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新たな魔王
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…私は自分では死ねない身体になってしまったのだろうか?
「…ほ、本当に死ねないの?」
私の独り言はシーンとした大広間に虚しく響く。
私の問いに答えてくれる者はいない。
立花さんの記憶を知ってかなり頭が冷えてしまい、自分で自分の心臓を刺す気持ちはとうに萎えていた。
それに死のうとしなくても分かる。
私の魔力が異質な物に変わり、魔力量も遥かに増えている。
ジーマが言っていた『魔王の瘴気』というやつだろう。
私も立花さん同様、自分が魔王になってしまったことを認めた。
今になって立花さんの『ごめんな』の意味が分かった。
きっと立花さんは予期していたのだ。
私が自分と同様にこの世界の住人に裏切られ、同じ末路を辿ることを。
それでもこの世界からの解放をずっとーーそう300年も待っていたから、私には正体は明かせなかった。
明かして、土壇場でそんな事情なら殺せないと私に手の平を返されるのが、立花さんにとって最悪のパターンだからだ。
私が玉座に触れて、新しい魔王になることも予想していたかもしれない。
立花さんは300年待った。
私は何百年待つのだろう?
あの謝罪は、私に魔王を押し付けて自分の解放を選んだことに対してだったのだろう。
立花さんを恨む気持ちも責める気持ちもなかった。
ただ亡くなった後に、自分が望む世界に行けていたらいいなぁと悼む気持ちはある。
最後に謎は一つ残ってしまったが。
300年前という割には、立花さんが元いた時代と私がいた時代に大きな変化はなかった気がする。
こちらに召喚される時に何か仕掛けでもあるのだろうか?
きっとこればかりは創造神に聞かねば分かるまい。
思考を切り換えて、私は大きく深呼吸を一つする。
「うっし、新生魔王の最初の仕事をするか!」
気合いを入れて、私の瘴気の境界線に結界魔法と転移魔法をかける。
結界魔法はこの世界の住人に対して(メイちゃんを除く)。
転移魔法は黒髪黒目の勇者が来た時に、この大広間に転移するように。
…うーん、後は何か暇つぶしできる物を考えないとなぁ。
「まっ、それもゆっくり考えるかな。」
きっと時間は膨大にあるだろう。
「…ほ、本当に死ねないの?」
私の独り言はシーンとした大広間に虚しく響く。
私の問いに答えてくれる者はいない。
立花さんの記憶を知ってかなり頭が冷えてしまい、自分で自分の心臓を刺す気持ちはとうに萎えていた。
それに死のうとしなくても分かる。
私の魔力が異質な物に変わり、魔力量も遥かに増えている。
ジーマが言っていた『魔王の瘴気』というやつだろう。
私も立花さん同様、自分が魔王になってしまったことを認めた。
今になって立花さんの『ごめんな』の意味が分かった。
きっと立花さんは予期していたのだ。
私が自分と同様にこの世界の住人に裏切られ、同じ末路を辿ることを。
それでもこの世界からの解放をずっとーーそう300年も待っていたから、私には正体は明かせなかった。
明かして、土壇場でそんな事情なら殺せないと私に手の平を返されるのが、立花さんにとって最悪のパターンだからだ。
私が玉座に触れて、新しい魔王になることも予想していたかもしれない。
立花さんは300年待った。
私は何百年待つのだろう?
あの謝罪は、私に魔王を押し付けて自分の解放を選んだことに対してだったのだろう。
立花さんを恨む気持ちも責める気持ちもなかった。
ただ亡くなった後に、自分が望む世界に行けていたらいいなぁと悼む気持ちはある。
最後に謎は一つ残ってしまったが。
300年前という割には、立花さんが元いた時代と私がいた時代に大きな変化はなかった気がする。
こちらに召喚される時に何か仕掛けでもあるのだろうか?
きっとこればかりは創造神に聞かねば分かるまい。
思考を切り換えて、私は大きく深呼吸を一つする。
「うっし、新生魔王の最初の仕事をするか!」
気合いを入れて、私の瘴気の境界線に結界魔法と転移魔法をかける。
結界魔法はこの世界の住人に対して(メイちゃんを除く)。
転移魔法は黒髪黒目の勇者が来た時に、この大広間に転移するように。
…うーん、後は何か暇つぶしできる物を考えないとなぁ。
「まっ、それもゆっくり考えるかな。」
きっと時間は膨大にあるだろう。
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