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3月16日 甘い物談義
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ぼーっとしては話しかけられ我に返る、そんなやり取りを両手では数え切れないほど繰り返した後で、放課後になった。来週には春休みに入っているという事実に驚きを隠せないまま、私達は目当ての場所に向けて歩き出す。紗奈と由芽と眞里阿と私。ありそうでなかった組み合わせだなぁと思いながら、私達は歩道を2人ずつに分かれて歩いた。
「最初どこ行くんだっけー?」
「おやつからかなー。眞里阿、案内頼める?」
「お任せくださいっ!すっごくおすすめなんだよ」
敬語癖が少しだけ解れた不思議な話し方になっているが、気付いていないらしい。眞里阿は目をキラキラと輝かせて、自信満々に胸を叩いた。
「楽しみにしてる。スイーツだっけ?」
「はいっ、スイーツです!」
「へぇ、私も楽しみ。甘いものって幸せな気分になるよね」
「勉強と運動で疲れた体には良いね!」
「今日はそんなにしてないでしょ」
「いや!1分でも1秒でも勉強すれば脳は甘い物を欲するんだよ!これ、人類の常識!」
「浅野くんとかはどうなるんだよ」
「え?」
紗奈がぱちぱちと目を瞬いて、由芽を振り返る。その隣を歩いていた眞里阿が苦笑いをして、情報を付け加えた。
「かおくんは甘い物、苦手ですから」
「そうだったの!?へ、へぇ…そんな人類いるんだ…」
「鹿宮くんも、確かチョコだめだったよね?」
「うん。他の甘い物は平気らしいけどね」
「え!?チョコ、が…?なんで…???」
「さぁ?トラウマでもあるんじゃない?」
「雑ぅ~…」
「それこそ由芽ちゃんは調べてるんじゃないの?」
「調べたし知ってるけど、言うほどでもないかなって。聞きたいなら話すけど」
「いや、いいよ…」
相変わらず、聞けば出て来る由芽の情報網は怖いものがある。あっけらかんと返す姿に、任せていい気がしてしまうあたり私達も末期だ。
「そう考えると女子で甘い物苦手ってあんまり聞かないよねー、周りに誰かいるかなぁ?」
「絶対食べられない、は聞いたことないかも。いるにはいるんだろうけど」
「そうね。私達の交友関係で言えば、1番苦手そうなのは霙かしら」
「霙???」
「え、でも霙ちゃんは食べてるところ見ますけど…」
「そう、食べられるけど量はいけないのよ。だから強いて言えばって感じね」
「へぇ~、知らなかった」
「しょっぱいもの派っていうのは聞いたかも」
「あー、そういう人なら確かに甘い物より優先になるんですかね?」
「えー甘い物美味しいのにー」
「逆に甘い物大好きなのは?」
「それは千夏でしょ」
「そうだった。あの子放っておくと紅茶とかほぼ砂糖にするんだった」
「病気にならないか不安になりますよね…」
話に夢中になりながら歩く。まだまだ知らない友人の一面が出て来て、とても面白かった。
「最初どこ行くんだっけー?」
「おやつからかなー。眞里阿、案内頼める?」
「お任せくださいっ!すっごくおすすめなんだよ」
敬語癖が少しだけ解れた不思議な話し方になっているが、気付いていないらしい。眞里阿は目をキラキラと輝かせて、自信満々に胸を叩いた。
「楽しみにしてる。スイーツだっけ?」
「はいっ、スイーツです!」
「へぇ、私も楽しみ。甘いものって幸せな気分になるよね」
「勉強と運動で疲れた体には良いね!」
「今日はそんなにしてないでしょ」
「いや!1分でも1秒でも勉強すれば脳は甘い物を欲するんだよ!これ、人類の常識!」
「浅野くんとかはどうなるんだよ」
「え?」
紗奈がぱちぱちと目を瞬いて、由芽を振り返る。その隣を歩いていた眞里阿が苦笑いをして、情報を付け加えた。
「かおくんは甘い物、苦手ですから」
「そうだったの!?へ、へぇ…そんな人類いるんだ…」
「鹿宮くんも、確かチョコだめだったよね?」
「うん。他の甘い物は平気らしいけどね」
「え!?チョコ、が…?なんで…???」
「さぁ?トラウマでもあるんじゃない?」
「雑ぅ~…」
「それこそ由芽ちゃんは調べてるんじゃないの?」
「調べたし知ってるけど、言うほどでもないかなって。聞きたいなら話すけど」
「いや、いいよ…」
相変わらず、聞けば出て来る由芽の情報網は怖いものがある。あっけらかんと返す姿に、任せていい気がしてしまうあたり私達も末期だ。
「そう考えると女子で甘い物苦手ってあんまり聞かないよねー、周りに誰かいるかなぁ?」
「絶対食べられない、は聞いたことないかも。いるにはいるんだろうけど」
「そうね。私達の交友関係で言えば、1番苦手そうなのは霙かしら」
「霙???」
「え、でも霙ちゃんは食べてるところ見ますけど…」
「そう、食べられるけど量はいけないのよ。だから強いて言えばって感じね」
「へぇ~、知らなかった」
「しょっぱいもの派っていうのは聞いたかも」
「あー、そういう人なら確かに甘い物より優先になるんですかね?」
「えー甘い物美味しいのにー」
「逆に甘い物大好きなのは?」
「それは千夏でしょ」
「そうだった。あの子放っておくと紅茶とかほぼ砂糖にするんだった」
「病気にならないか不安になりますよね…」
話に夢中になりながら歩く。まだまだ知らない友人の一面が出て来て、とても面白かった。
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