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12月23日 予定
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朝、学校への足取りはとても軽かった。1ヶ月近く頭を悩ませていた問題がほとんど解決したからだ。ふわふわと足が地面についていない私の様子に、友達は冬休みが近いからだと思ったのだろう。冬休み中に遊びに行く計画を持ちかけてきた。実は明後日から冬休みだと今知ったのだが、それ以外に浮かれている理由の説明も思い浮かばず、曖昧に頷いた。利羽にガッチリと腕を掴まれて、逃げることは不可能だ。どうやら休みがちだったせいで過保護モードに入ってしまったらしい。紗奈と由芽も集まり、会話が盛り上がる。
「クリスマスも学校って謎だよね」
「正しくはイヴだけどね」
「午前中だけだから、夜は竜夜とデートでもすれば良いじゃない」
「なっ、そ、それなら由芽だって、小野ちゃんと出掛けなよ!」
「出掛けるよ?珍しく誘って来たから」
「「誘われたの!?」」
利羽と紗奈の声がシンクロする。驚愕の表情を浮かべ、由芽に視線が集中する。
「小野ちゃんはもっとヘタレだと思ってた…」
「由芽を誘うこと出来たのね…」
とても失礼なことを言われているが、まぁわかる気がする。あまり素直になれない性格であるし、修学旅行中の2人を見ていたら由芽をクリスマスという大きなイベントに誘えるとは思っていなかったのだ。
「出来たみたいよ。2人は誘われてないの?」
「私は人混みに行けないから」
利羽は眉を下げて申し訳なさそうに呟く。体の弱さから、人の集まる場所など倒れて混乱が起きそうな場所は避けているらしい。代わりに夜、電話をするとか。
「紗奈は?」
「うっ…誘われたけど…」
「「「おぉー!」」」
「や、やめてよその反応!恥ずかしい!」
紗奈が照れて顔を逸らすのを、私達は言葉で指で突いて楽しむ。頬を膨らませる紗奈は、小動物のようで愛らしかった。
「夕音は?」
「残念ながら独り身なので家族ですー。あ、でも代わりに…代わりに?羅樹も来るよ」
「え!?」
「羅樹と羅樹のお父さんが毎年夜ご飯食べに来るんだ。羅樹だけはたまにあるけど、お父さんまで一緒は1年に1度だけかな。クリスマスぐらい、豪華なものを食べなさいってお母さんが誘って、それから毎年恒例なんだ」
私の説明に、口を開けたまま固まる紗奈と利羽。由芽は多少目を見開いたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「なんか、結婚してるみたいだね」
「は!?え、どこが!?」
「もうクリスマスに一緒にいることが当たり前なところが」
「え、当たり前っていうか…だって毎年…毎年、皆でパーティするから…」
顔に熱が集中する。恥ずかしい。そんな私を3人がハグしたところで、授業開始のチャイムが鳴った。
「クリスマスも学校って謎だよね」
「正しくはイヴだけどね」
「午前中だけだから、夜は竜夜とデートでもすれば良いじゃない」
「なっ、そ、それなら由芽だって、小野ちゃんと出掛けなよ!」
「出掛けるよ?珍しく誘って来たから」
「「誘われたの!?」」
利羽と紗奈の声がシンクロする。驚愕の表情を浮かべ、由芽に視線が集中する。
「小野ちゃんはもっとヘタレだと思ってた…」
「由芽を誘うこと出来たのね…」
とても失礼なことを言われているが、まぁわかる気がする。あまり素直になれない性格であるし、修学旅行中の2人を見ていたら由芽をクリスマスという大きなイベントに誘えるとは思っていなかったのだ。
「出来たみたいよ。2人は誘われてないの?」
「私は人混みに行けないから」
利羽は眉を下げて申し訳なさそうに呟く。体の弱さから、人の集まる場所など倒れて混乱が起きそうな場所は避けているらしい。代わりに夜、電話をするとか。
「紗奈は?」
「うっ…誘われたけど…」
「「「おぉー!」」」
「や、やめてよその反応!恥ずかしい!」
紗奈が照れて顔を逸らすのを、私達は言葉で指で突いて楽しむ。頬を膨らませる紗奈は、小動物のようで愛らしかった。
「夕音は?」
「残念ながら独り身なので家族ですー。あ、でも代わりに…代わりに?羅樹も来るよ」
「え!?」
「羅樹と羅樹のお父さんが毎年夜ご飯食べに来るんだ。羅樹だけはたまにあるけど、お父さんまで一緒は1年に1度だけかな。クリスマスぐらい、豪華なものを食べなさいってお母さんが誘って、それから毎年恒例なんだ」
私の説明に、口を開けたまま固まる紗奈と利羽。由芽は多少目を見開いたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「なんか、結婚してるみたいだね」
「は!?え、どこが!?」
「もうクリスマスに一緒にいることが当たり前なところが」
「え、当たり前っていうか…だって毎年…毎年、皆でパーティするから…」
顔に熱が集中する。恥ずかしい。そんな私を3人がハグしたところで、授業開始のチャイムが鳴った。
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