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ターコイズの章
冒険者ギルド
しおりを挟む転移魔法で一瞬で移動したそこは冒険者ギルドの建物の前だった。
冒険者ギルドは帝国も含めた世界中の各地にあり、ここはメンソーレ村から徒歩で3日かかる隣街『ゴワス街』のギルドだ。
イズンは入口のドアを躊躇いなく開いた。
「お疲れーっす!」
ギルド内にいた受付の女性や冒険者達が一斉にイズンを見る。
「あら、イズンちゃん!久しぶりね!」
「おぉ、イズンじゃねーか!」
皆、イズンと顔見知りだ。
「お久しぶりっす、ディズはいるっすか?」
受付の女性ーオフィはニマニマと笑いながら
「ディズは依頼で出てるけど夕方には戻る予定よぉ。」
近くの空いてる席に座るイズンに、彼女の好物のソーダ水を出した。
「そのニヤケ面はなんすか、オフィさん…」
オフィは更に笑みを深めて
「んーん、イズンちゃんとディズが出会ってもう5年になるんだなって思っただけよ!
5年間イズンちゃんが依頼の相棒に選ぶのはディズだけだもんねぇ!」
オフィはウフフフと笑いながら定位置に戻る。
イズンはゴワス街のギルドに登録している冒険者だ。
しかしメンソーレ村の者には、自分の魔法の力と同様に秘密にしていた。
ー5年前、イズンの両親を奪った流行病はキュッシュ領全土を席巻した。
その為、イズンの様に病で両親を失った孤児が爆発的に増えたのだ。
孤児院もあるが、余りの多さに全てを受け入れるのは不可能だった。
行き場のない平民の孤児は、餓死するか犯罪に手を染めるかの2択だ。
そこでキュッシュ支部のギルドが特例を出す。
『両親のいない孤児に限り10才から登録可能とする。』
通常なら15才にならないと登録できないが、孤児達に対しての救済措置だった。
イズンはギリギリ10才になったばかりだったので、村民には内緒で冒険者登録をしたのだ。
その時に出会ったのが、両親を亡くした同い年のディズという少年だった。
ギルドも10才の子供に難しい依頼は渡さずに、安全性の高い簡単な依頼を渡した。
ーだが、イズンとディズは最初こそ簡単な依頼だけを受けていたが直ぐに頭角を現す。
イズンの魔法は『強力な補助魔法』。
ディズは魔法こそ使えないが剣の達人だった。
イズンがお金を稼ぐ時は転移魔法でこちらに来て、ディズと組んで依頼をこなしていた。
それから5年、2人はメキメキと実力を上げて史上最年少のS級冒険者だ。
回想を終えたイズンは空腹だったので、ディズを待つ間に近くの食堂に向かう事にした。
立ち上がろうとした瞬間、ギルドの扉が開いた。
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