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Merry Christmas! 海斗
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「かーいーとー!!まーだー!??」
「海斗、待ちきれないデス!」
「っだぁぁぁうっせぇ!!お前らのせいだろうが!!!黙って待ってろ!!」
炬燵に入りながらぬくぬくと暖を取っているのは、姉である華陸と花凛だ。クリスマス休暇ということもあり帰って来た花凛と父さんを出迎えたのは、つい3時間程前。その後久しぶりに夫婦水入らずの時間を作れと両親を追い出したのが1時間半前。そしてつい30分前、3人で炬燵に入っていた時に華陸がぽつりと呟いたのだ。
「手作りケーキが食べたい」
「は?」
「だって今日クリスマスイヴだよ!?ケーキがなきゃ始まらなくない!?」
「そうだな。買って来い」
「こんなバカみたいに寒い中外出る奴いんの?頭おかしいんじゃない?」
「全国のクリスマスに働いてる人とカップルに謝れ」
「カップルは滅べ」
「弟を殺すな」
華陸は「そうじゃん」と思い出したかのように俺を睨むと、駄々を捏ねるように手足をばたばたさせ始めた。
「ケーーーキーーーー!ケーキ食べたーーーーい!!!」
「父さん達に頼めよ。夜には帰って来るだろ」
「やぁぁだぁぁあ!!手作りケーキがいいーーー!」
「我儘か!?!?自分で作れ馬鹿!!」
「馬鹿とはなんだお姉様に向かって!?」
「ぎゃぁぁやめろ馬鹿!!」
華陸が俺のこめかみをぐりぐりと攻撃し始めたので悲鳴を上げる。それを見ていた花凛が、いつも通りにこにこした顔で呟いた。
「ワタシも、手作りcake 食べたいデス!」
「はぁ??」
「ほらー、花凛姉も言ってるよー??海斗の手作りケーキ食べたいってー」
「"俺の"とは言ってねぇだろ!?つーかそもそも材料ねぇし…」
「材料??」
「卵と薄力粉と……あと砂糖と牛乳。…生クリームとか苺もいるだろ?」
「strawberry…ありましたですよ」
「は?」
「卵と牛乳と砂糖はいつも家にあるしねー。薄力粉ってあったっけ?」
「知らん見て来い」
「あ?お姉様に動けって言うのか?」
「…」
理不尽だと感じながらも、年の差というのは抗えないもので。渋々見に行けばそこには薄力粉も生クリームも苺もあった。型は母が昔お菓子作りを極めると言い出した時に買ったものがあり、作れる状況が揃ってしまった。
「やったー!海斗がケーキ作ってくれるー!」
「Oh, 楽しみデス!」
そんなこんなで、拒否権のないままケーキ作りが始まってしまった。電動の泡立て器で生クリームを作ってる最中にまだかまだかとヤジが飛び、集中も出来ない。携帯でレシピを調べながら、なんで俺が…とぶつぶつ呟く。
それから時折飛ぶ姉達のヤジやちょっかいを潜り抜け、やっと生クリームのケーキが完成した。
「うっっっわぁ………」
「なんだよ」
「凝り性なのは知ってたけど、流石だわ…」
「細かい装飾、素敵デス!」
華陸が若干引いた顔で、花凛が目をキラキラと輝かせながら見ているのは、自分でもやりすぎたと思えるほどに凝ったデコレーションである。生クリームを絞る際に口金がたくさんあることを知り、一つ一つの特徴を確かめていたら楽しくなってやり過ぎてしまったのだ。見た目が華やかになるのだからいいだろう、と開き直っている。
「写真撮って上げよー」
「住所バレないようにしろよ」
「海斗、流石デス!美味しそう!」
「ママ達にも送っとくわ。よし、それじゃあ6等分しよ」
「早っ…て、え?6?」
もう少し余韻を楽しめとツッコもうとしたところで、華陸の出した数字に引っ掛かった。俺達は3人姉弟で、両親も入れて5等分が正解だろう。6等分にすると1つ余ってしまう。
「どうせ由芽ちゃんに会うんでしょ?その時持って行きなさいよ。あ、なんなら今から呼ぶ!?」
「! …呼ばねぇよバーカ!」
「あ?バカとはなんだバカとは!」
そういう気遣いをするところが、本当にバカなんだ。
何だか耳が熱い気がするが、気のせいということにしてケーキを切り分けることにした。
「海斗、待ちきれないデス!」
「っだぁぁぁうっせぇ!!お前らのせいだろうが!!!黙って待ってろ!!」
炬燵に入りながらぬくぬくと暖を取っているのは、姉である華陸と花凛だ。クリスマス休暇ということもあり帰って来た花凛と父さんを出迎えたのは、つい3時間程前。その後久しぶりに夫婦水入らずの時間を作れと両親を追い出したのが1時間半前。そしてつい30分前、3人で炬燵に入っていた時に華陸がぽつりと呟いたのだ。
「手作りケーキが食べたい」
「は?」
「だって今日クリスマスイヴだよ!?ケーキがなきゃ始まらなくない!?」
「そうだな。買って来い」
「こんなバカみたいに寒い中外出る奴いんの?頭おかしいんじゃない?」
「全国のクリスマスに働いてる人とカップルに謝れ」
「カップルは滅べ」
「弟を殺すな」
華陸は「そうじゃん」と思い出したかのように俺を睨むと、駄々を捏ねるように手足をばたばたさせ始めた。
「ケーーーキーーーー!ケーキ食べたーーーーい!!!」
「父さん達に頼めよ。夜には帰って来るだろ」
「やぁぁだぁぁあ!!手作りケーキがいいーーー!」
「我儘か!?!?自分で作れ馬鹿!!」
「馬鹿とはなんだお姉様に向かって!?」
「ぎゃぁぁやめろ馬鹿!!」
華陸が俺のこめかみをぐりぐりと攻撃し始めたので悲鳴を上げる。それを見ていた花凛が、いつも通りにこにこした顔で呟いた。
「ワタシも、手作りcake 食べたいデス!」
「はぁ??」
「ほらー、花凛姉も言ってるよー??海斗の手作りケーキ食べたいってー」
「"俺の"とは言ってねぇだろ!?つーかそもそも材料ねぇし…」
「材料??」
「卵と薄力粉と……あと砂糖と牛乳。…生クリームとか苺もいるだろ?」
「strawberry…ありましたですよ」
「は?」
「卵と牛乳と砂糖はいつも家にあるしねー。薄力粉ってあったっけ?」
「知らん見て来い」
「あ?お姉様に動けって言うのか?」
「…」
理不尽だと感じながらも、年の差というのは抗えないもので。渋々見に行けばそこには薄力粉も生クリームも苺もあった。型は母が昔お菓子作りを極めると言い出した時に買ったものがあり、作れる状況が揃ってしまった。
「やったー!海斗がケーキ作ってくれるー!」
「Oh, 楽しみデス!」
そんなこんなで、拒否権のないままケーキ作りが始まってしまった。電動の泡立て器で生クリームを作ってる最中にまだかまだかとヤジが飛び、集中も出来ない。携帯でレシピを調べながら、なんで俺が…とぶつぶつ呟く。
それから時折飛ぶ姉達のヤジやちょっかいを潜り抜け、やっと生クリームのケーキが完成した。
「うっっっわぁ………」
「なんだよ」
「凝り性なのは知ってたけど、流石だわ…」
「細かい装飾、素敵デス!」
華陸が若干引いた顔で、花凛が目をキラキラと輝かせながら見ているのは、自分でもやりすぎたと思えるほどに凝ったデコレーションである。生クリームを絞る際に口金がたくさんあることを知り、一つ一つの特徴を確かめていたら楽しくなってやり過ぎてしまったのだ。見た目が華やかになるのだからいいだろう、と開き直っている。
「写真撮って上げよー」
「住所バレないようにしろよ」
「海斗、流石デス!美味しそう!」
「ママ達にも送っとくわ。よし、それじゃあ6等分しよ」
「早っ…て、え?6?」
もう少し余韻を楽しめとツッコもうとしたところで、華陸の出した数字に引っ掛かった。俺達は3人姉弟で、両親も入れて5等分が正解だろう。6等分にすると1つ余ってしまう。
「どうせ由芽ちゃんに会うんでしょ?その時持って行きなさいよ。あ、なんなら今から呼ぶ!?」
「! …呼ばねぇよバーカ!」
「あ?バカとはなんだバカとは!」
そういう気遣いをするところが、本当にバカなんだ。
何だか耳が熱い気がするが、気のせいということにしてケーキを切り分けることにした。
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