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4.N
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Aは自らが経営するキャバレー・ヴォルテールの正面から入店した。定期点検のためだ。
この日は珍しく雨が降っていた。
店の入り口で時刻を確認すると、午後六時を指している。開店まで三時間。雨は止みそうもない。ヴァレンタインシーズンだというのに景気の悪いことだ。
売春組合の老人たちに見栄を張るためだけに誂えた、スーツの肩に掛かった雨粒を払う。
重厚なドアを押し開くと、カラン、とカウベルが心地よい重低音で鳴いた。
入ってすぐに、オーセンティックバーをイメージさせるバーカウンターが現れる。壁いっぱいの酒瓶に、ダークオレンジのスポットライト。独りで来た新規客には、ここで酒を舐めながら尻を落ち着けてもらう。
高級店らしく黒を基調とした内装には、守銭奴のAもかなり気を使って金をかけた。壁に掛けてある絵画やオブジェも、美術館レベルではないにしろ本物だ。セラフィムの審美眼を潜り抜けたのだから、百年後には三倍の値が付くかもしれない。
そこから先へ進むと、L字型のソファが広がるボックス席が二つある。ひとりで入店するのが怖いと、複数人で訪れるSubは多い。常連客が知り合いを連れてくるのもよくあることだ。
新規客には、従業員のDom全員を代わる代わる付かせるのが理想だが、実質六人で回している店だ。とても手が回らない。新規客の接待は主にヴィクトルかNの、身体が空いている方が対応する。
緊張している客に優しくしてやれるのが、この二人くらいだからという理由もある。
ここから先は二階に続く階段だ。
階段の数は、踊り場を挟んで十三段。
初めて二階に上がる客に、Domたちは死刑台の話をする。優しく手を引いてやりながら、階段を上がった分だけ数えさせる。瞳を潤ませるSubには追い立てるように駆け上がらせるし、握った手の震えが酷ければ引き返すことを諭す。
そうして上がった先に、七つの部屋が待ち構えている。
七人のDomたちは、それぞれ自分専用のプレイルームを持っている。
ヴィクトルの部屋には首輪や餌皿などが用意されているし、セラフィムの部屋には生体家具が控えている。
AはNのプレイルームのドアをノックして、返事を待たずに中へ入った。
Nの部屋は多分、ヴォルテールで一番簡素なのではないだろうか。壁際にはシンプルな本棚があって、小難しそうな本が詰め込まれている。一部、背が揃っていないのは絵本らしい。
中央にはひとりで持ち運べる大きさの丸テーブルと、やはり簡素なダイニングチェア。
清貧を極めた部屋なのに、どこか懐かしい気持ちになるのは、母親と暮らしていた頃の部屋と間取りが似ているせいだろうか。
もっとも、Aの母親は男にも酒にもだらしのない女で、そういう女にありがちな片付けが出来ないタイプでもあった。だから、AはたまにNのプレイルームに入ると、床の広さに毎回感心してしまう。
「どうした? 開店には早いぞ」
部屋の端にある間仕切りから、Nが顔を覗かせた。左手にレードルを持っている。
SMクラブの一室にしては似つかわしくない匂いがするな、とは思っていたが料理をしているらしい。ミネストローネをずっと優しくした匂いだ。
胸の辺りが悪くなる。
それぞれのプレイルームには確かにガスコンロが設えてあるが、それは緊縛用の縄を作るためだったり、焼き鏝を熱するために存在しているのだ。
……もちろん、同じ場所で料理をしてはいけないということはないが、感性に問題があるように思えてしまう。
ついでに言うと、ヴォルテールにはなんと専属のシェフとソムリエがいる。これを外で言ったら、他の店から総スカンを食らうだろう。Nを除くDomたちが二つ星以下は豚の餌、という高貴な舌をお持ちなせいだ。
自分で料理をしなければならない理由などない。
Aは間仕切りの反対側へ回った。
「飾り窓のこと、聞いてるだろ? 準備を手伝いにきたんだ」
コンロの前のNに並んで立つと、彼の顔を見るのに首を持ち上げなくてはならなかった。
「ああ、それはセラフィムがやってくれるそうだ」
「えっ」
驚きのあまり、ヒキガエルを押し潰したような声が出た。
先日、Nは仕置きにセラフィムを膝に抱き上げて尻をぶっている。以来、セラフィムは癇癪を起した子供みたいにNを嫌っているのだ。悪いのは我が儘し放題の子供の方なのだが、和解の機会があったようには見えない。
「……一応、どんな感じか見に行かないか」
嫌がらせに地区中のゴミを集めて詰め込んでいてもおかしくない。そんな懸念が、雨の億劫さに勝った。
「分かった」
鍋からスプーンにひと掬いして、Aの口元に運ばれてきた。
これは「あーん」ということか?
