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中学時代の友人
しおりを挟む我が最初に目に付いたのはあの女が中学時代の友人だった。
正確に言うなら元友人だ。
彼女の名前は小田 カオル。
小動物を思わせる可愛らしい雰囲気の女子だ。
あの女とは中学2年で同じクラスになっている。
これはその時の出来事だ。
カオルは1年の時の友人達とクラスが離れてしまい、新しい友達がなかなか出来なかった。
1学期は出席番号順で並んでいてあの女と前後だった為、自然と話すようになり仲良くなる。
友人となり2学期に入った頃、カオルは女に『彼氏ができた』と報告した。
「えーっ、いつの間にそんな人いたのー!?
全然気付かなかった!
だれだれっ、教えてよー!!」
「えへへ、報告遅くなっちゃってゴメンね♡
私の幼馴染でね、ずっと片想いだったんだよ!
隣のクラスの大友 カツミ君♡
知ってる?」
女の目がその時ギラリと一瞬光った事を、不幸にもカオルは気付けなかった。
カオルは女を友として信用していたのだ。
「うんうん、知ってるよー!
バスケ部で一番背が高くてイケメンな男子だよねー!」
カオルは純粋に友人に彼氏を褒めてもらったとしか、この時は思わなかったのだ。
それが間違いだったと理解したのは、それからわずか1ヶ月後のことだ。
「…カオル、ごめん!
オレと別れてほしい。」
理由は言わずもがなだ。
カツミの腕にベッタリと巻き付いている、あの女の存在だった。
カツミの横で満面の笑みを浮かべている。
「ゴメンね、カオル!
カツミ君がめっちゃカッコ良かったから、カオルには悪いなって思いながらも好きになっちゃった♡」
テヘペロと効果音が付きそうな全く反省していない態度だった。
哀れ、カオルは顔を蒼白にして何も言えずに立ち去ってしまう。
カオルは帰るなり自分のベッドに倒れ込み号泣した。
泣きながら2人を死ぬ程恨んだ。
当然だ。
長年の片想いをやっと実らせたと思ったら、友人と信じていた女に横から掻っ攫われたのだ。
それにアッサリ乗り替わった彼氏も許せなかった。
ただ1つ救いだったのは、別れを告げられた場所は体育館の裏で人目につかないと思いきや、女子バスケ部が体育館で練習中で休憩中の彼女達に一連の流れをしっかり見られていたのだ。
次の日には学年全体に話が広まり、カオルはクラスの女子から同情から優しくされて、女と元彼のカップルは学年中から白い目で見られた事は言うまでもない。
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