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くじゅうのいろ
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1日目。
兎様が管理の際に用いる日付単位を元にして、最初の日。稲荷様は桜1輪から情報を読み取るために、ひたすら花々を注視したり読み取ろうとしたり触れたりを繰り返していた。最後の触る行為だけは兎様に咎められ、前者2つの行為を集中して行っていた。
2日目。
昨日は見ていなかった場所を注視していた。昨日と同じように繰り返し見続け、情報を探っているようだった。
7日目。
仕事の関係上、日付の変わる前に訪れて目を見開いた。昨日見た花は全て散って地に落ち、魂の循環を思い知らされた。聞けばここに咲くのは魂の決定が近いものだけであり、最近散った命が桜となるのはいつかは分からないとのことだった。
10日目。
今日も諦めず、稲荷様は自身の仕事の合間にここに訪れては少女の魂を探す。私の目には全て同じ綺麗な桜にしか見えないが、稲荷様の目にはどう映っているのだろうか。
15日目。
桜は今日も散り、今日も咲く。稲荷様は一つ一つを注視し、確認するスピードが早くなってきた。手慣れてきたのだろうか。それで見落としなど出なければ良いが、私にはどうすることも出来ない。
30日目。
兎様は今日も桜を眺めながら筆を走らせている。巻き物状に纏められたそれは、読様が作り出した巻き物と似て非なるもののようだ。稲荷様は今日も桜を1輪ずつ確認している。
65日目。
兎様の巻き物は使らしき者によって読様の元に送られる。仕組みはわからないが、ここで記録を取って審判に掛けられ、読様の元で輪廻に戻されるかどうかの手続きが取られるらしい。稲荷様は桜から情報を読み取ろうとしている。
211日目。
稲荷様が、桜となっている者の情報を読み解けるようになった。複雑に巡らされている力に慣れ、見ることで情報を読み取れるようになったようだ。しかしかなりの集中力と気力がいるようで、数個で本日は時間切れとなった。
364日目。
細い枝の1本を全て読み解くことに成功した。明日になったらきっと生え変わってしまっているのだろうけど、それでもそれだけ読み取れるようになったならかなりの進歩だ。勿論、仕事の合間に行なっている。
587日目。
細いものであれば枝を、数本分は読み解けるようになった。そう言うと少なく聞こえるが、それだけでも何千という生物の命を読み解いていることになる。1つの魂を読み解くたびに入ってくる情報量は異常だろう。
1366日目。
太く多く枝分かれしている枝を1本、その日中に読み解けるようになった。人間年齢で言えば4年が経っているが、彼女はまだここに来ていないのだろうか。少し、不安になり始めた。
3941日目。
少女がここに来ていない確証がない。兎様の仕事を邪魔するわけにはいかない上、兎様は魂に宿るものを情報としか思っていないので聞いたところで望む答えは返ってこないだろう。私が不安になったとしても仕方ないのだが、私は怖くて堪らなかった。
8923日目。
稲荷様は今日も探し続ける。桜を見つめ、情報を識り、少しでも多くの桜を知ろうと動き続ける。少女の魂がまだここに来ていないのか、もう終わってしまっているのかは、まだ分からない。
兎様が管理の際に用いる日付単位を元にして、最初の日。稲荷様は桜1輪から情報を読み取るために、ひたすら花々を注視したり読み取ろうとしたり触れたりを繰り返していた。最後の触る行為だけは兎様に咎められ、前者2つの行為を集中して行っていた。
2日目。
昨日は見ていなかった場所を注視していた。昨日と同じように繰り返し見続け、情報を探っているようだった。
7日目。
仕事の関係上、日付の変わる前に訪れて目を見開いた。昨日見た花は全て散って地に落ち、魂の循環を思い知らされた。聞けばここに咲くのは魂の決定が近いものだけであり、最近散った命が桜となるのはいつかは分からないとのことだった。
10日目。
今日も諦めず、稲荷様は自身の仕事の合間にここに訪れては少女の魂を探す。私の目には全て同じ綺麗な桜にしか見えないが、稲荷様の目にはどう映っているのだろうか。
15日目。
桜は今日も散り、今日も咲く。稲荷様は一つ一つを注視し、確認するスピードが早くなってきた。手慣れてきたのだろうか。それで見落としなど出なければ良いが、私にはどうすることも出来ない。
30日目。
兎様は今日も桜を眺めながら筆を走らせている。巻き物状に纏められたそれは、読様が作り出した巻き物と似て非なるもののようだ。稲荷様は今日も桜を1輪ずつ確認している。
65日目。
兎様の巻き物は使らしき者によって読様の元に送られる。仕組みはわからないが、ここで記録を取って審判に掛けられ、読様の元で輪廻に戻されるかどうかの手続きが取られるらしい。稲荷様は桜から情報を読み取ろうとしている。
211日目。
稲荷様が、桜となっている者の情報を読み解けるようになった。複雑に巡らされている力に慣れ、見ることで情報を読み取れるようになったようだ。しかしかなりの集中力と気力がいるようで、数個で本日は時間切れとなった。
364日目。
細い枝の1本を全て読み解くことに成功した。明日になったらきっと生え変わってしまっているのだろうけど、それでもそれだけ読み取れるようになったならかなりの進歩だ。勿論、仕事の合間に行なっている。
587日目。
細いものであれば枝を、数本分は読み解けるようになった。そう言うと少なく聞こえるが、それだけでも何千という生物の命を読み解いていることになる。1つの魂を読み解くたびに入ってくる情報量は異常だろう。
1366日目。
太く多く枝分かれしている枝を1本、その日中に読み解けるようになった。人間年齢で言えば4年が経っているが、彼女はまだここに来ていないのだろうか。少し、不安になり始めた。
3941日目。
少女がここに来ていない確証がない。兎様の仕事を邪魔するわけにはいかない上、兎様は魂に宿るものを情報としか思っていないので聞いたところで望む答えは返ってこないだろう。私が不安になったとしても仕方ないのだが、私は怖くて堪らなかった。
8923日目。
稲荷様は今日も探し続ける。桜を見つめ、情報を識り、少しでも多くの桜を知ろうと動き続ける。少女の魂がまだここに来ていないのか、もう終わってしまっているのかは、まだ分からない。
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