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修学旅行2 入村式
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楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまうもので、気づいたら日が傾こうとしていた。16時15分を指す携帯画面を消し、ポケットに突っ込む。バス出発時刻まであと15分。着替えや準備を済ませた人からバスに乗り込み、出発を待つ。行きと席順は同じなので、私は霙の隣に座る。前には亜美と爽がいる。
霙が窓から視線を外して、私に問いかける。
「今日は民泊だっけ?」
「そうだよ。沖縄は民泊をやってるところが結構あるみたいだね」
「へぇ…うぅ、話したことない人と話すの、怖いなぁ…」
「霙でも緊張するのね?」
「するよ!?私を何だと思ってるの!?」
「…霙?」
「合ってるけど!!合ってるけど、何かその言い方だと良くないよね!?」
霙のキレの良いツッコミに笑っていると、霙は反論を飲み込んだのか、うぅっと唸り声を上げて何かに気付いた様子で、窓の方を向いてしまった。怒らせちゃったかな、と思った瞬間、ガタンと体の揺れる感覚がした。バスが出発したのだ。霙はそれに気付いて、酔わないように窓の外を向いたようだった。私は今から始まる丸一日の民泊体験に、期待と不安を抱きながらバスに揺られていた。
「おぉ、着いた!」
入村式会場、という名の公民館前の広場に集合を終えた。そこにはほとんどの人が集合していて、私達シュノーケリングは最後から2番目に来たらしい。まだ来ていないのは、ドラゴンボートだろうか。紗奈も八千奈ちゃんも淑乃も、見当たらない。民泊体験は唯一班替えがあり、紗奈と同じ班なので早く来て欲しいと思う。
「あ、夕音~、亜美~、こっちこっち」
利羽の声が聞こえて、私は亜美と共に駆け寄る。紗奈、利羽、亜美、私が1つの民泊班なのだ。
「ずっと一人だったのよね。マリン体験でこんなに差が出るとは思わなかったわ」
「あー、なんかごめんなさい…?」
「二人のせいじゃないでしょ。それにまだ紗奈が来てないわ」
そんな会話をしていると、バスの到着音が聞こえた。わいわいと一気に騒がしくなる。全力で走ってくる人影が見えて、思わず身構える。
「やっほぉおおおりぃちゃぁぁあっ」
利羽が華麗に避けて、その人影、紗奈は私の腕の中にすっぽりと収まった。
「ナイスキャッチ」
利羽のそんな掛け声と、亜美の笑う声が聞こえる。紗奈は私にくっついたまま、ふふんっと得意げに笑った。
「八千奈ちゃん達と仲良くなってきたんだよー!あとでたくさん話すね!思い出話!」
「楽しみにしてるね。えっと、それじゃあとりあえず並ぼうか」
相当に楽しかったようだ。紗奈はずっと楽しそうに笑っている。私は紗奈を少し強引に離して、班ごとに並ぶ。入村式の開始だ。
霙が窓から視線を外して、私に問いかける。
「今日は民泊だっけ?」
「そうだよ。沖縄は民泊をやってるところが結構あるみたいだね」
「へぇ…うぅ、話したことない人と話すの、怖いなぁ…」
「霙でも緊張するのね?」
「するよ!?私を何だと思ってるの!?」
「…霙?」
「合ってるけど!!合ってるけど、何かその言い方だと良くないよね!?」
霙のキレの良いツッコミに笑っていると、霙は反論を飲み込んだのか、うぅっと唸り声を上げて何かに気付いた様子で、窓の方を向いてしまった。怒らせちゃったかな、と思った瞬間、ガタンと体の揺れる感覚がした。バスが出発したのだ。霙はそれに気付いて、酔わないように窓の外を向いたようだった。私は今から始まる丸一日の民泊体験に、期待と不安を抱きながらバスに揺られていた。
「おぉ、着いた!」
入村式会場、という名の公民館前の広場に集合を終えた。そこにはほとんどの人が集合していて、私達シュノーケリングは最後から2番目に来たらしい。まだ来ていないのは、ドラゴンボートだろうか。紗奈も八千奈ちゃんも淑乃も、見当たらない。民泊体験は唯一班替えがあり、紗奈と同じ班なので早く来て欲しいと思う。
「あ、夕音~、亜美~、こっちこっち」
利羽の声が聞こえて、私は亜美と共に駆け寄る。紗奈、利羽、亜美、私が1つの民泊班なのだ。
「ずっと一人だったのよね。マリン体験でこんなに差が出るとは思わなかったわ」
「あー、なんかごめんなさい…?」
「二人のせいじゃないでしょ。それにまだ紗奈が来てないわ」
そんな会話をしていると、バスの到着音が聞こえた。わいわいと一気に騒がしくなる。全力で走ってくる人影が見えて、思わず身構える。
「やっほぉおおおりぃちゃぁぁあっ」
利羽が華麗に避けて、その人影、紗奈は私の腕の中にすっぽりと収まった。
「ナイスキャッチ」
利羽のそんな掛け声と、亜美の笑う声が聞こえる。紗奈は私にくっついたまま、ふふんっと得意げに笑った。
「八千奈ちゃん達と仲良くなってきたんだよー!あとでたくさん話すね!思い出話!」
「楽しみにしてるね。えっと、それじゃあとりあえず並ぼうか」
相当に楽しかったようだ。紗奈はずっと楽しそうに笑っている。私は紗奈を少し強引に離して、班ごとに並ぶ。入村式の開始だ。
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