320 / 812
修学旅行3 駐車場
しおりを挟む
民泊の様子は、泊めてくれた方のプライバシー保護のためにあえて何も言わないでおく。3日目の昼前までほぼ1日、ちゃんと計算すると4分の3日弱一緒にいたためか、もう既に情が移っていて離村式で泣いている人もいた。私の班では紗奈と亜美が泣き、私と利羽がそれを宥めるという状態だった。バスに戻ってもハンカチを顔から外せない2人を何とか落ち着かせ、次の目的地を目指す。
「次、どこだっけ?」
班行動に戻った私は、由芽の隣に座る。前の席には霙と明が座っている。
「次、は…首里城かな。その後移動して、琉球ガラス村。バス移動、結構あるみたいね」
由芽が開いているしおりを覗くと、バス移動に4時間半と記載されていた。昼ご飯も含まれているが、これは相当に長い。16時半に琉球ガラス村到着予定だから、12時に首里城を出る。
「初日のひめゆりの塔に近いんだから、初日に首里城行くとか工夫すれば良いのに…」
「由芽?それは言っちゃ駄目だよ?」
なんか、こう…色々あるのだ。きっと。3日目に平和学習をした後に、引きずらずに体験を楽しむのは難しい人が多いだろう。私の友達は普通に楽しみそうなので何とも言えないが。
「お、見えてきたね」
「え?あ、本当だ」
私達はそのまま駐車場へと運ばれて、地下の駐車場で降りた。
「こういうところは班行動だからね。だから、はぐれないでね。大声出さないでね。何かやらかさないでね!!」
由芽の真剣な懇願に、竜夜くんも霙も苦笑いを浮かべる。まさか本当に何かやらかすわけじゃないだろうけど、確かにあの2人が揃うと怖い。少なくとも大声は注意してないと絶対出すだろう。
「「努力します」」
「努力してもやったら、分かってるわね…?」
由芽は手帳を見せて、黒い笑みを浮かべた。それを見た瞬間霙も竜夜くんも真っ青になって、こくこくと素早く頷いた。
「由芽がいないとあの2人は危なそうだなぁ…」
「お互い、1人でいるときはそんなに問題児じゃないのにね。何で2人で揃うと駄目なのかな」
小野くんの呆れた笑い声に返すと、聞いてたらしい2人が「駄目じゃないよ!?」と振り返った。若干大きめの声だったせいか、後ろにいる由芽の目が笑っていなかった。それに気付いた2人は慌てて謝る。賑やかな班行動の始まりだ。
「竜夜、抑えられるかなぁ…」
不安げに瞳を揺らす小野くんに、大丈夫だよ、と告げる。
「私も頑張ってフォローするし、由芽の負担にならないようにしないとね」
私の言葉に、小野くんはふっと笑った。
「そうだな。由芽が過労死しないようにしなきゃな」
「うん!」
そんな会話をしながら、私達の班行動は始まった。
「次、どこだっけ?」
班行動に戻った私は、由芽の隣に座る。前の席には霙と明が座っている。
「次、は…首里城かな。その後移動して、琉球ガラス村。バス移動、結構あるみたいね」
由芽が開いているしおりを覗くと、バス移動に4時間半と記載されていた。昼ご飯も含まれているが、これは相当に長い。16時半に琉球ガラス村到着予定だから、12時に首里城を出る。
「初日のひめゆりの塔に近いんだから、初日に首里城行くとか工夫すれば良いのに…」
「由芽?それは言っちゃ駄目だよ?」
なんか、こう…色々あるのだ。きっと。3日目に平和学習をした後に、引きずらずに体験を楽しむのは難しい人が多いだろう。私の友達は普通に楽しみそうなので何とも言えないが。
「お、見えてきたね」
「え?あ、本当だ」
私達はそのまま駐車場へと運ばれて、地下の駐車場で降りた。
「こういうところは班行動だからね。だから、はぐれないでね。大声出さないでね。何かやらかさないでね!!」
由芽の真剣な懇願に、竜夜くんも霙も苦笑いを浮かべる。まさか本当に何かやらかすわけじゃないだろうけど、確かにあの2人が揃うと怖い。少なくとも大声は注意してないと絶対出すだろう。
「「努力します」」
「努力してもやったら、分かってるわね…?」
由芽は手帳を見せて、黒い笑みを浮かべた。それを見た瞬間霙も竜夜くんも真っ青になって、こくこくと素早く頷いた。
「由芽がいないとあの2人は危なそうだなぁ…」
「お互い、1人でいるときはそんなに問題児じゃないのにね。何で2人で揃うと駄目なのかな」
小野くんの呆れた笑い声に返すと、聞いてたらしい2人が「駄目じゃないよ!?」と振り返った。若干大きめの声だったせいか、後ろにいる由芽の目が笑っていなかった。それに気付いた2人は慌てて謝る。賑やかな班行動の始まりだ。
「竜夜、抑えられるかなぁ…」
不安げに瞳を揺らす小野くんに、大丈夫だよ、と告げる。
「私も頑張ってフォローするし、由芽の負担にならないようにしないとね」
私の言葉に、小野くんはふっと笑った。
「そうだな。由芽が過労死しないようにしなきゃな」
「うん!」
そんな会話をしながら、私達の班行動は始まった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる