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3月7日 恋心regret 光
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来や桐竜と出会ったのは中学生の時。当時から桐竜は周囲より飛び抜けて可愛らしかったし、男子の中でも有名だった。付き合いたいってだけじゃなくて、男子中学生らしい下世話な話も多かった。俺もその1人で、最初はただ可愛いから注目していた。けど誰が告白しても桐竜は頷かないし、いつも丁寧に優しく断っていた。たまに諦めの悪いやつが食い下がることもあったけど、あしらい方が上手くて誰もそのまま押し通すことなんて出来なかった。
少し前にあった水奈月の事件とは真逆だな。あんな風に噂を流すことすら出来なかった。
来は当時からあのまんまで、桐竜に興味もなければそもそも女子と話すことに何も感じてないみたいだった。後から気付いたが、そもそもアイツは姉と妹がいるし女子に幻想を抱くようなタイプでもなかったんだろう。だから来と話す時はいつも授業とか最近の流行りとか、女子関連の話題なんてほとんど出て来なかった。俺はそれが物足りなかったし、楽だったんだと思う。来はいつでも変わらなくて、俺のことを大切な友人として扱ってくれた。馬鹿やれるタイプじゃなかったけど、眩しかった。
そんなある日、俺はテニスの試合があったんだ。男女合同の会場で、親も来られるような試合。顧問に言われて女子の試合を見に行ったんだ。筋力に差があるからプレーの仕方だって違うし、参考になんかならないって思ってたけど。
でも俺はそこで見たんだ。誰よりも大声を出して応援している桐竜を。凄かった。中学の時は桐竜もテニス部だったからいるのは分かってたけど、女テニなんてもっときゃぴきゃぴしてるものだと思ってた。違ったんだ。男テニの方が緩いぐらいに一生懸命応援して、点を取ったら本気で喜ぶ。心の底から応援してるんだってすぐにわかった。その横顔があまりにも格好良くて、綺麗で、俺はあっという間に本気になったんだ。
でも当時は中学生だったから、周りにバレるのが恥ずかしくてあんまり近くに行かなかったんだ。喋る度に赤くなるのも嫌だったし、避けるような態度になってたと思う。けど桐竜は怒らないし、久しぶりに話しかけたっていつも通りに接してくれた。そんなこと気にする程でもなかった可能性もあるけどな。
告白することもなく、誰かが桐竜と付き合うこともなく、いつの間にか高校生になってた。桐竜の志望校は噂で流れて来て、俺も考えてたところだったからついそこにした。今思えば馬鹿な動機だけど、それでも本気で勉強して、本当に同じ高校になれた。それを知った時は凄く嬉しかったし、努力が報われた気がした。
亜美に告白するチャンスはまだあるんだ、って思ったんだ。
少し前にあった水奈月の事件とは真逆だな。あんな風に噂を流すことすら出来なかった。
来は当時からあのまんまで、桐竜に興味もなければそもそも女子と話すことに何も感じてないみたいだった。後から気付いたが、そもそもアイツは姉と妹がいるし女子に幻想を抱くようなタイプでもなかったんだろう。だから来と話す時はいつも授業とか最近の流行りとか、女子関連の話題なんてほとんど出て来なかった。俺はそれが物足りなかったし、楽だったんだと思う。来はいつでも変わらなくて、俺のことを大切な友人として扱ってくれた。馬鹿やれるタイプじゃなかったけど、眩しかった。
そんなある日、俺はテニスの試合があったんだ。男女合同の会場で、親も来られるような試合。顧問に言われて女子の試合を見に行ったんだ。筋力に差があるからプレーの仕方だって違うし、参考になんかならないって思ってたけど。
でも俺はそこで見たんだ。誰よりも大声を出して応援している桐竜を。凄かった。中学の時は桐竜もテニス部だったからいるのは分かってたけど、女テニなんてもっときゃぴきゃぴしてるものだと思ってた。違ったんだ。男テニの方が緩いぐらいに一生懸命応援して、点を取ったら本気で喜ぶ。心の底から応援してるんだってすぐにわかった。その横顔があまりにも格好良くて、綺麗で、俺はあっという間に本気になったんだ。
でも当時は中学生だったから、周りにバレるのが恥ずかしくてあんまり近くに行かなかったんだ。喋る度に赤くなるのも嫌だったし、避けるような態度になってたと思う。けど桐竜は怒らないし、久しぶりに話しかけたっていつも通りに接してくれた。そんなこと気にする程でもなかった可能性もあるけどな。
告白することもなく、誰かが桐竜と付き合うこともなく、いつの間にか高校生になってた。桐竜の志望校は噂で流れて来て、俺も考えてたところだったからついそこにした。今思えば馬鹿な動機だけど、それでも本気で勉強して、本当に同じ高校になれた。それを知った時は凄く嬉しかったし、努力が報われた気がした。
亜美に告白するチャンスはまだあるんだ、って思ったんだ。
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