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来訪者編
75 ホムラの足環。
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小鳥を頭上に住まわせるカイルさん。
その間抜けな姿をクスクス笑っていると、キッとカイルさんに睨まれた。
私は慌てて視線をそらし、知らんぷりをする。
そして、そらした視線の先にいたのは、後ろを向いて肩をプルプルと震わせているアルトさんとライくん。
ライくんがあんなに笑うなんて珍しい、と目を丸くしていると、二人の頭にカイルさんのげんこつが落ちた。
ゴツンといい音がして、二人は頭を抱えてしゃがみこむ。
あれはかなり痛そうだ。
私にまで落ちてこなくて良かった……。
はぁーっとため息をついたカイルさんは、疲れた目でダン爺のほうに視線をうつした。
「で、ダングルフは結局、何しに来たんだ?」
そういえば、ダン爺は何かを叫びながらすごい勢いでやって来たんだった。
あの時の様子からして、何かあったのかと思ったが、大丈夫だったのだろうか?
ホムラを視界に入れた途端、完全に興味がそっちに移ってたからな。
ハッとしたダン爺は、ホムラを見つめて一人頷く。
「ああ、そうだった。冒険者の連中から、何かでかいものがこっちに向かってきてるって連絡をもらってな。外に出てみれば丁度、そのでかいものがこのあたりに落ちてきたように見えたから、急いで様子を見に来たんだ。……あれは、ホムラだったんだな」
ホムラの姿が見えてから、ここに降り立つまでの時間はそれほど長くなかったように思う。その上、夜も明けたばかりの早朝だったのだ。
他に、ホムラの姿を見ていた人がいたなんて、考えてもいなかった。
カイルさんたちですら、何が向かってきているのか分からなくて警戒していたのだから、一般の冒険者が急いでダン爺に連絡するのも当然のことだろう。
それで心配して、急いで来てくれたのか。
ダン爺の興味があっさりホムラに移ったのも、私達の無事を確認したからだったのだろう。
「その連絡をくれた奴らには、町に混乱を起こさないように、黙っとけと言っておいたから大丈夫だ。帰ったら、カイルの知り合いが訪ねてきたらしいとでも言っておく」
良かった。ホムラのことが広まる心配は無さそうだ。
「それにしても、ホムラも従魔になったのなら、従魔登録をしなければな」
そう言いながら、スッと私を抱き上げるダン爺。
いつもの調子に戻ってきたようで、何よりです。
ガッシリした安定感のある腕に支えられた私は、そのままダン爺に身を預ける。
「鳥型の従魔には足環を付けてもらうんだが、このサイズの足環、あったかなぁ……」
鳥型の従魔といえば、フクロウや鷹のような姿のものが一般的である。
従魔とは、いわば、共に戦う仲間。相棒だ。
人とともに戦う力など持たないであろう小鳥が従魔になることなど、ほぼ無い。
そして、今は雀ほどの大きさしかないホムラ。
脚ももちろん、小枝のようにほっそりとしている。
この姿に合う足環も、もちろん元の姿の、大きすぎるサイズの足環も無いだろう。
どうするんだろう……。特注……?
ダン爺のぬくもりに包まれている私は、ぼんやりしながらそんなことを考えていた。
気づけば眠っていたようで、いつのまにかふかふかの布団に包まれている。
窓から覗く太陽は、もう真上にまで昇っていた。
「おう、起きたか、チナ」
「うん。おはよう」
目をこすりながらリビングを覗けば、そこにはダン爺以外のみんなが集まっていた。
ダン爺はすでに町に帰り、みんなはあのまま、起きていたらしい。
パタパタと目の前に飛んできたホムラに両手を差し出すと、その手の中にすっぽり収まる。
ふわふわの羽毛を堪能していると、ホムラがそわそわしながら、こちらをチラチラ見ていることに気がつく。
なんだ?と首をかしげると、その脚に、小さな小さな足環がついているのが目に入った。
「あれ、もうじゅうまとうろくしたんだ。ホムラにあうあしわ、あったんだねぇ」
これに気づいてほしかったのか。
ホムラにも可愛いところがあるらしい。
「これは俺様が自分のサイズに合うように大きさを変えただけだぞ。それよりも、どうだ?このデザイン」
なるほど。
ミカンが自分の身体に合うように首輪の大きさを変えていたように、ホムラもそうしたのか。その手があったことを忘れていた。
ホムラが差し出した脚をじっくり見ると、足環には繊細な美しい模様が入っているのは見えた。
「うわぁ!きれいでかっこいい!」
「そうだろ!これは俺様がデザインして、自分で彫ったんだぞ!元のはすげぇダサかったからな!」
ホムラが気づいてほしかったのはこれだったらしい。
渾身のドヤ顔で、翼をパタパタさせている。
生き生きとしたちっちゃいホムラに癒やされる。
それにしても、ホムラにこんなセンスがあるとは。
ミカンも速攻でかわいい首輪に変えてたし、神獣って、意外とオシャレ好きなのかな?
