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風邪ひき由芽ちゃん (短編)
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不覚。数年ぶりに風邪をひいた。風邪をひくと休まなくてはならず、情報を集められなくなるのが困る。夏休みやそれの前から付き合い始めた子たちの関係も追いたい。気になることはたくさんある。だから私は休みたくなかったのだが、流石に熱が38℃を超えていたら休まざるを得ない。私は大人しく布団に入って睡眠をとる。昨日、一昨日と無理をしたせいか、風邪は悪化していた。母さんにも怒られたのを思い出す。
しょうがないじゃん。だって、そういう性だから。
母さん譲りの情報屋の性だと反論し、愚痴りたい気持ちを抑えながら私は目を瞑った。
どれくらいの時間が経ったのか、私は目を覚ました。体を起こすと、汗をかいているのか隙間から入ってくる風で体が冷える。寒い。布団を肩まで被り、周りを少し見回す。冷えピタが温くなっているのに気付き、母さんを呼ぼうと携帯に手を伸ばす。
『冷えピタと、氷枕持ってきて』
そう打って、私はまた寝転がる。返信を告げる音が鳴り、私はぼんやりと天井を見上げていた。
「由芽、持って来たよ」
「あー…どーも…」
素直にお礼を言うのが恥ずかしくて、ぶっきらぼうにそう言う。そしてそこに居たのが母さんじゃないと気付いたのは、数秒後だった。
「…霙?」
「ご名答。部屋の外に小野ちゃんもいるよ」
にこにこしながら霙が私の冷えピタを慣れた手付きでかえる。私はされるがままにしていると、氷枕まで霙がかえてくれた。私は虚ろな目で呟く。
「…母さんは?」
「買い物行くって。由芽のお世話頼まれたから、もう少しいるよ」
言い忘れていたが、私と霙は小学校が同じだ。ついでに言う冬間双子も途中で引っ越して来たので、同じである。割と家も近く、仲が良かったので母さんも霙のことを知っている。海斗のことは一度見つかってしまったので、説明してある。
「ん…うん…」
「小野ちゃん入っても大丈夫?呼ぶ?」
「ん…呼ぶ…」
霙が部屋を出ようと立ち上がって、困ったように振り向いた。
「あのー由芽さん?」
「ん…?」
「手をですね、離して頂けないかなーと。小野ちゃん呼べない…」
霙の言っていることがよくわからず、視線を落とすと私の手が霙の裾を引っ張っていた。
「あー…ごめん…」
「ううん、大丈夫。すぐ戻るから、一瞬だけ待っててね」
慣れた様子で私の手を握り、安心させてくれる。ガチャ…ガチャンと音がして、入ってくる人影2つ。海斗と霙だった。
しょうがないじゃん。だって、そういう性だから。
母さん譲りの情報屋の性だと反論し、愚痴りたい気持ちを抑えながら私は目を瞑った。
どれくらいの時間が経ったのか、私は目を覚ました。体を起こすと、汗をかいているのか隙間から入ってくる風で体が冷える。寒い。布団を肩まで被り、周りを少し見回す。冷えピタが温くなっているのに気付き、母さんを呼ぼうと携帯に手を伸ばす。
『冷えピタと、氷枕持ってきて』
そう打って、私はまた寝転がる。返信を告げる音が鳴り、私はぼんやりと天井を見上げていた。
「由芽、持って来たよ」
「あー…どーも…」
素直にお礼を言うのが恥ずかしくて、ぶっきらぼうにそう言う。そしてそこに居たのが母さんじゃないと気付いたのは、数秒後だった。
「…霙?」
「ご名答。部屋の外に小野ちゃんもいるよ」
にこにこしながら霙が私の冷えピタを慣れた手付きでかえる。私はされるがままにしていると、氷枕まで霙がかえてくれた。私は虚ろな目で呟く。
「…母さんは?」
「買い物行くって。由芽のお世話頼まれたから、もう少しいるよ」
言い忘れていたが、私と霙は小学校が同じだ。ついでに言う冬間双子も途中で引っ越して来たので、同じである。割と家も近く、仲が良かったので母さんも霙のことを知っている。海斗のことは一度見つかってしまったので、説明してある。
「ん…うん…」
「小野ちゃん入っても大丈夫?呼ぶ?」
「ん…呼ぶ…」
霙が部屋を出ようと立ち上がって、困ったように振り向いた。
「あのー由芽さん?」
「ん…?」
「手をですね、離して頂けないかなーと。小野ちゃん呼べない…」
霙の言っていることがよくわからず、視線を落とすと私の手が霙の裾を引っ張っていた。
「あー…ごめん…」
「ううん、大丈夫。すぐ戻るから、一瞬だけ待っててね」
慣れた様子で私の手を握り、安心させてくれる。ガチャ…ガチャンと音がして、入ってくる人影2つ。海斗と霙だった。
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