背が低かろうと成人男性であるAは戸惑い、上目遣いにNを見た。同じ東洋系であることを示す黒々した眼は、静かに味の感想を待っている。
ぎくしゃくとスプーンを咥え、Aは「離乳食」と答えた。マズくはないが、決定的に塩気が足りない。あと動物性タンパク質の脂も欲しいところだ。
「子供の頃に食べた味に似ているか?」
「……分かんない」
母は料理をしない女だった。
「客に餌付けを頼まれたので作ってみたんだが、難しいな。
先にそちらの用を済ませてからにするか」
Nが見切りを付けてしまったので、ふたりは飾り窓を見に行くことにした。
二月初旬の雨の日に出歩く人間はそうそうおらず、メインストリートは寂しいものだった。道の端に「二〇%オフ」の看板が立てかけられているのが散見できた。どこも客を引きずり込むのに苦労しているらしい。
「Nのプレイルーム、ちょっと暖房利かせすぎじゃないか?」
道すがら、いつもより濃く白い息を吐きながらAはNを見上げる。傘を傾けたせいで反対側の雫が一斉に滴り落ちた。
「裸になる客が多いからな。ヴィクトルの客のように身体を動かすわけでもないし」
Nの客は変態が多い。なにしろ男のNをママに見立てて、赤ちゃんプレイをしに来ている。おまけに安くない金を払っておいて、射精を目的にしていない。よっぽどママの愛情が足りなかったのだろう。
それだけ世知辛い世の中ということなのかもしれないが。
Aがしょっぱい気持ちになっていると、にわかに雨が強まった。二メートル先も白んで見えないくらいだ。
幸い雑貨屋の雨除けシェードがあったので、緊急避難する。
そこには先客がいた。草臥れたスーツはびしょ濡れで、型崩れしたビジネスバッグを胸に押し抱いた男だった。まだ三十にはなっていないだろうに、すでに風采の上がらない雰囲気が滲み出ている。
「少し良いか?」
折り畳んだ傘をAに押し付け、Nが男に話しかけた。
「はあ、」
俯いていた男は顔を上げた。こんな治安の悪い場所で見知らぬ人間に声を掛けられても、警戒心を働かせる気力すらないらしい。
「セーフワードは、コラディーニだ。繰り返せるか?」
「……コラディーニ」
「Good.
見ろ」
Nは人差し指を立てて、右から左へとゆっくり移動させた。男の視線もそれに合わせて動く。左へ行ききると、Nは右手を男の頬に添えて向きを固定させる。
「Good.
そのまま、……来い.」
三歩後ずさったNは両手を広げる。
瞳を潤ませた男はふらふらと吸い込まれるようにして近づき、抱きとめられた。
「Good.
