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3月10日 カフェランチ
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海老グラタンとカレードリアが運ばれて来る。出来立て熱々なようで、皿の上では湯気がふわりと揺れ、蕩けたチーズが踊っているように見えた。ごくり、と喉が鳴る。
「いただきます」
「いただきます」
手を合わせて挨拶をした後で、スプーンを入れる。表面に薄く引かれたチーズがパリッと割れて、その下からとろとろしたホワイトソースとマカロニが顔を出す。掬い上げればチーズが糸を引き、その熱さを訴えるように視界が湯気で覆われた。ふーっと少し冷ましてから口に運ぶと、熱々のホワイトソースの中からぷりぷりの海老のむき身が現れる。噛み切るたびにじゅわっと旨味が舌の上に広がり、海鮮独特の甘さというべき味が、香りと共に鼻に抜けていく。思ったより海老が大きい。お得感に喜んでいると、シャキッとした食感が歯の先を包んだ。何かと思えば玉ねぎである。辛味はなく、それどころか甘い。熱によって蕩けるような食感になっているところと、シャキッと歯応えのある場所とで分かれており、2通りの楽しみ方が出来るようになっている。マカロニも柔らかく弾力があり、舌を火傷しそうなほどに熱いがそれが良い。はふはふと口内を冷ましながら飲み込むと、早く次を口に含みたくなるような、病みつきになる味だ。
「美味しい!」
「そう?良かった」
「うん、爽のおすすめにして良かったよ~!」
「美味しいよね、それ」
「うん!あ、1口いる?久々なんでしょ?」
「え、あ…じゃあ」
「はい」
皿を差し出すと、爽は少し躊躇った後で自分のスプーンを差し込んだ。カレーがついてしまったと謝るが、全然気にしていない。
「あ、変わってない…美味しい」
「昔からこの味なんだ?凄い美味しいね」
「うん。アタシのも」
「いいの?ありがとう」
爽のカレードリアを1口貰う。食べてすぐにスパイシーな香りが口いっぱいに広がり、舌をピリピリとした辛味が襲う。逃がすように呼吸をすると、カレーの食欲を誘う香りが鼻腔をくすぐった。キーマカレーのように挽肉と細かく切られた野菜を使っているようで、噛めば噛むほど旨味と肉汁がじゅわっと溢れて来る。上に乗っていたチーズも主張をしない優しい味で、カレーの辛味をマイルドにしてくれる。パラパラの米とカレーの相性はやはり最高だ。飲み込むのが惜しいほどに美味である。
「こっちも美味しい!」
私が喜ぶと、爽はふっと表情を緩めた。先程までシリアスな話をしていたのだが、そんな雰囲気は美味しい料理の前では霧散してしまうもの。とりあえず食べ終わるまでは戻れなさそうだな、と心の中で反省するのだった。
「いただきます」
「いただきます」
手を合わせて挨拶をした後で、スプーンを入れる。表面に薄く引かれたチーズがパリッと割れて、その下からとろとろしたホワイトソースとマカロニが顔を出す。掬い上げればチーズが糸を引き、その熱さを訴えるように視界が湯気で覆われた。ふーっと少し冷ましてから口に運ぶと、熱々のホワイトソースの中からぷりぷりの海老のむき身が現れる。噛み切るたびにじゅわっと旨味が舌の上に広がり、海鮮独特の甘さというべき味が、香りと共に鼻に抜けていく。思ったより海老が大きい。お得感に喜んでいると、シャキッとした食感が歯の先を包んだ。何かと思えば玉ねぎである。辛味はなく、それどころか甘い。熱によって蕩けるような食感になっているところと、シャキッと歯応えのある場所とで分かれており、2通りの楽しみ方が出来るようになっている。マカロニも柔らかく弾力があり、舌を火傷しそうなほどに熱いがそれが良い。はふはふと口内を冷ましながら飲み込むと、早く次を口に含みたくなるような、病みつきになる味だ。
「美味しい!」
「そう?良かった」
「うん、爽のおすすめにして良かったよ~!」
「美味しいよね、それ」
「うん!あ、1口いる?久々なんでしょ?」
「え、あ…じゃあ」
「はい」
皿を差し出すと、爽は少し躊躇った後で自分のスプーンを差し込んだ。カレーがついてしまったと謝るが、全然気にしていない。
「あ、変わってない…美味しい」
「昔からこの味なんだ?凄い美味しいね」
「うん。アタシのも」
「いいの?ありがとう」
爽のカレードリアを1口貰う。食べてすぐにスパイシーな香りが口いっぱいに広がり、舌をピリピリとした辛味が襲う。逃がすように呼吸をすると、カレーの食欲を誘う香りが鼻腔をくすぐった。キーマカレーのように挽肉と細かく切られた野菜を使っているようで、噛めば噛むほど旨味と肉汁がじゅわっと溢れて来る。上に乗っていたチーズも主張をしない優しい味で、カレーの辛味をマイルドにしてくれる。パラパラの米とカレーの相性はやはり最高だ。飲み込むのが惜しいほどに美味である。
「こっちも美味しい!」
私が喜ぶと、爽はふっと表情を緩めた。先程までシリアスな話をしていたのだが、そんな雰囲気は美味しい料理の前では霧散してしまうもの。とりあえず食べ終わるまでは戻れなさそうだな、と心の中で反省するのだった。
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