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両親⑥
しおりを挟む1つ目の不幸は授業参観の前日、娘は同じクラスの男子に『好きだ』と告白した。
その男子は娘でもナミカでもない女子が好きだったが、直感で正直に告げたら良くない事が起こると思い
「ゴメン、俺は佐竹さんが好きなんだ。」
と、ナミカを隠れ蓑にして娘の告白を断った。
これで娘の次の虐めのターゲットはナミカに決定した。
2つ目は授業参観当日。
当然のように娘の方は父親だけが来ていた。
少しは嬉しそうにしていれば気は紛れるのに、父親は生気のない面倒くさそうな表情だ。
ターゲット予定のナミカはどうだとチラリと見ると、ソワソワしながら教室のドアをしきりに不安げに見つめている。
『ザマァみろ!』
父親か母親かは知らないが、どちらも来ていないのだろう。
娘はフラれて悔しかったが、少し溜飲を下げた。
するとタタタタッと廊下で誰かが走る気配がしたかと思うと教室のドアが開き
「ナミカ、遅くなってごめんね!」
と、ナミカと目が合い口パクをしながらナミカの母親が入ってきた。
ナミカは嬉しそうに母親に小さく手を振って、張り切って前の黒板の方に向く。
娘は
『…アタシにだってママは来てないのに、何でナミカごときが!
許せない!
コイツは不登校になるまで追いつめてやる!!』
心の中で叫び逆恨みで顔を真っ赤にして、手の中のシャープペンシルを力一杯握りしめた。
ー次の日から娘がナミカに対する虐めは凄惨を極めた。
服で隠れる場所の暴力を始め、教科書やノートを破られる、上靴の中に画鋲や時には上靴ごとゴミ箱に捨てられた。
それでも一番堪えたのは母親が作ってくれたお弁当を、弁当箱ごとトイレの便器の中に捨てられた事だった。
ナミカにはクラスに1人友人がいたが、友人はナミカの前のイジメのターゲットだったのでナミカと距離を置く。
母親に相談しようか何度も迷ったが、仕事と家事で苦労している母親に余計な心配はさせたくなかった。
ー結局、ナミカは半年間1人で耐えて限界を迎える。
自殺を決意したが遺書は残して娘に反撃したかった。
娘が朝一番に学校に来る事はほとんど無かったので、遺書は机の上に置いておく。
そしてナミカは誰もいない朝早くの教室で首を吊ったのだ。
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