Good Boy.」
繰り返し頭を撫でられる男を、Aはやむを得ず黙って見ているしかなかった。
まるで催眠術だ。
財布を出せと命令すれば出すんじゃないかな、とUsualのAなどは他人事のように考えてしまう。
いつの間にか雨は小降りになっていた。
いくらか生気を取り戻した男に「お名前を」とドラマみたいにしがみ付かれて、もちろんAは笑顔でインクの匂いも真新しいショップカードを手渡した。
「あのな、無償奉仕は止めてくれよ。
商売でやってるんだから」
再び目的地に向かって歩き出しつつ、Aはいつ言おうかと準備していた文句をとうとう口にする。Nは自分の傘を男にくれてやったので、Aは木にしがみ付く蝉のようにして傘の下を歩かなくてはいけなかった。
「だがサブドロップ寸前だったぞ、あれは」
サブドロップはSubの持病みたいなものだ。Domからコマンドを貰えないと心身に影響が出る。
それでもNも少しは悪いと思っているらしい。表情そのものは変わらないが、長年の勘で分かる。Aはそれに免じて話題を逸らせた。
「ああやってると、Nも普通のDomなのな」
「……ん」
数年前までNは自分をDomだと自認して生きてきたが、数年前をきっかけにSwitchであることが判明した。
第二性を持つ者は人口の三割程度だが、その中でもSwitchは特に希少種らしい。AもN以外のSwitchに会ったことがない。
Nの場合は、パートナーのEがスイッチを管理しているので、欲求不満になることはないようだが。
Aにとっては早くも通い慣れた飾り窓に辿り着いた。
「わぁ」
ダミ声交じりの声が口から垂れ流れる。
飾り窓にはゴミこそ詰め込まれてなかったが、これは無い。
三本の燭台には蝋燭を模したLEDライトが付けられ、壁には白い布が綺麗なひだを作って手前から奥に渡してある。中央の椅子の背凭れには十字架が掘られていた。
まるで教会のようなインテリアが例の赤いライトに照らし出されているので、淫乱修道女が出てきそうな雰囲気だ。
「思ったより暗いな。本を読むのは無理そうだ」
「……情緒死んでんのか?」
信じられない思いで見上げるNは、感情の起伏に乏しい朴訥とした男だ。頭のどの部分をぶつければ、こういうコンセプトにしてやろうと考えるのか。
情緒が死んでる男は、さっさと飾り窓の中に入り椅子に座った。
……これをEに知られたら三角木馬では済まないだろうな、とAは思った。雨で人通りが少ないのが唯一の救いだった。
この日は珍しく雨が降っていた。
店の入り口で時刻を確認すると、午後六時を指している。開店まで三時間。雨は止みそうもない。ヴァレンタインシーズンだというのに景気の悪いことだ。
売春組合の老人たちに見栄を張るためだけに誂えた、スーツの肩に掛かった雨粒を払う。
重厚なドアを押し開くと、カラン、とカウベルが心地よい重低音で鳴いた。
入ってすぐに、オーセンティックバーをイメージさせるバーカウンターが現れる。壁いっぱいの酒瓶に、ダークオレンジのスポットライト。独りで来た新規客には、ここで酒を舐めながら尻を落ち着けてもらう。
高級店らしく黒を基調とした内装には、守銭奴のAもかなり気を使って金をかけた。壁に掛けてある絵画やオブジェも、美術館レベルではないにしろ本物だ。セラフィムの審美眼を潜り抜けたのだから、百年後には三倍の値が付くかもしれない。
そこから先へ進むと、L字型のソファが広がるボックス席が二つある。ひとりで入店するのが怖いと、複数人で訪れるSubは多い。常連客が知り合いを連れてくるのもよくあることだ。
新規客には、従業員のDom全員を代わる代わる付かせるのが理想だが、実質六人で回している店だ。とても手が回らない。新規客の接待は主にヴィクトルかNの、身体が空いている方が対応する。
緊張している客に優しくしてやれるのが、この二人くらいだからという理由もある。
ここから先は二階に続く階段だ。
階段の数は、踊り場を挟んで十三段。
初めて二階に上がる客に、Domたちは死刑台の話をする。優しく手を引いてやりながら、階段を上がった分だけ数えさせる。瞳を潤ませるSubには追い立てるように駆け上がらせるし、握った手の震えが酷ければ引き返すことを諭す。
そうして上がった先に、七つの部屋が待ち構えている。
七人のDomたちは、それぞれ自分専用のプレイルームを持っている。
ヴィクトルの部屋には首輪や餌皿などが用意されているし、セラフィムの部屋には生体家具が控えている。
AはNのプレイルームのドアをノックして、返事を待たずに中へ入った。
