151 / 812
8月9日 別荘組
しおりを挟む
「買い出し組が帰って来たら、料理かな」
「じゃあ今の内に、自分の荷物の整理をしちゃいましょう」
「そうですね」
「おう」
4人で2階に行く。私と眞里阿ちゃんは女子部屋の方で作業をする。荷物を、男子2人にも手伝ってもらいながら、部屋の端に置いた。
「夕音ちゃん、お布団敷いちゃいます?皆さん、食べたら布団にダイブしそうですけど…」
「あー、そうだね。しいちゃおっか。私達だけじゃ大変だし、男子の方も手伝ってから…」
がたんっと男子部屋の方から大きな音がした。私と眞里阿ちゃんは慌てて男子部屋の方へ行く。
そこには、頭を押さえる浅野くんと、少し埃の匂いがした。浅野くんの頭に当たったらしき物を、潮賀くんが持っていた。
「痛た…っ何だこれ?」
「これは…何でしょうかね?」
持っているものは、錆びた丸いネックレスのようなもの。私の鼓動が早くなった。背中をひやりとした空気がつたい、緊張したように舌が回らない。私だけが別の空間に取り残されたのかと疑いたくなるほど、動けなかった。
深呼吸をして、落ち着いてから話す。
「これは私が預かるよ。持ち主に心当たりがある」
本当は持ち主に心当たりなんて無いが、知っていそう、という心当たりならある。私はそれを受け取って女子部屋に戻り、錆びたネックレスのような何かを自分の荷物の中にそっと入れた。
もう一度男子部屋に戻ろうとすると、眞里阿ちゃんが男子2人を連れて来ていた。
「手伝ってもらえるそうです」
「はいっ!女の子2人に重労働させるわけにはいきません!」
「潮賀…まぁ、そうだな」
「ありがとう!あとで男子部屋の方も手伝うね」
私がそう言うと、潮賀くんが目を丸くして驚いた。
「えぇ!?大丈夫ですよ?」
「わたしたちだって手伝ってもらうのですから。貰いっぱなしは申し訳ないです」
「じゃあお言葉に甘えて、あとで手伝ってもらおうか。潮賀、その分だけこっちの仕事、たくさん手伝えば良い」
「あ、そうですね。じゃあ、お願いします」
敬語癖のある2人が揃うと、少しほんわかとした雰囲気になる。2人が元々、そういう雰囲気の持ち主だからだろうか。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
「ふぅ…やっと終わりました」
「お疲れ様~」
18人分の布団を敷き終えると、別荘のドアが開く音がした。
「買い出し組、帰って来ましたよー」
蒼くんの声が聞こえた。私は吹き抜けになっている階段の手すりから、顔を出す。そこにはチョコレートらしき銀紙を持ちながら、幸せそうな表情を浮かべる明と深沙ちゃん、袋を持ってぼーっとしている青海川くんもいた。
「あ、おかえり。こっちは布団敷き終えたよ。キッチンに置いといて貰えるかな」
「布団敷いてくれたの?ありがとう。じゃあ俺たちで味付けとか下ごしらえ済ませちゃうね」
「わっ本当?料理上手の4人なら安心だよ」
「良いよね?」
蒼くんが振り返って、残りの3人に聞くと、3人は同じように頷いた。
「それじゃ、私達は休ませて貰うね」
「はーい、ごゆっくりー」
敷いたばかりの布団に、眞里阿ちゃんと一緒に適当に寝っ転がる。潮賀くんと浅野くんは男子部屋に戻った。
「お疲れ様、眞里阿ちゃん」
「お疲れ様です、夕音ちゃん」
2人で少しおしゃべりをしていた。
「じゃあ今の内に、自分の荷物の整理をしちゃいましょう」
「そうですね」
「おう」
4人で2階に行く。私と眞里阿ちゃんは女子部屋の方で作業をする。荷物を、男子2人にも手伝ってもらいながら、部屋の端に置いた。
「夕音ちゃん、お布団敷いちゃいます?皆さん、食べたら布団にダイブしそうですけど…」
「あー、そうだね。しいちゃおっか。私達だけじゃ大変だし、男子の方も手伝ってから…」
がたんっと男子部屋の方から大きな音がした。私と眞里阿ちゃんは慌てて男子部屋の方へ行く。
そこには、頭を押さえる浅野くんと、少し埃の匂いがした。浅野くんの頭に当たったらしき物を、潮賀くんが持っていた。
「痛た…っ何だこれ?」
「これは…何でしょうかね?」
持っているものは、錆びた丸いネックレスのようなもの。私の鼓動が早くなった。背中をひやりとした空気がつたい、緊張したように舌が回らない。私だけが別の空間に取り残されたのかと疑いたくなるほど、動けなかった。
深呼吸をして、落ち着いてから話す。
「これは私が預かるよ。持ち主に心当たりがある」
本当は持ち主に心当たりなんて無いが、知っていそう、という心当たりならある。私はそれを受け取って女子部屋に戻り、錆びたネックレスのような何かを自分の荷物の中にそっと入れた。
もう一度男子部屋に戻ろうとすると、眞里阿ちゃんが男子2人を連れて来ていた。
「手伝ってもらえるそうです」
「はいっ!女の子2人に重労働させるわけにはいきません!」
「潮賀…まぁ、そうだな」
「ありがとう!あとで男子部屋の方も手伝うね」
私がそう言うと、潮賀くんが目を丸くして驚いた。
「えぇ!?大丈夫ですよ?」
「わたしたちだって手伝ってもらうのですから。貰いっぱなしは申し訳ないです」
「じゃあお言葉に甘えて、あとで手伝ってもらおうか。潮賀、その分だけこっちの仕事、たくさん手伝えば良い」
「あ、そうですね。じゃあ、お願いします」
敬語癖のある2人が揃うと、少しほんわかとした雰囲気になる。2人が元々、そういう雰囲気の持ち主だからだろうか。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
「ふぅ…やっと終わりました」
「お疲れ様~」
18人分の布団を敷き終えると、別荘のドアが開く音がした。
「買い出し組、帰って来ましたよー」
蒼くんの声が聞こえた。私は吹き抜けになっている階段の手すりから、顔を出す。そこにはチョコレートらしき銀紙を持ちながら、幸せそうな表情を浮かべる明と深沙ちゃん、袋を持ってぼーっとしている青海川くんもいた。
「あ、おかえり。こっちは布団敷き終えたよ。キッチンに置いといて貰えるかな」
「布団敷いてくれたの?ありがとう。じゃあ俺たちで味付けとか下ごしらえ済ませちゃうね」
「わっ本当?料理上手の4人なら安心だよ」
「良いよね?」
蒼くんが振り返って、残りの3人に聞くと、3人は同じように頷いた。
「それじゃ、私達は休ませて貰うね」
「はーい、ごゆっくりー」
敷いたばかりの布団に、眞里阿ちゃんと一緒に適当に寝っ転がる。潮賀くんと浅野くんは男子部屋に戻った。
「お疲れ様、眞里阿ちゃん」
「お疲れ様です、夕音ちゃん」
2人で少しおしゃべりをしていた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
俺と(従姉)姉ちゃんの良くある『今日から俺は?』の話だ。
かず斉入道
青春
この物語の時代背景は昭和……。
主人公の新作は春の入学式も終わり、高校生活にも少しなれた頃の、春の終わり。
二階の自身の部屋で、進学に向けて自習勉強中の頭の余り賢くない主人公山本新作の耳へと両親のヒソヒソ声が聞こえてくるのだが。
その内容と言うのが?