「チナちゃん、お腹すいてない?軽く作ったのあるけど、食べる?」
ホムラとほのぼのしているところにアルトさんの声がかかった。
その言葉を聞いた途端、自分がお腹ペコペコなことに気づく。
朝ご飯逃したしね。
「たべる!」
そう返事するのと同時に、私のお腹から『ぐぅ』と鳴る音が響き渡った。
その間抜けな姿をクスクス笑っていると、キッとカイルさんに睨まれた。
私は慌てて視線をそらし、知らんぷりをする。
そして、そらした視線の先にいたのは、後ろを向いて肩をプルプルと震わせているアルトさんとライくん。
ライくんがあんなに笑うなんて珍しい、と目を丸くしていると、二人の頭にカイルさんのげんこつが落ちた。
ゴツンといい音がして、二人は頭を抱えてしゃがみこむ。
あれはかなり痛そうだ。
私にまで落ちてこなくて良かった……。
はぁーっとため息をついたカイルさんは、疲れた目でダン爺のほうに視線をうつした。
「で、ダングルフは結局、何しに来たんだ?」
そういえば、ダン爺は何かを叫びながらすごい勢いでやって来たんだった。
あの時の様子からして、何かあったのかと思ったが、大丈夫だったのだろうか?
ホムラを視界に入れた途端、完全に興味がそっちに移ってたからな。
ハッとしたダン爺は、ホムラを見つめて一人頷く。
「ああ、そうだった。冒険者の連中から、何かでかいものがこっちに向かってきてるって連絡をもらってな。外に出てみれば丁度、そのでかいものがこのあたりに落ちてきたように見えたから、急いで様子を見に来たんだ。……あれは、ホムラだったんだな」
ホムラの姿が見えてから、ここに降り立つまでの時間はそれほど長くなかったように思う。その上、夜も明けたばかりの早朝だったのだ。
他に、ホムラの姿を見ていた人がいたなんて、考えてもいなかった。
カイルさんたちですら、何が向かってきているのか分からなくて警戒していたのだから、一般の冒険者が急いでダン爺に連絡するのも当然のことだろう。
それで心配して、急いで来てくれたのか。
ダン爺の興味があっさりホムラに移ったのも、私達の無事を確認したからだったのだろう。
「その連絡をくれた奴らには、町に混乱を起こさないように、黙っとけと言っておいたから大丈夫だ。帰ったら、カイルの知り合いが訪ねてきたらしいとでも言っておく」
良かった。ホムラのことが広まる心配は無さそうだ。
「それにしても、ホムラも従魔になったのなら、従魔登録をしなければな」
そう言いながら、スッと私を抱き上げるダン爺。
いつもの調子に戻ってきたようで、何よりです。
ガッシリした安定感のある腕に支えられた私は、そのままダン爺に身を預ける。
「鳥型の従魔には足環を付けてもらうんだが、このサイズの足環、あったかなぁ……」
鳥型の従魔といえば、フクロウや鷹のような姿のものが一般的である。
従魔とは、いわば、共に戦う仲間。相棒だ。
人とともに戦う力など持たないであろう小鳥が従魔になることなど、ほぼ無い。
そして、今は雀ほどの大きさしかないホムラ。
脚ももちろん、小枝のようにほっそりとしている。
この姿に合う足環も、もちろん元の姿の、大きすぎるサイズの足環も無いだろう。
どうするんだろう……。特注……?
ダン爺のぬくもりに包まれている私は、ぼんやりしながらそんなことを考えていた。
気づけば眠っていたようで、いつのまにかふかふかの布団に包まれている。
窓から覗く太陽は、もう真上にまで昇っていた。
「おう、起きたか、チナ」
「うん。おはよう」
目をこすりながらリビングを覗けば、そこにはダン爺以外のみんなが集まっていた。
ダン爺はすでに町に帰り、みんなはあのまま、起きていたらしい。
パタパタと目の前に飛んできたホムラに両手を差し出すと、その手の中にすっぽり収まる。
ふわふわの羽毛を堪能していると、ホムラがそわそわしながら、こちらをチラチラ見ていることに気がつく。
なんだ?と首をかしげると、その脚に、小さな小さな足環がついているのが目に入った。
「あれ、もうじゅうまとうろくしたんだ。ホムラにあうあしわ、あったんだねぇ」
これに気づいてほしかったのか。
ホムラにも可愛いところがあるらしい。
「これは俺様が自分のサイズに合うように大きさを変えただけだぞ。それよりも、どうだ?このデザイン」
なるほど。
ミカンが自分の身体に合うように首輪の大きさを変えていたように、ホムラもそうしたのか。その手があったことを忘れていた。
ホムラが差し出した脚をじっくり見ると、足環には繊細な美しい模様が入っているのは見えた。
「うわぁ!きれいでかっこいい!」
「そうだろ!これは俺様がデザインして、自分で彫ったんだぞ!元のはすげぇダサかったからな!」
ホムラが気づいてほしかったのはこれだったらしい。
渾身のドヤ顔で、翼をパタパタさせている。
生き生きとしたちっちゃいホムラに癒やされる。
それにしても、ホムラにこんなセンスがあるとは。
ミカンも速攻でかわいい首輪に変えてたし、神獣って、意外とオシャレ好きなのかな?
「チナちゃん、お腹すいてない?軽く作ったのあるけど、食べる?」
ホムラとほのぼのしているところにアルトさんの声がかかった。
その言葉を聞いた途端、自分がお腹ペコペコなことに気づく。
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