Nの部屋は多分、ヴォルテールで一番簡素なのではないだろうか。壁際にはシンプルな本棚があって、小難しそうな本が詰め込まれている。一部、背が揃っていないのは絵本らしい。
中央にはひとりで持ち運べる大きさの丸テーブルと、やはり簡素なダイニングチェア。
清貧を極めた部屋なのに、どこか懐かしい気持ちになるのは、母親と暮らしていた頃の部屋と間取りが似ているせいだろうか。
もっとも、Aの母親は男にも酒にもだらしのない女で、そういう女にありがちな片付けが出来ないタイプでもあった。だから、AはたまにNのプレイルームに入ると、床の広さに毎回感心してしまう。
「どうした? 開店には早いぞ」
部屋の端にある間仕切りから、Nが顔を覗かせた。左手にレードルを持っている。
SMクラブの一室にしては似つかわしくない匂いがするな、とは思っていたが料理をしているらしい。ミネストローネをずっと優しくした匂いだ。
胸の辺りが悪くなる。
それぞれのプレイルームには確かにガスコンロが設えてあるが、それは緊縛用の縄を作るためだったり、焼き鏝を熱するために存在しているのだ。
……もちろん、同じ場所で料理をしてはいけないということはないが、感性に問題があるように思えてしまう。
ついでに言うと、ヴォルテールにはなんと専属のシェフとソムリエがいる。これを外で言ったら、他の店から総スカンを食らうだろう。Nを除くDomたちが二つ星以下は豚の餌、という高貴な舌をお持ちなせいだ。
自分で料理をしなければならない理由などない。
Aは間仕切りの反対側へ回った。
「飾り窓のこと、聞いてるだろ? 準備を手伝いにきたんだ」
コンロの前のNに並んで立つと、彼の顔を見るのに首を持ち上げなくてはならなかった。
「ああ、それはセラフィムがやってくれるそうだ」
「えっ」
驚きのあまり、ヒキガエルを押し潰したような声が出た。
先日、Nは仕置きにセラフィムを膝に抱き上げて尻をぶっている。以来、セラフィムは癇癪を起した子供みたいにNを嫌っているのだ。悪いのは我が儘し放題の子供の方なのだが、和解の機会があったようには見えない。
「……一応、どんな感じか見に行かないか」
嫌がらせに地区中のゴミを集めて詰め込んでいてもおかしくない。そんな懸念が、雨の億劫さに勝った。
「分かった」
鍋からスプーンにひと掬いして、Aの口元に運ばれてきた。
これは「あーん」ということか?
背が低かろうと成人男性であるAは戸惑い、上目遣いにNを見た。同じ東洋系であることを示す黒々した眼は、静かに味の感想を待っている。
ぎくしゃくとスプーンを咥え、Aは「離乳食」と答えた。マズくはないが、決定的に塩気が足りない。あと動物性タンパク質の脂も欲しいところだ。
「子供の頃に食べた味に似ているか?」
「……分かんない」
母は料理をしない女だった。
「客に餌付けを頼まれたので作ってみたんだが、難しいな。
先にそちらの用を済ませてからにするか」
Nが見切りを付けてしまったので、ふたりは飾り窓を見に行くことにした。
二月初旬の雨の日に出歩く人間はそうそうおらず、メインストリートは寂しいものだった。道の端に「二〇%オフ」の看板が立てかけられているのが散見できた。どこも客を引きずり込むのに苦労しているらしい。
「Nのプレイルーム、ちょっと暖房利かせすぎじゃないか?」
道すがら、いつもより濃く白い息を吐きながらAはNを見上げる。傘を傾けたせいで反対側の雫が一斉に滴り落ちた。
「裸になる客が多いからな。ヴィクトルの客のように身体を動かすわけでもないし」
Nの客は変態が多い。なにしろ男のNをママに見立てて、赤ちゃんプレイをしに来ている。おまけに安くない金を払っておいて、射精を目的にしていない。よっぽどママの愛情が足りなかったのだろう。
それだけ世知辛い世の中ということなのかもしれないが。
Aがしょっぱい気持ちになっていると、にわかに雨が強まった。二メートル先も白んで見えないくらいだ。
幸い雑貨屋の雨除けシェードがあったので、緊急避難する。
そこには先客がいた。草臥れたスーツはびしょ濡れで、型崩れしたビジネスバッグを胸に押し抱いた男だった。まだ三十にはなっていないだろうに、すでに風采の上がらない雰囲気が滲み出ている。
「少し良いか?」
折り畳んだ傘をAに押し付け、Nが男に話しかけた。
「はあ、」
俯いていた男は顔を上げた。こんな治安の悪い場所で見知らぬ人間に声を掛けられても、警戒心を働かせる気力すらないらしい。
「セーフワードは、コラディーニだ。繰り返せるか?」
「……コラディーニ」
「Good.
