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修学旅行3 製作開始
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製作開始の合図を聞いて、私達はフォトフレームに飾りたいガラスや貝を選び、のせていく。集中している生徒と、話しながら進める生徒と、様々だ。竜夜くんは後者らしく、向かいの由芽に話しかける。
「他にはアクセサリー製作と、ジェルキャンドルだっけ?」
「うん。ほとんど製作時間が変わらないみたいね」
「明と深沙ちゃんはアクセサリーらしいよ。今日もね、どれだけ食べるのっていうくらい食べてたよ!」
「2人ともよく食べるからね…」
紗奈の報告に、由芽が苦笑いをする。私もつられて笑いながら、オレンジのガラスをピンセットで摘んだ。怪我防止ということで、全員の席にピンセットは配られていた。
「夕音は、名前の通り黄色とオレンジを基調とした感じ?」
「夕暮れ色だ」
由芽と紗奈の指摘に、なんとなく選んだ自分の好きな色が名前にも付く「夕」の色だったと気付く。皆の作品を見ると、由芽は青を基調として、途中に桃色がワンポイントとして入っており、紗奈は暖色から寒色へ綺麗なグラデーションを作っていた。竜夜くんは貝殻やサンゴを大胆に使い、楽しみながら作っていた。
「性格とか好みが出るね」
私はそう言いながら羅樹の作品をチラッと見る。私のと似た色使いで、緑や黄緑などを混ぜて使っている。私の視線に気付いたのか、羅樹は嬉しそうにオレンジのガラスを指差した。
「夕音の色だよ!」
「そ、そうね…」
私の色を意識して使った、という意味に聞こえてしまって恥ずかしい。私は顔が熱を帯びていくのを何とか誤魔化して、作業に戻る。オレンジの線が入った白の貝殻を手に取って、右下の角に置く。色がガラスと合っていて、出来に満足する。
「そういえば…霙?」
由芽が話しかけるが、返事が返ってくる様子はない。私の予想通り、かな。顔を上げて霙の方を見ると、私達の使ったガラスも使いながら、細かいガラスも駆使してフォトフレームを飾り付けている霙の姿が目に入った。
「霙は一旦集中したらなかなか切れないよな。切れたらしばらく集中しないけど」
「それに集中モードだと話聞いてないよね。外音を全て遮断してるのかな」
竜夜くんの説明に補足する。由芽が風邪をひいて学校を休んでいる間に知ったことだ。集中している霙は、竜夜くんといたって騒ぐことはない。雪くんや富くんの言葉も届かない。集中が切れるまで、何も通じないのだ。
「…今なら告白されても気付かないね」
「だなぁ…」
紗奈の指摘に同意するのは藤上くんだった。藤上くんは楽しそうに竜夜くんと喋りながら作業を続けていたようで、半分くらいは進んでいた。それでも他の人よりは遅めであり、ここから先は集中しないと終わりそうになかった。
「ほらほら早くしないと終わらないよ?」
「え?マジ?」
「残り30分だね」
「やっばっ!?急がなきゃ!?」
貼る時間まで計算すると、確かに足りなさそうだ。私達は藤上くんを見守りながら、貼る作業に移った。
「他にはアクセサリー製作と、ジェルキャンドルだっけ?」
「うん。ほとんど製作時間が変わらないみたいね」
「明と深沙ちゃんはアクセサリーらしいよ。今日もね、どれだけ食べるのっていうくらい食べてたよ!」
「2人ともよく食べるからね…」
紗奈の報告に、由芽が苦笑いをする。私もつられて笑いながら、オレンジのガラスをピンセットで摘んだ。怪我防止ということで、全員の席にピンセットは配られていた。
「夕音は、名前の通り黄色とオレンジを基調とした感じ?」
「夕暮れ色だ」
由芽と紗奈の指摘に、なんとなく選んだ自分の好きな色が名前にも付く「夕」の色だったと気付く。皆の作品を見ると、由芽は青を基調として、途中に桃色がワンポイントとして入っており、紗奈は暖色から寒色へ綺麗なグラデーションを作っていた。竜夜くんは貝殻やサンゴを大胆に使い、楽しみながら作っていた。
「性格とか好みが出るね」
私はそう言いながら羅樹の作品をチラッと見る。私のと似た色使いで、緑や黄緑などを混ぜて使っている。私の視線に気付いたのか、羅樹は嬉しそうにオレンジのガラスを指差した。
「夕音の色だよ!」
「そ、そうね…」
私の色を意識して使った、という意味に聞こえてしまって恥ずかしい。私は顔が熱を帯びていくのを何とか誤魔化して、作業に戻る。オレンジの線が入った白の貝殻を手に取って、右下の角に置く。色がガラスと合っていて、出来に満足する。
「そういえば…霙?」
由芽が話しかけるが、返事が返ってくる様子はない。私の予想通り、かな。顔を上げて霙の方を見ると、私達の使ったガラスも使いながら、細かいガラスも駆使してフォトフレームを飾り付けている霙の姿が目に入った。
「霙は一旦集中したらなかなか切れないよな。切れたらしばらく集中しないけど」
「それに集中モードだと話聞いてないよね。外音を全て遮断してるのかな」
竜夜くんの説明に補足する。由芽が風邪をひいて学校を休んでいる間に知ったことだ。集中している霙は、竜夜くんといたって騒ぐことはない。雪くんや富くんの言葉も届かない。集中が切れるまで、何も通じないのだ。
「…今なら告白されても気付かないね」
「だなぁ…」
紗奈の指摘に同意するのは藤上くんだった。藤上くんは楽しそうに竜夜くんと喋りながら作業を続けていたようで、半分くらいは進んでいた。それでも他の人よりは遅めであり、ここから先は集中しないと終わりそうになかった。
「ほらほら早くしないと終わらないよ?」
「え?マジ?」
「残り30分だね」
「やっばっ!?急がなきゃ!?」
貼る時間まで計算すると、確かに足りなさそうだ。私達は藤上くんを見守りながら、貼る作業に移った。
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