秘密の物語 番外編集

水田 みる

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ティータイム

1杯目

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 …そろそろ15時か。

仕事も一段落つきそうだし、ティータイムがしたいな。

僕は悪友で部下である椿に声をかけた。


「椿ー、そろそろ休憩にしない?」

「了解、ルールーは今日はどんな気分?」

「ドーナツが食べたい、牛乳と一緒に。」

「分かった、準備してくる。」


椿は慣れた様子でキッチンに向かった。

僕の部下になって半月程だけど、200年一緒に暮らしていたから勝手知ったる何とやらだ。

しばらくして、お盆にドーナツが二人分と牛乳とホットのブラックコーヒーを載せて戻ってきた。

二人で他愛もない話をしてドーナツをぱくつく。


「…そういえば仕事の合間に、ざっくりとでいいから年表にまとめたいな。」


椿が急に脈絡のない事を言い出した。


「…いきなり何の話?」

「歴代勇者を召喚した大まかな年代だよ。

私の前の立花たちばなさんや後の皐月さつき君と、どれだけ時代がずれていたのか単純な興味だな。

住んでた場所が大きくずれてたからなのか、時代がずれてたからなのか二人ともにすれ違いでも会わなかったから気になっただけだ。」

「あぁ、そういう事。

その二人なら時代がずれてたんだよ。

立花は椿が生まれる50年ぐらい前で、皐月は椿が生まれた80年ぐらい後だよ。

場所は遠くないから本人同士気付いてないだけで、すれ違ったぐらいはあったかもね。」

「何でずらしたんだ?」

「わざとじゃないよ。

そんなに近い年代で勇者の適性の持ち主がいなかっただけだ。」


そんなにポコポコ勇者がいてたまるか。


「その年表作り本当にやるの?」

「仕事に支障はきたさないぞ?」

「…全部で100人以上いるよ。」

「うげっ…やっぱやーめた!

てか意外だな、この世界それなりに歴史が長かったんだな。

もうちょっと浅いかと思ってた。」


やる前から面倒だと判断した椿は年表作りを諦めた。

僕の仕事を部下として手伝いだして半月だから、分からないのは仕方ない。


「それじゃ、ルールーはかなり長いこと下っ端してるんだな。」

「大きなお世話だよっ!!」


変な角度から図星をつかれた僕は、誤魔化すようにドーナツにかぶりついた。



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