子達が視界に入った。気になったので、女の子達の方に行ってみた。
「どうしたのー?」
「っあ、あの、あのねっ。おねーちゃんと、あそびたいなって、おはなししてたの」
「そっか!じゃあ一緒に遊ぼう!お名前なんていうの?」
「えっとね、おぼろ!」
「ひなりー」
「おぼろちゃんと、ひなりちゃんだね!よろしくね」
2人と遊び始めて少し経った頃、先生が大きな声で呼びかけた。
「みんなー、広場に行くよー!並んでー!」
「「「はぁーい」」」
園児達が自ら片付けを始めたので、私も少し手伝う。並ぶ列の1番後ろからついていくと、楽器だけがたくさん並んでいた。園児達がおとなしく並び終わるのを見守って、小野くんと端に寄る。するとサンタ帽を被った眞里阿と、トナカイのカチューシャをした雪くんが現れた。雪くんの表情が凄く固い。
「みんなー!今からお姉さんとお兄さんがクリスマスの曲を演奏するよー!」
「良い子で聴いてねー!」
そして、CMでも流れる有名なクリスマスソングをいくつか聴いた後、一緒に定番の曲を歌った。
あっという間に時間は過ぎていった。
「「おねーさん、おにーさん、ありがとー!」」
園児達はお礼を大きな声で言うと、自分たちの教室に帰っていった。私達も楽器の片付けを手伝う。
「楽しかったね!」
「子供、元気すぎ…」
「何で俺なんだよ…死にたい…」
「雪くんがじゃんけんで負けたからですよー」
私達が会話で盛り上がっていると、青海川先生が来た。
「お前らお疲れ。片付け終わったら吹部以外は帰っていいぞー」
「ちょうど今終わったよー!じゃあ解散ということで!お疲れ様でしたー!」
「「「お疲れ様でしたー」」」
私達の挨拶の声が、広場に響き渡った。
「…何で私達はここにいるのだろうか」
由芽が死にそうな顔で呟いた。私達は今、高校の近所にある幼稚園に来ている。
「お手伝いを頼まれたからかなぁ」
眞里阿がにこにこしながら言葉を返す。
「にしても、吹奏楽部は毎年のことだから分かるけど、何で私達まで」
「『今年は吹部の人数が足りないから、演奏会が始まるまで子供の相手が出来ない』って青海川先生が言ってるのを、トラブルメーカーが聞かなければこんな事には…」
「「トラブルメーカーって誰のこと!?」だよ!?」
遠くにいた紗奈と竜夜くんが、振り向いてまでリアクションを返してくれる。微笑ましいなぁと思いながら見ていると、絶望したような顔をした由芽がツッコミを入れる。
「聞こえてるってことは自覚あるんじゃん」
「うっ…」
何も言い返せなくなった紗奈達が黙ったところで、私は由芽に聞く。
「由芽、何でそんな辛そうな表情なの?」
「…子供苦手なんだよねぇ…子供っぽい同級生なら黙らせられるから良いんだけど…」
「そういうことか」
「おーい、お前らー」
青海川先生が、体育館のような広場で準備をしている私達に呼びかけた。
「吹部は舞台袖に入れー。手伝いに来た奴らは教室にいる子供達と遊んで来てやれー」
「「はーい」」
私達は返事をして、それぞれ前もって決めていた教室に入る。私は小野くんと「さくらぐみ」と書かれた教室に入る。
「みんなー、お姉さんとお兄さんが遊びに来てくれたよー!」
挨拶と自己紹介を終えると、子供達と同じ目線になるまでしゃがんで、積み木やお絵かきなどをして遊ぶ。普段の様子から小野くんが心配だったが、子供好きなようで楽しそうに遊んでいた。
すると、端の方で私の方をちらちら見ている女の子達が視界に入った。気になったので、女の子達の方に行ってみた。
「どうしたのー?」
「っあ、あの、あのねっ。おねーちゃんと、あそびたいなって、おはなししてたの」
「そっか!じゃあ一緒に遊ぼう!お名前なんていうの?」
「えっとね、おぼろ!」
「ひなりー」
「おぼろちゃんと、ひなりちゃんだね!よろしくね」
2人と遊び始めて少し経った頃、先生が大きな声で呼びかけた。
「みんなー、広場に行くよー!並んでー!」
「「「はぁーい」」」
園児達が自ら片付けを始めたので、私も少し手伝う。並ぶ列の1番後ろからついていくと、楽器だけがたくさん並んでいた。園児達がおとなしく並び終わるのを見守って、小野くんと端に寄る。するとサンタ帽を被った眞里阿と、トナカイのカチューシャをした雪くんが現れた。雪くんの表情が凄く固い。
「みんなー!今からお姉さんとお兄さんがクリスマスの曲を演奏するよー!」
「良い子で聴いてねー!」
そして、CMでも流れる有名なクリスマスソングをいくつか聴いた後、一緒に定番の曲を歌った。
あっという間に時間は過ぎていった。
「「おねーさん、おにーさん、ありがとー!」」
園児達はお礼を大きな声で言うと、自分たちの教室に帰っていった。私達も楽器の片付けを手伝う。
「楽しかったね!」
「子供、元気すぎ…」
「何で俺なんだよ…死にたい…」
「雪くんがじゃんけんで負けたからですよー」
私達が会話で盛り上がっていると、青海川先生が来た。
「お前らお疲れ。片付け終わったら吹部以外は帰っていいぞー」
「ちょうど今終わったよー!じゃあ解散ということで!お疲れ様でしたー!」
「「「お疲れ様でしたー」」」
私達の挨拶の声が、広場に響き渡った。
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