330 / 812
修学旅行4 国際通り
しおりを挟む
役所の近くから少し歩くと、たくさんの店が立ち並ぶ国際通りだ。由芽、霙、小野くん、竜夜くんと私の5人班で行動する。周りを見ると、紗奈や利羽が隣で歩いていたり、一目散に食べ物の店に向かう明と深沙ちゃんを追いかける浅野くんが見えたり、班ごとに特徴のある周り方をしているように思えた。微笑ましく周りを見ていると、青い内装が綺麗な店に入ることになった。
「ここは、塩のお店…?」
「そうだよ。母さんから頼まれてて…付き合わせてごめんな」
「大丈夫よ、海斗。私も見たかったし」
小野くんが探している側に、由芽が寄る。修学旅行中はほとんど2人になった様子が無かったし、こういうところで少しでも仲が深められると良いな、と私は少し離れる。店の前では「海塩ソフト」というものが売っているようで、私は2人が選んでいる間、食べて待っていることにした。
「…いか……ぞ…」
「わか…………から」
小さなひそひそ声が聞こえ、振り向くと竜夜くんと霙が何やら話し込んでいた。2人とも片手に食べかけのソフトクリームを持っている。参加していいものか、と思ったが、霙が私に気付き、近付いてきてくれた。
「夕音もソフトクリーム食べるの?すっごく美味しいよ!」
「本当?楽しみだなぁ」
店員からソフトクリームを受け取る。霙の声が聞こえたのか、少し嬉しそうな顔をしていた。綺麗な白いソフトクリームを一口、舌の上で溶かす。じわっと広がるバニラの甘さと、微かに感じるしょっぱさ。爽やかな味わいで口の中がいっぱいになる。
「ん~…美味しい!」
「だよね!何個でも食べられそう…」
「そんな食ったら腹壊すぞ」
「お腹の前に財布が悲鳴上げると思うけどな!」
幸せそうに食べながら、竜夜くんのからかいに上手く返す霙。先程、小さな声で何を話していたのか気になるが、突っ込める雰囲気ではなくなってしまった。まぁいいか、と意識を店内にいる2人に向ける。私の視界には、仲睦まじく商品を選ぶ2人の姿が入った。その姿が微笑ましくて、今日はずっと笑顔でいられそうなくらいに皆が楽しそうで、幸せな気持ちになる。それはきっと、ソフトクリームの力もあるのだろうけど。
「良かった…頼まれたものがちゃんとあって…」
「お待たせ。ってあれ?夕音、美味しそうなもの食べてるわね?」
「一口いる?」
私が注文した時には半分近く無くなっていた霙と竜夜くんは、もう既に食べ終えていた。私も残り少なくなったソフトクリームを、由芽に傾ける。由芽はありがとう、と言うと遠慮がちに口を開き、その中にソフトクリームを流し込んだ。
「あ、美味しい。何味?」
「海塩だよ」
「海斗も食べたかった?もう少し待ってれば良かったなー」
「いいよ。俺は別の店で何か食うし」
「そうだね、早めにお昼食べなきゃいけないし」
「お昼食べてる途中で移動時間ギリギリ!とか困るもんね」
「もう一、二軒くらい回ったら、早いけどお昼にしようか」
「「さんせーい!」」
そんな会話をしながら、私達は通りを歩き始めた。
「ここは、塩のお店…?」
「そうだよ。母さんから頼まれてて…付き合わせてごめんな」
「大丈夫よ、海斗。私も見たかったし」
小野くんが探している側に、由芽が寄る。修学旅行中はほとんど2人になった様子が無かったし、こういうところで少しでも仲が深められると良いな、と私は少し離れる。店の前では「海塩ソフト」というものが売っているようで、私は2人が選んでいる間、食べて待っていることにした。
「…いか……ぞ…」
「わか…………から」
小さなひそひそ声が聞こえ、振り向くと竜夜くんと霙が何やら話し込んでいた。2人とも片手に食べかけのソフトクリームを持っている。参加していいものか、と思ったが、霙が私に気付き、近付いてきてくれた。
「夕音もソフトクリーム食べるの?すっごく美味しいよ!」
「本当?楽しみだなぁ」
店員からソフトクリームを受け取る。霙の声が聞こえたのか、少し嬉しそうな顔をしていた。綺麗な白いソフトクリームを一口、舌の上で溶かす。じわっと広がるバニラの甘さと、微かに感じるしょっぱさ。爽やかな味わいで口の中がいっぱいになる。
「ん~…美味しい!」
「だよね!何個でも食べられそう…」
「そんな食ったら腹壊すぞ」
「お腹の前に財布が悲鳴上げると思うけどな!」
幸せそうに食べながら、竜夜くんのからかいに上手く返す霙。先程、小さな声で何を話していたのか気になるが、突っ込める雰囲気ではなくなってしまった。まぁいいか、と意識を店内にいる2人に向ける。私の視界には、仲睦まじく商品を選ぶ2人の姿が入った。その姿が微笑ましくて、今日はずっと笑顔でいられそうなくらいに皆が楽しそうで、幸せな気持ちになる。それはきっと、ソフトクリームの力もあるのだろうけど。
「良かった…頼まれたものがちゃんとあって…」
「お待たせ。ってあれ?夕音、美味しそうなもの食べてるわね?」
「一口いる?」
私が注文した時には半分近く無くなっていた霙と竜夜くんは、もう既に食べ終えていた。私も残り少なくなったソフトクリームを、由芽に傾ける。由芽はありがとう、と言うと遠慮がちに口を開き、その中にソフトクリームを流し込んだ。
「あ、美味しい。何味?」
「海塩だよ」
「海斗も食べたかった?もう少し待ってれば良かったなー」
「いいよ。俺は別の店で何か食うし」
「そうだね、早めにお昼食べなきゃいけないし」
「お昼食べてる途中で移動時間ギリギリ!とか困るもんね」
「もう一、二軒くらい回ったら、早いけどお昼にしようか」
「「さんせーい!」」
そんな会話をしながら、私達は通りを歩き始めた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる