オンボロアパート時計荘の住人

水田 みる

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大家 時任 レイ⑥

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 任務完了した翌日、約束の時間キッカリに毛利はアタッシュケースと共にやってきた。


「今回は世話になったのう、時任さん。

これは約束の成功報酬の分じゃあ。」


そう言って開いたアタッシュケースの中身は、前回と同じ金額のキャッシュだった。


「確かに受け取りました。」

「…粕田がどうなったかは聞かんのか?」

「…聞いてもよろしいのですか?」

「ワシ自身は何もしとらん。

ただM国のマフィアに、拷問するなり人体実験するなり臓器売買するなり好きにせぇと売っただけじゃあ。」


M国のマフィアといえば残忍な事で有名だ。

想像でしかないが、粕田はこれから死んだ方がマシだという体験が死ぬまで行われるだろう。

1週間の待機期間はM国のマフィアと繋ぎを取っていたのだろう。


「これから先のあかねは、変な男に引っ掛からなけりゃいいけどの。」

「あぁ、そうだ毛利さん、姪御さんのお写真をお返ししますね。」


恵から回収していた鍋島 あかねの写真を毛利に手渡す。

毛利はその写真を一瞬、愛しそうに見つめて胸ポケットにしまった。


「ありがとの、そんじゃあな。」


彼は片手を挙げて事務所を去っていった。

毛利が完全に居なくなってから、私は口を開いた。


「みんな、特殊な依頼お疲れ様!

任務完了よ。」

「ほーんと、殺し屋なのに殺しちゃダメな依頼は初めてだったよ!」


完璧な力加減だった晶がタメ口に戻り返事する。


「レイ、そういえば自分達に何か提案があるんだろ?」


公から私に戻った大介もタメ口に戻る。


「そうそう毛利さんには言うつもりは無いんだけど、鍋島 あかねにアフターケアをしようかと思ってね。」

「アフターケア?」


恵が尋ねた。


「そう今回毛利さんから破格の報酬をもらったから、サービスで彼女の今後の筋道を立ててあげない?

時計荘を出た後の住む場所や仕事とか。」


「そういう事か、それなら異論ないよ!」


渚は賛成のようだ。


「…確か彼女、医療事務の資格持ってたよね?

レイさん、時任財閥関連の病院で社宅付き正社員で医療事務募集してる所ないかな?」


早速、具体的な案を出したのは左腕の綱吉だった。


「資格を持ってるなら探しやすいわね。

いいわ、その線で探してみるわ。」



こうしてそれから半月後の現在、鍋島 あかねの退去となったのだ。

恵からアフターケアの任務も完了した報告も受けたので、いつも仕事が終わった後の打ち上げに使う創作居酒屋を貸切の予約を入れる。


一人の女性の人生を少しだけだが救った後のお酒は、きっと格別だろうと私は思いを馳せた。





《完》













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