秘密の物語 番外編集

水田 みる

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ひ孫達のおしゃべり

法事の前日

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かえで、ゴメン遅れたー!」


今日は家の近くの公園で、待ち合わせを従妹で親友の楓としていた。

楓はベンチに座って本を読んで待っていたようだ。


小春こはる!本を読んでたから気付かなかったよ。」

「何の本?」


これと言って私に表紙を向けた本は、今話題になっている推理小説だった。


「楓これ買ってたんだー。面白い?」

「うん!まだ3分の1ぐらいだけど面白いよ。

明日のひいお祖母ちゃんの一周忌にも持ってきとこ。」


法要が終わった後の御斎の時間潰しをする為だろう。

楽しいのはいい事だけれど、とかくジジババという生き物は話が長い上にくどい。

私もその会話に巻き込まれたくなかった。

私はふと、ひいお祖母ちゃんのお葬式を思い出す。


「そういえば楓、アレいい加減に貸してよー!」

「アレって?」

「ひいお祖母ちゃんの冒険話をまとめたノート!」

「…あぁ、アレね!ゴメン忘れてたよ。

明日、持ってくるから小春はそれで時間を潰したら?」


そうすると言いかけた瞬間、サッカーボールがポーンと目の前を飛んで転がっていった。

ボールは転がり続けて公園の外に出ていこうとしている。


「ヤッター、セーフ!!」


小学2、3年生ぐらいの少年がタッチの差で間に合った。


「…ここの公園、危ないよね。」


隣に座る楓が僅かに眉を顰める。


「確かに危ないな。

今まで大きな事故が無かったのが不思議なくらい。」


ここの公園は道路がすぐ側にあり、ボールが公園から出たらそのまま道路に出てしまうのだ。

子供が危ないのは勿論だが、車だって急にボールと子供が現れたら危ないだろう。


「お役所は何かが起こるまで動かない体質だからねぇ。」


楓は諦めたように溜め息を吐く。


「そういえば、明日の食事場所ここから近いよな?」

「うん、それなら明日時間を潰す時は2人でコッソリここに来ちゃおう。」


私達はお互いに顔を見合わせてニヤリと笑った。


「じゃあ明日の待ち合わせも決まったし、今日の目的の買い物に行こう!」


私は楓に目的地の出発を告げて


「うん、私可愛いスニーカーが欲しいなぁ!」


2人で公園を立ち去った。






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