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3月16日 友人の気遣い
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「…ねちゃ………っ夕音ちゃん!」
「あっ!?え、何!?」
「何じゃないよ、もう…今日何回目?」
眞里阿が心配そうに顔を覗き込んでくる。我に返った私は、慌てて何でもないと返事をするがその数秒後には上の空だ。眞里阿達は顔を見合わせて、肩をすくめる。
「まぁ察しはつくけどね」
「榊原、今日も休みだって~?」
「それにしてもって感じはあるけど」
由芽と紗奈が笑っている。それは認識出来るのに、その言葉は全く耳に届いていなくて。気付いたら意識が遠のくかのようにあの夢がフラッシュバックしている。その度に嫌な汗が背を伝い、動悸が激しくなる。誤魔化さなきゃ、忘れなきゃと思う度に思い出してしまって、逃げ場がない。
「夕音、夕音??」
「だめだ、また意識が何処か行ってる」
「夕音ちゃんがここまで上の空って珍しいね」
「それはそう。しかも今日は大事を取って休みなんでしょ?こんな風に思い悩むかな…」
「他の悩み事があるってこと?」
「かも、しれないね…」
ぼんやりと3人の会話を聞き流していると、突然バンッと背中を強く叩かれた。反射で「いっ!?」と悲鳴を上げる。犯人である紗奈は悪びれた様子もなく笑い、後ろから抱き着いて来た。
「夕音、今日の放課後時間ある?」
「え?」
「何処か遊びに行かない?もうテストも終わったし、後は春休み待ちでしょ」
「学級委員の発言とは思えないよ、それ」
「いいのいいの。で、どう?」
「え、えっと…」
一瞬神社の様子が過るが、この後寄るなんて出来ないと感じた。
「うん、行ける。空いてるよ」
「じゃあ決定~!何処行く?」
「何しよう。カラオケとか?」
「美味しいもの食べたいかも」
「あ、私ゲーセンで欲しい景品あったんだよね」
「夕音は?」
「んー、特に考えつかないかも」
「そっか。ならとりあえず皆の希望回っていこうか」
「やったー!」
「おすすめのスイーツがあるんだ!楽しみ!」
はしゃぐ2人と、呆れ顔で宥める由芽。私は飛び跳ねる紗奈によって体が揺れ、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
「スイーツって何があるの?」
「それは…行ってからのお楽しみ!でもすっっごく美味しいから楽しみにしててっ!」
「おぉ、眞里阿ちゃんがそんなになるって珍しいね」
「これは期待大、だね」
「私も楽しみ」
「それじゃあ放課後遊び隊、結成~!」
「安直…」
「いいの!」
「ほらほら、もう次の授業が始まるよ」
「あ、本当だ。じゃあまた後でね」
「はーい。ほら、紗奈、座りなさい」
「ちぇー。はーい」
騒ぐ紗奈を、由芽が引き摺るようにして席に戻す。眞里阿は軽く手を振って、楚々と自分の席に戻った。最初から自分の席に着いていた私は、そんな3人の様子を眺めるだけだ。いつの間にか3人のペースに呑まれていたせいで、夢のことはすっかり頭の隅に追いやられてしまっていた。
「あっ!?え、何!?」
「何じゃないよ、もう…今日何回目?」
眞里阿が心配そうに顔を覗き込んでくる。我に返った私は、慌てて何でもないと返事をするがその数秒後には上の空だ。眞里阿達は顔を見合わせて、肩をすくめる。
「まぁ察しはつくけどね」
「榊原、今日も休みだって~?」
「それにしてもって感じはあるけど」
由芽と紗奈が笑っている。それは認識出来るのに、その言葉は全く耳に届いていなくて。気付いたら意識が遠のくかのようにあの夢がフラッシュバックしている。その度に嫌な汗が背を伝い、動悸が激しくなる。誤魔化さなきゃ、忘れなきゃと思う度に思い出してしまって、逃げ場がない。
「夕音、夕音??」
「だめだ、また意識が何処か行ってる」
「夕音ちゃんがここまで上の空って珍しいね」
「それはそう。しかも今日は大事を取って休みなんでしょ?こんな風に思い悩むかな…」
「他の悩み事があるってこと?」
「かも、しれないね…」
ぼんやりと3人の会話を聞き流していると、突然バンッと背中を強く叩かれた。反射で「いっ!?」と悲鳴を上げる。犯人である紗奈は悪びれた様子もなく笑い、後ろから抱き着いて来た。
「夕音、今日の放課後時間ある?」
「え?」
「何処か遊びに行かない?もうテストも終わったし、後は春休み待ちでしょ」
「学級委員の発言とは思えないよ、それ」
「いいのいいの。で、どう?」
「え、えっと…」
一瞬神社の様子が過るが、この後寄るなんて出来ないと感じた。
「うん、行ける。空いてるよ」
「じゃあ決定~!何処行く?」
「何しよう。カラオケとか?」
「美味しいもの食べたいかも」
「あ、私ゲーセンで欲しい景品あったんだよね」
「夕音は?」
「んー、特に考えつかないかも」
「そっか。ならとりあえず皆の希望回っていこうか」
「やったー!」
「おすすめのスイーツがあるんだ!楽しみ!」
はしゃぐ2人と、呆れ顔で宥める由芽。私は飛び跳ねる紗奈によって体が揺れ、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
「スイーツって何があるの?」
「それは…行ってからのお楽しみ!でもすっっごく美味しいから楽しみにしててっ!」
「おぉ、眞里阿ちゃんがそんなになるって珍しいね」
「これは期待大、だね」
「私も楽しみ」
「それじゃあ放課後遊び隊、結成~!」
「安直…」
「いいの!」
「ほらほら、もう次の授業が始まるよ」
「あ、本当だ。じゃあまた後でね」
「はーい。ほら、紗奈、座りなさい」
「ちぇー。はーい」
騒ぐ紗奈を、由芽が引き摺るようにして席に戻す。眞里阿は軽く手を振って、楚々と自分の席に戻った。最初から自分の席に着いていた私は、そんな3人の様子を眺めるだけだ。いつの間にか3人のペースに呑まれていたせいで、夢のことはすっかり頭の隅に追いやられてしまっていた。
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