見ろ」
Nは人差し指を立てて、右から左へとゆっくり移動させた。男の視線もそれに合わせて動く。左へ行ききると、Nは右手を男の頬に添えて向きを固定させる。
「Good.
そのまま、……来い.」
三歩後ずさったNは両手を広げる。
瞳を潤ませた男はふらふらと吸い込まれるようにして近づき、抱きとめられた。
「Good.
Good Boy.」
繰り返し頭を撫でられる男を、Aはやむを得ず黙って見ているしかなかった。
まるで催眠術だ。
財布を出せと命令すれば出すんじゃないかな、とUsualのAなどは他人事のように考えてしまう。
いつの間にか雨は小降りになっていた。
いくらか生気を取り戻した男に「お名前を」とドラマみたいにしがみ付かれて、もちろんAは笑顔でインクの匂いも真新しいショップカードを手渡した。
「あのな、無償奉仕は止めてくれよ。
商売でやってるんだから」
再び目的地に向かって歩き出しつつ、Aはいつ言おうかと準備していた文句をとうとう口にする。Nは自分の傘を男にくれてやったので、Aは木にしがみ付く蝉のようにして傘の下を歩かなくてはいけなかった。
「だがサブドロップ寸前だったぞ、あれは」
サブドロップはSubの持病みたいなものだ。Domからコマンドを貰えないと心身に影響が出る。
それでもNも少しは悪いと思っているらしい。表情そのものは変わらないが、長年の勘で分かる。Aはそれに免じて話題を逸らせた。
「ああやってると、Nも普通のDomなのな」
「……ん」
数年前までNは自分をDomだと自認して生きてきたが、数年前をきっかけにSwitchであることが判明した。
第二性を持つ者は人口の三割程度だが、その中でもSwitchは特に希少種らしい。AもN以外のSwitchに会ったことがない。
Nの場合は、パートナーのEがスイッチを管理しているので、欲求不満になることはないようだが。
Aにとっては早くも通い慣れた飾り窓に辿り着いた。
「わぁ」
ダミ声交じりの声が口から垂れ流れる。
飾り窓にはゴミこそ詰め込まれてなかったが、これは無い。
三本の燭台には蝋燭を模したLEDライトが付けられ、壁には白い布が綺麗なひだを作って手前から奥に渡してある。中央の椅子の背凭れには十字架が掘られていた。
まるで教会のようなインテリアが例の赤いライトに照らし出されているので、淫乱修道女が出てきそうな雰囲気だ。
「思ったより暗いな。本を読むのは無理そうだ」
「……情緒死んでんのか?」
信じられない思いで見上げるNは、感情の起伏に乏しい朴訥とした男だ。頭のどの部分をぶつければ、こういうコンセプトにしてやろうと考えるのか。
情緒が死んでる男は、さっさと飾り窓の中に入り椅子に座った。
……これをEに知られたら三角木馬では済まないだろうな、とAは思った。雨で人通りが少ないのが唯一の救いだった。
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