父親の経営する会社の業務拡大に伴って、他県へと会社を移転するから、皆で引っ越そうと言う話しで。
新作を他県の高校へと転校させようと言った話しなのだが。
その話しを聞いた当の本人である新作は顔色を変えてしまう。だって彼は、自身の担任のピチピチした女性教師の久美ちゃん先生に憧れと恋心、想いを寄せているからだ。
だって主人公は大学卒業後に、先生を自身の嫁にしたいと心から思い、願っているから進学に向けて猛勉強。
先生からも個人レッスンを受けているから。
彼は安易に転校をしたくはない。
でも新作が通う高校は県内一の不良学校、悪の巣窟だから。
新作の父親は、この機会に真面目な新作を転校させたいからと妻に相談する。
でも新作の母親は、父親の想いとは裏腹の意見を述べてくるのだ。
新作が通う高校には近所の幼馴染がいる。
その彼が悪の巣窟。県内ワーストワンの学園で、上級生達も恐れるような、広島市内でも凶悪、関わりたくない№1のサイコパスな人間なのだが。
そんな幼馴染と新作は大変に仲が良いのと。
素行が真面目な新作のことを担任の久美ちゃん先生が目をかけてくれて。大学進学をサポートしてくれている。
だから母親が新作の転向を反対し、彼を父親の兄の家に居候をさせてもらえるように嘆願をしてくれと告げる。
でも新作の父親の兄の家には一人娘の美奈子がいるから不味いと告げるのだが。美奈子は、幼い時に新作の嫁にくれると言っていたから。
二人の間に何かしらの問題が生じても、もう既に姪は家の嫁だから問題はないと。主人公が今迄知らなかった事を母親は父親へと告げ、押し切り。
新作は伯父の照明の家から学校へと通うことになるのだが。
でも主人公が幼い頃に憧れていた従姉の姉ちゃんは、実は伯父さんが夫婦が手に余るほどのヤンキーへと変貌しており、家でいつも大暴れの上に。室内でタ〇コ、シ〇ナーは吸うは、家に平然と彼氏を連れ込んで友人達と乱交パーティーするような素行の悪い少女……。
だから主人公の新作は従姉の姉ちゃん絡みの事件に色々と巻き込まれていく中で、自分もヤンキーなる事を決意する。
主人公が子供から少年……。そして大人へと移り変わっていく物語で御座います。
巨乳です。おっぱい星人です。あれこれお話BOX
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
・本作は(小説家になろう)から引っ越し物(* ̄ー ̄*)
小6でEカップって巨乳の優子(姉)と、小4でおっぱい星人の真治(弟)を中心にしたあれこれ短編の詰め込み場所。ちょっとHでなんでもありまくりな世界。
転生体質令嬢の打算的恋愛事情◆人間転生とか最悪です◆
ナユタ
ファンタジー
前世は合鴨、来世は松の予定だったのに……そう、今世は人なのね……。
人間なんていつぶりかと思うけど、実際は一番したくない。
何故なら私には運がない。
そもそも、あったらこんなに転生しない。
前世の最後も急にチヤホヤされだしたジビエブームで犠牲になったのに……。
おまけに今回は人間転生、没落子爵家の一人娘で再出発。
出来れば今世は甘やかされる家猫が良かったけど仕方がないわね。
取り敢えずは子爵令嬢クラリッサ・キルヒアイスとして、
優しくしてくれる家族の為に、傾きかけた家の再建目指して頑張るわ。
※この作品は小説家になろうでも掲載しています※
※表紙はpixivのAI絵師のたろたろ様からお借りしました※
セキワンローキュー!
