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修学旅行2 水族館へ
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朝食を食べ終え、部屋ごとにチェックアウトを済ませる。今日泊まる場所は別の場所なので、忘れ物がないかを確認して部屋を後にし、バスの前に集合する。
「今日何やるんだっけー?」
奥の席の窓際に座りながら、霙が話しかける。その隣に由芽が腰掛け、私はその前の席の窓際に座る。隣の席はまだ来ていないらしい。
「午前は美ら海水族館、午後にマリン体験だよ。一旦別れちゃうね」
「あーそうだー!沖縄まで来て泳がないとか、由芽正気?」
「正気だよ」
由芽が霙の頭を軽く小突く。霙はあふん、と鳴き声みたいな声を出して、頭を押さえる。
「あ、もういる!早いね夕音達」
にこにこと可愛らしい笑顔で私の隣に座ったのは、亜美だった。
「うん、楽しみで早く来ちゃった」
えへへ、と笑うと亜美も共感して笑ってくれた。
「夕音はマリン体験、何やるの?」
マリン体験はいくつかある中から事前に選ぶことになっていた。
「私はシュノーケリングだよ。亜美は?」
「一緒だ!!わーい、楽しもうね!」
子供っぽくはしゃぐ亜美に癒されていると、バスガイドさんの声が聞こえてガタンと揺れた。どうやら発進したようだ。
「おお…!楽しみ…!」
亜美が瞳をキラキラさせてるのを微笑ましく思いながら、窓の外を見る。沖縄の街並みが、昨日より綺麗に見えた。
「おっしゃー!!着いたー!!」
バスから降りて伸びをする霙。私も軽く伸びをすると、沖縄の爽やかな風が吹いた。いつもと同じ低い位置でサイドテールにした髪が揺れ、肌に触れてくすぐったい。
「広…」
「大きいですね…」
由芽と眞里阿の圧倒される声が聞こえる。私も建物を見上げると、大きさが伝わってきて驚いた。予想していたよりも大分大きい水族館のようだ。
「早く行こう!楽しみ!」
亜美が私の手を引いて走り出す。びっくりしたがそれ以上にわくわくが止まらなかった。されるがままに手を引かれ、先生から入場チケットを受け取る。
「こういうところって彼氏と行くものじゃないんでしょうか…?」
後ろにいた眞里阿がボソッと呟く。確かに私達5人の内3人は彼氏持ちである。美ら海水族館は少し暗く、目の前で泳ぐ魚達は幻想的な雰囲気もある。デートにはぴったりの場所だろう。
「うーん、私は大丈夫。それよりそういう男女とかを見て情報集めてきたい、っていう性格だし。向こうもそれを分かってるし」
恋人同士で行けば良い雰囲気になるような場所は、由芽にとっては全て情報収集の場所になってしまうことに何も言えなかった。心の中でそっと、小野くん頑張れ、と応援しておいた。
「あ、亜美さんここにいたんですかー!」
女子5人で固まっていたところに、何の違和感も無く潮賀くんが加わる。亜美はびっくりした様子だったが、すぐに照れたように笑った。
「ここ凄い綺麗ですよね!一緒に回りませんか?」
「え、あぅ」
亜美は私達の様子を伺っているようだったが、皆が優しい目をして微笑んだ。私はそっと亜美の背中を押して「行ってらっしゃい」と笑った。私の声を聞いて亜美はぱぁっと瞳を輝かせた。
「ありがとう、行ってきます!」
元気いっぱいの亜美を見送り、私達も歩き始める。
「霙はいいの?」
「あー、いいや」
修学旅行直前に仲直りをしたようだが、まだ引きずっているのだろうか、と心配になる。それを見て察したのか、霙が事情を説明する。
「私も雪も、こういうところで一緒に行動するような性格じゃないからね。2人でいたらどうしても目立つでしょ?私は慣れてるけど、雪は嫌がるから」
長い付き合いだからこそ分かる、相手のこと。霙の言葉を聞いて相手を想っているからこその選択だと気付き、微笑ましくなる。
「そっか。じゃあ4人で回ろう?眞里阿はそれで大丈夫?」
「うん、平気。ありがとう」
「え、私は情報集めてくるよ?魚なんて見ないよ?」
「お!?前方に見えるのは、可愛い可愛い明では!?行ってくる!」
由芽と霙が早々に離脱。私と眞里阿は顔を見合わせて笑った。そして水族館の中を一緒に回り始めた。
「今日何やるんだっけー?」
奥の席の窓際に座りながら、霙が話しかける。その隣に由芽が腰掛け、私はその前の席の窓際に座る。隣の席はまだ来ていないらしい。
「午前は美ら海水族館、午後にマリン体験だよ。一旦別れちゃうね」
「あーそうだー!沖縄まで来て泳がないとか、由芽正気?」
「正気だよ」
由芽が霙の頭を軽く小突く。霙はあふん、と鳴き声みたいな声を出して、頭を押さえる。
「あ、もういる!早いね夕音達」
にこにこと可愛らしい笑顔で私の隣に座ったのは、亜美だった。
「うん、楽しみで早く来ちゃった」
えへへ、と笑うと亜美も共感して笑ってくれた。
「夕音はマリン体験、何やるの?」
マリン体験はいくつかある中から事前に選ぶことになっていた。
「私はシュノーケリングだよ。亜美は?」
「一緒だ!!わーい、楽しもうね!」
子供っぽくはしゃぐ亜美に癒されていると、バスガイドさんの声が聞こえてガタンと揺れた。どうやら発進したようだ。
「おお…!楽しみ…!」
亜美が瞳をキラキラさせてるのを微笑ましく思いながら、窓の外を見る。沖縄の街並みが、昨日より綺麗に見えた。
「おっしゃー!!着いたー!!」
バスから降りて伸びをする霙。私も軽く伸びをすると、沖縄の爽やかな風が吹いた。いつもと同じ低い位置でサイドテールにした髪が揺れ、肌に触れてくすぐったい。
「広…」
「大きいですね…」
由芽と眞里阿の圧倒される声が聞こえる。私も建物を見上げると、大きさが伝わってきて驚いた。予想していたよりも大分大きい水族館のようだ。
「早く行こう!楽しみ!」
亜美が私の手を引いて走り出す。びっくりしたがそれ以上にわくわくが止まらなかった。されるがままに手を引かれ、先生から入場チケットを受け取る。
「こういうところって彼氏と行くものじゃないんでしょうか…?」
後ろにいた眞里阿がボソッと呟く。確かに私達5人の内3人は彼氏持ちである。美ら海水族館は少し暗く、目の前で泳ぐ魚達は幻想的な雰囲気もある。デートにはぴったりの場所だろう。
「うーん、私は大丈夫。それよりそういう男女とかを見て情報集めてきたい、っていう性格だし。向こうもそれを分かってるし」
恋人同士で行けば良い雰囲気になるような場所は、由芽にとっては全て情報収集の場所になってしまうことに何も言えなかった。心の中でそっと、小野くん頑張れ、と応援しておいた。
「あ、亜美さんここにいたんですかー!」
女子5人で固まっていたところに、何の違和感も無く潮賀くんが加わる。亜美はびっくりした様子だったが、すぐに照れたように笑った。
「ここ凄い綺麗ですよね!一緒に回りませんか?」
「え、あぅ」
亜美は私達の様子を伺っているようだったが、皆が優しい目をして微笑んだ。私はそっと亜美の背中を押して「行ってらっしゃい」と笑った。私の声を聞いて亜美はぱぁっと瞳を輝かせた。
「ありがとう、行ってきます!」
元気いっぱいの亜美を見送り、私達も歩き始める。
「霙はいいの?」
「あー、いいや」
修学旅行直前に仲直りをしたようだが、まだ引きずっているのだろうか、と心配になる。それを見て察したのか、霙が事情を説明する。
「私も雪も、こういうところで一緒に行動するような性格じゃないからね。2人でいたらどうしても目立つでしょ?私は慣れてるけど、雪は嫌がるから」
長い付き合いだからこそ分かる、相手のこと。霙の言葉を聞いて相手を想っているからこその選択だと気付き、微笑ましくなる。
「そっか。じゃあ4人で回ろう?眞里阿はそれで大丈夫?」
「うん、平気。ありがとう」
「え、私は情報集めてくるよ?魚なんて見ないよ?」
「お!?前方に見えるのは、可愛い可愛い明では!?行ってくる!」
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