りっと
青春
活発な少年・鳴海雪之丞(なるみ ゆきのじょう)は、小学校五年生のときに親友の大吾をかばった事故により左手を失った。
罪の意識に耐えかねた大吾は転校して雪之丞の前から姿を消してしまったが、いつか再会したときに隻腕の自分を見て呵責に苦しんでほしくないと思った雪之丞は気丈に振る舞い、自分をからかう奴らなどいない状況を作ろうと決意する。その手段として、周囲を威嚇するために喧嘩ばかりを繰り返す日々を過ごしていた。
高校生になった雪之丞は、バスケ部の先輩に惹かれてバスケ部に入部する。左手のないハンデを乗り越えようとひたすらに努力を重ねていく雪之丞は急速に力をつけ、バスケにのめり込むようになる。
ある日、バスケ部の練習試合で雪之丞は強豪チームでエースとなっていた大吾と再会する。雪之丞は再会を喜んだものの、大吾は贖罪の気持ちから散漫としたプレーをした挙句にバスケを辞めると言い出した。
今までの生き方を否定されたようで傷ついた雪之丞は、やる気がなくなってしまいバスケから離れようとするが、そんな彼を支えてくれたのはーー?
隻腕のバスケプレーヤーとして、いずれ雪之丞はその名を世界に轟かせる。
伝説への第一歩を踏み出す瞬間を、ぜひご覧ください。
雨上がりに僕らは駆けていく Part2
平木明日香
青春
学校の帰り道に突如現れた謎の女
彼女は、遠い未来から来たと言った。
「甲子園に行くで」
そんなこと言っても、俺たち、初対面だよな?
グラウンドに誘われ、彼女はマウンドに立つ。
ひらりとスカートが舞い、パンツが見えた。
しかしそれとは裏腹に、とんでもないボールを投げてきたんだ。
あの瞬く星のような君の心音が、燃え尽きてしまったとしても
雨愁軒経
青春
人の一生における心拍数が決まっているといわれるように、夢にも熱量の拍数があるらしい。
夢拍症候群――別名『ハートビート・シンドローム』。
十代の少年少女が発症し、夢へ打ち込めば打ち込むほど昂った鼓動を鎮めるように揺り戻され、体が思うように動かなくなってしまう病。
症状に抗えば命を落とすこともある理不尽な足枷は、5年前に確認されてから今日まで、若者たちの未来を蝕み続けてきた。
イラストレーターを目指す一ノ瀬凪は、画題とした人の姿が歪んで見えてしまう現象に襲われ、夢拍症候群と診断されてしまう。
SNSで絵師としての活動停止を報告した凪に、よく依頼をくれる常連さんから一通のメールが届く。
それは、夢拍症候群を患った者たちを支援する特殊学校の存在を報せるものだった。
どうせ死ぬのならと転入を決めた凪は、そこで、かつて大切な約束を交わした歌手志望の少女・風吹乙花と再会することになる――
懸命に今を戦うすべての人たちへ捧ぐスターライトステージが、今始まる。
※タイトルは『あの瞬く星のような君の心音(うた)が、燃え尽きてしまったとしても』と読みます※
翠名と椎名の恋路(恋にゲームに小説に花盛り)
jun( ̄▽ ̄)ノ
青春
中2でFカップって妹こと佐藤翠名(すいな)と、中3でDカップって姉こと佐藤椎名(しいな)に、翠名の同級生でゲーマーな田中望(のぞみ)、そして望の友人で直球型男子の燃得(もえる)の4人が織り成す「恋」に「ゲーム」に「小説」そして「ホットなエロ」の協奏曲
いつか山の麓へ~ナースのたまごのつくりかた 看護学生物語~
清見こうじ
青春
看護学校は、めざせ! 未来のナイチンゲール! クエストだ!?
看護師を夢見て看護学校に進学した九重夢歌さん18歳を待ち受けていたのは?!
ジャーン! モンスターが現れた! スライム……ではなく課題Lv1!
コマンド>にげる
……にげみちをふさがれた!
課題lv1は仲間を呼んだ……何と課題が手に負えなくなった!
このままではダンジョン【実習】をクリアできない!
※この小咄は本編にはあまり関係ありません
……みたいな気持ちで乗り越える様々なクエスト!
ラスボス『看護師国家試験』の向こうの看護師を目指す、夢歌さんの汗と涙と笑い(と感動もあるはず)の看護学校ストーリーです。
※「カクヨム」「小説家になろう」でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる